2000年度

エネルギー


280798
消費地立地型小型軽水炉
落合政昭
エネルギー 33(10), p.49-53(2000) ; (JAERI-J 17735)

 21世紀の社会を支える安価で,温室効果ガスを発生せず,長期安定供給が可能な民生用エネルギー源として,エネルギー消費地に設置するための原子力エネルギー供給システムが必要とされる.そのための原子炉として,受動安全系と自然循環・自己加圧方式等による単純化プラントである小型軽水炉PSRDの設計検討を進めている.利用システムとしては,大深度地下利用の地域熱供給原子力システムとバージ搭載型小規模発電システムを想定している.PSRDを大深度地下の空洞の中に,または洋上でバージに搭載して設置すれば,地震等の災害に強く,重大な事故が発生しても付近の住民は避難する必要はなく,地価,人口密度の高い大都市でも利用できる.小型軽水炉を分散型エネルギー源として導入することは,エネルギー消費地域が地球温暖化やオゾン層破壊等を防止しつつ,エネルギー供給面で自立するための一つの方策であると考えられる.


290108
社会とのコミュニケーションリスクをどのように伝えるか
傍島眞
エネルギー (11), p.58-61(2000) ; (JAERI-J 17828)

 原子力における社会とのコミュニケーションは,安全強調型からリスクと利益の公正な伝達に変わらなければならない.燃料サイクルの盲点にあった想定外の臨界事故などとどう向き合うかを技術者が熟考する中で,安全管理の体系を強化しつつ,それでも完璧はあり得ないことを人々にどう矛盾なく伝えるかが問われている.人々が持つ原子力への不安の原因を解消するべく,実際のリスクと人々のリスク感とのズレの要素をリスク対話の中で明らかにし,人々の懸念に応え,利益を公平に調整するなどを通じて,心理的偏向を取り除くよう原子力の理解を図る方法論の確立が求められる.国政においても,原子力政策に対する一般の意見表明の機会を拡大することにより,国民の不安感,不信感を払拭することが必要である.


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