2002年度

Nuclear Technology


310266
Development of simulation-based evaluation system for iterative design of human-machine interface in a nuclear power plant; Application for reducing workload
文沢元雄 ; 亀田晃之* ; 中川隆志* ; Wu, W.* ; 吉川榮和*
Nuclear Technology 141(1), p.78-87(2003) ; (JAERI-J 19896)

 原子炉運転制御盤の操作性の改善を図るため,運転員の行動様式に着目した,客観的データを検討することは重要である.原子炉運転員のヒューマンエラーを左右する主要なファクター(客観的データ)の1つにワークロードがある.ワークロードは運転員の身体的,精神的な負担の指標であり,本研究ではワークロードとして,移動距離,タスク実行時間,記憶量などを扱う.ワークロードの低減を図るには,原子炉制御盤(Human Machine Interfaces: HMI)を操作する運転員のワークロードを定量的並びに正確に評価する必要がある.本研究では,複数運転員(運転クルー)が操作する原子炉プラントのHMI設計を対象に,反復設計を効率的に実施するための計算機システム,SEAMAID(Simulation-based Evaluation and Analysis support system for MAn-machine Interface Design)を開発した.すなわち,HMI設計をワークロードという指標により評価するためのシステム開発を行った.併せて,CRT(記録計の監視可能なモニター)を旧来の制御盤に導入することで,運転員のワークロード(移動距離,視点移動距離など)がどの程度低減できる制御盤設計が可能であるかを検討した.


300887
High burnup BWR fuel behavior under simulated reactivity initiated accident conditions
中村武彦 ; 草ヶ谷和幸* ; 更田豊志 ; 上塚寛
Nuclear Technology 138(3), p.246-259(2002) ; (JAERI-J 19353)

 燃焼度56〜61GWd/tUのBWR燃料のパルス照射実験をNSRRで実施し,冷態起動時からの反応度事故時の燃料挙動を調べた.この実験では福島第二原子力発電所2号機で照射された燃料を短尺に加工し,272〜586J/g(651〜40cal/g)の発熱を瞬時に与えた.BWR燃料被覆管の変形はPWR燃料に比べて小さかったものの,燃焼度61GWd/tUの燃料を用いた実験では,被覆管温度が上昇する以前の過渡実験の早い時点で燃料破損が生じた.破損時の燃料エンタルピは260〜360J/g(62〜86cal/g)であった.これらの実験で見られたBWR燃料の破損は,外周部に水素化物が多く析出し脆化した被覆管がペレット−被覆管機械的相互作用(PCMI)により破損したPWR燃料実験と類似している.FPガスの過渡放出は,燃料エンタルピに依存し,9.6〜17%に達した.


300886
Revised burnup code system SWAT; Description and validation using postirradiation examination data
須山賢也 ; 望月弘樹* ; 清住武秀*
Nuclear Technology 138(2), p.97-110(2002) ; (JAERI-J 19352)

 燃焼計算コードSWATが,燃焼度クレジットの解析のために改良された.改良されたSWATの重要な特徴は,その機能がもととなったコードに変更を加えることなく,検証された核計算コードを呼び出すことで実現されていることである.この特徴は,UNIXのシステム関数を用いて実現されており,これによってSWATは個々のコードの開発に独立となっている.改良されたSWATのパッケージには,JENDL-3.2とJNDC FPライブラリ第2版に基づいた最新のライブラリが付属している.これらによって,燃焼問題,例えば照射後試験の解析を,断面積だけでなく核分裂収率及び崩壊定数も最新のデータを使用して行うことができる.ほかの機能は,もっとも信頼性の高い燃焼計算コードORIGEN2のライブラリ作成である.この機能によって作成されたライブラリを使用することで,ORIGEN2のユーザーはSWATとほぼ同じ結果を得ることができる.改良されたSWATの検証は,Calvert Cliffs一号炉及び,日本国内のPWRからの使用済燃料を対象とした照射後試験の解析によって行われた.Calvert Cliffs一号炉からのPIEデータの解析では,改良されたSWATがFPの計算精度が向上していることと,減速材温度が重要であることが示された.日本国内のPWRからのPIEデータの解析では,改良されたSWATが17×17燃料から得られたUO2燃料の実験値から,主要ウラン及びプルトニウムについて,5%以内で計算できることがわかった.また,FPに関してはサマリウムを含む多くの同位体で10%以内の結果となっている.これらの結果は,改良されたSWATがPWR使用済燃料の同位体組成の予測に高い信頼性を有していることを示している.


300663
Removal of metal-oxide layers formed on stainless and carbon steel surfaces by excimer laser irradiation in various atmospheres
亀尾裕 ; 中島幹雄 ; 平林孝圀*
Nuclear Technology 137(2), p.139-146(2002) ; (JAERI-J 19158)

 放射性核種で汚染された金属廃棄物の除染にレーザーアブレーション法を適用するため,照射雰囲気が鋼材表面に生成した酸化皮膜層のアブレーションに与える影響について検討した.レーザー光の吸収過程がLambert-Beer則に従うとの仮定の基づき,He,O2,Kr,SF6雰囲気中において,Fe2O3焼結体,ステンレス及び炭素鋼の吸収長及びアブレーションしきい値を測定した.その結果,高温水中でステンレス及び炭素鋼表面に生成した酸化皮膜層の選択的な除去には,SF6雰囲気が最も効果的であることがわかった.またレーザー照射後の模擬金属廃棄物に対して二次イオン質量分析及びSEM観察を行ったところ,酸化皮膜層が完全に除去されている様子が観察された.


300544
Transmutation of I129 using an accelerator-driven system
西原健司 ; 高野秀機
Nuclear Technology 137(1), p.47-59(2002) ; (JAERI-J 19075)

 マイナーアクチノイド(MA)核変換のために設計された加速器駆動システム(ADS)を用いてヨウ素-129(I-129)を核変換するためのブランケットの概念検討を行った.このブランケットは,ヨウ化ナトリウム(NaI)と中性子を減速させるための水素化ジルコニウム(ZrH1.7)からなり,MAの上下及び径方向の反射体と置換される.このブランケットを設置したADSによって年間250kgのMAと56kgのヨウ素を同時に核変換することができる.これはそれぞれ軽水炉10基分に相当する.また,将来において140基の高速増殖炉が導入された場合に対して,このADSの導入シナリオと核変換がなされたことによる利益(実際的効果)を検討した.その結果,2160年にほぼ平衡状態に達し,21基のヨウ素ブランケット付きADSが稼働していることがわかった.利益については地層処分との比較が行われ,核変換が行われていない場合に,将来の非常に長い期間にわたって地下から染み出るヨウ素の線量が,核変換によって現代の短い期間の線量になることが定量的に示された.


[ page top ]
JAEA > JAEA図書館 > JOPSS > 学会誌等掲載論文[バックナンバー] >  累積情報(2002年度) > 当ページ
Copyright(C), Japan Atomic Energy Agency (JAEA)