2002年度

日本原子力学会誌


301259
新型核燃料技術開発
沢和弘 ; 山下利之 ; 湊和生 ; 荒井康夫 ; 小無健司*
日本原子力学会誌 44(9), p.657-662(2002) ; (JAERI-J 19673)

 軽水炉用UO2燃料及び高速炉用MOX燃料以外に近年国内で行われた研究開発に進展が見られた燃料として,高温ガス炉燃料,イナートマトリクス燃料,アクチノイド水素化物燃料を取上げて,燃料概念と最近の研究開発状況について記述した.このほか,長寿命核分裂生成物核変換ターゲットの研究開発状況についても述べた.


301174
「核燃料技術高度化の現状と展望」シリーズ3; 先進的核燃料リサイクル技術開発
有江和夫* ; 安部智之* ; 荒井康夫
日本原子力学会誌 44(8), p.593-599(2002) ; (JAERI-J 19598)

 高速炉燃料サイクルへの適用を目指してサイクル機構,電中研及び原研で研究開発を進めている,酸化物燃料湿式再処理,酸化物燃料乾式再処理,金属燃料乾式再処理及び窒化物燃料乾式再処理リサイクル技術について,それぞれ研究開発の現状と今後の開発課題について記述した.


300836
シグマ委員会における核データ収集・評価活動; 1999,2000年度の作業報告
「シグマ」特別専門委員会
日本原子力学会誌 44(1), p.106-114(2002) ; (JAERI-J 19314)

 この報告は1999,2000年度におけるシグマ委員会の活動に関するものである.この期間中にJENDLの次期バージョンであるJENDL-3.3の準備が進み,完成間近となった.また特殊目的ファイルの整備も進んだ.ここでは各グループの活動状況及び次のトピックスについて報告する.(1)完成間近のJENDL-3.3,(2)2000年版核図表の完成,(3)JENDL高エネルギーファイル(JENDL-HE)のベンチマーク.


300686
ITER工学設計活動報告
森雅博 ; 荘司昭朗 ; 荒木政則 ; 斎藤啓自* ; 仙田郁夫* ; 大森順次* ; 佐藤真一* ; 井上多加志 ; 大野勇* ; 片岡敬博* ; 島裕昭* ; 関昌弘 ; 辻博史 ; 加藤崇 ; 奥野清 ; 榎枝幹男 ; 秋場真人 ; 渡邊和弘 ; 坂本慶司 ; 今井剛 ; 佐藤和義 ; 柴沼清 ; 中平昌隆 ; 角舘聡 ; 山西敏彦 ; 西正孝 ; 西谷健夫 ; 河西敏 ; 杉江達夫 ; 丸尾毅
日本原子力学会誌 44(1), p.16-89(2002) ; (JAERI-J 19181)

 ITER(国際熱核融合実験炉)計画は,日本・米国・欧州・ロシアの政府間協定の下に核融合エネルギーの科学的・工学的実証を目指す実験炉を国際共同で実現しようというプロジェクトである.1992年7月以来9年間に亘り建設のために必要なすべての技術的データの作成を目的とする工学設計活動(EDA)を進めてきたが,2001年7月に当初の目標を達成して完了した.次の段階に進むこの時期に,EDAの概要と主要な成果をまとめておくことは,我が国の研究者が広くEDAの成果を評価し活用するうえでも,また,今後期待されるITERの建設・運転に向けた活動に多くの研究者が参画するための共通の基盤を築くうえでも必要と考えられる.本報告ではこのような趣旨に基づき,ITER工学設計活動の概要,工学設計及び工学RandDの成果,安全性に関する検討について,外部の研究者が全体像を掴むことを意図して記述されている.


300576
高温ガス炉ガスタービン発電システム
國富一彦 ; 片西昌司 ; 塩沢周策
日本原子力学会誌 43(11), p.1085-1099(2001) ; (JAERI-J 19107)

 高温ガス炉は,高温の熱が取り出せる,固有の安全性が高い,多様な燃料サイクルに対応可能等の既存炉にない特長を有している.これらの特長を生かした高温ガス炉ガスタービン発電システムは,2010年代のエネルギー源として期待されている.本報は,原研が設計研究を行っている高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR-300)の特長及びこれまでの設計検討結果,今後の設計,関連するR&Dの内容とスケジュールを示したものである.GTHTR-300は,炉心設計の工夫により燃料交換期間を2年間として稼働率を向上させる,原子炉圧力容器を1次ヘリウムガスで冷却して原子炉圧力容器材料に軽水炉と同材料を用いるなどの新しい設計により,発電コスト4円/kWhの達成を目標にしている.また,高い安全性を考慮して,安全設備の簡素化を行い,経済性の向上を図っている.


310160
中性子ラジオグラフィーによる核融合実験炉用ダイバータターゲットプレートモデルの非破壊検査
石山新太郎 ; 松林政仁 ; 秋場真人
日本原子力学会誌 1(4), p.439-448(2002) ; (JAERI-J 19804)

 アーマータイル(25mm×25mm×10mmt)と冷却基盤(120mmL×25mm×25mm)間のろう接部に剥離欠陥のある核融合実験炉用ダイバータターゲットプレートモデルを用いて中性子ラジオグラフィー法(NRG),X線ラジオグラフィー法(XRG),赤外線サーモグラフィー法ならびに超音波法を適用した非破壊検査を実施し,下記結論を得た.(1)熱伝導解析を行った結果,ターゲットプレートの伝熱除熱機能に極めて重大な影響を与える欠陥としてアーマータイルと冷却基盤間に介在する約3mm程度の剥離欠陥があげられる.(2)したがって,ターゲットプレートの非破壊検査では少なくともアーマータイルと冷却基盤間に介在する約3mm程度の剥離欠陥に対して十分な検出感度を有する非破壊検査技術が必要である.(3)この欠陥に対して,超音波法ではアーマータイルによる超音波の散乱減衰により剥離欠陥の検出ができなかった.また,赤外線サーモグラフィーでは,剥離欠陥の直接的な情報は得られなかったが,伝熱流動解析の結果,欠陥に起因する温度差から3mm程度の欠陥の検出ができる可能性が示された.(4)一方,NRG及びXRG法では,本研究で検討した非破壊検査法の中では0.5mm以下の欠陥に対して最も高い検出感度を有するものであることがわかった.さらに,NRG法により得られた欠陥画像により最も信頼性の高い欠陥情報が得られることが明らかとなった.


310159
HTTR(高温工学試験研究炉)の出力上昇試験
藤川正剛 ; 大久保実 ; 中澤利雄 ; 川崎幸三 ; 伊与久達夫
日本原子力学会誌 1(4), p.361-372(2002) ; (JAERI-J 19803)

 高温ガス炉(HTGR)は,高温の熱を供給することができ,高い固有の安全性を有するなど優れた特徴を有する原子炉である.HTTRは,我が国初のHTGRで,2001年12月7日定格出力30MW原子炉出口冷却材温度約850℃に到達し,2002年3月6日使用前検査に合格した.出力上昇試験を,安全に,かつ,確実に行うため,定格出力30MWまでを約10MW,20MW及び30MWと3段階に分割して試験を行った.出力上昇試験は熱出力校正,制御特性,出力係数測定,高温配管の熱変形測定,遮へい性能,燃料及びFPの評価,異常時過渡応答等合計22の試験項目からなる.全ての試験は計画通り行われ,その結果に基づいてHTTRの性能を評価した.本レポートはHTTRの出力上昇試験の結果を報告する.


310158
高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)の設計研究
國富一彦 ; 片西昌司 ; 高田昌二 ; 滝塚貴和 ; 中田哲夫 ; Yan, X.* ; 武井正信* ; 小杉山真一* ; 塩沢周策
日本原子力学会誌 1(4), p.352-360(2002) ; (JAERI-J 19802)

 原研では,独自の高温ガス炉ガスタービン発電システム(GHTHR300)の設計研究を実施してきた.GTHTR300は,その早期導入のために,技術的・経済的な課題を低減すべくできるだけ簡素化した設計としている.GTHTR300では,新たに提案した設計上の工夫,すなわち,2バッチ燃料交換を採用した炉心,既存の鋼製原子炉圧力容器,革新的なプラント構成及び横置きのガスタービンユニットの導入により,2010年代において経済的に競争力があると期待される.本論文は,原子炉,燃料,炉内構造物及び圧力容器設計に関する独自の特徴,及びGTHTR300の資本費が目標値である¥200,000/kWeを満足できる予備評価について述べる.本研究は,文部科学省から原研への委託により実施している電源特会「核熱利用システム技術開発」の「高温発電システム」の内容に関するものである.


310157
高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)の発電系設計
高田昌二 ; 滝塚貴和 ; 國富一彦 ; Yan, X.* ; 片西昌司 ; 小杉山真一* ; 皆月功* ; 三好保行*
日本原子力学会誌 1(4), p.341-351(2002) ; (JAERI-J 19801)

 GTHTR300発電系設計では,経済性を高めるため,動力変換機器の高性能化,中間冷却器無サイクルの採用による物量低減を行った.タービンと圧縮機には3次元翼設計により,スラスト力を10kNに低減し,各々93.90%の高ポリトロープ効率を達成し,発電効率45.8%を得た.圧縮機ではサージマージン30%を得た.ターボマシンは横置とし,またダイヤフラムカップリングにより発電機とターボ圧縮機の振動絶縁を行い,磁気軸受負荷容量を低減しつつ軸系振動振幅をISO管理値75μm以下とした.熱交換器設計では,小型化・物量低減を行った.プレートフィン型再生熱交換器では1.2×1.2mmの正方フィンを採用し,温度効率95%を確保した.前置冷却器はローフィン管ヘリカルコイル型とした.本件は文部科学省から原研への委託により実施している電源特会「核熱利用システム技術開発」の「高温発電システム」の内容に関するものである.


300685
Ti-6Al-4V接合材料の強度に与える中性子照射効果
石山新太郎 ; 宮直之
日本原子力学会誌 1(1), p.30-37(2002) ; (JAERI-J 19180)

 核融合炉大型構造材料への適用可能性を検討するため,Ti-6Al-4V合金ならびに同材のTIG溶接材の中性子照射試験(試験温度:746〜788K,照射量:2.8×1023n/m2(>0.18MeV))を実施し,母材及び照射接合材の機械的特性に与える照射効果を調べた.その結果,下記結論が得られた.(1)母材において照射により引張り強度は未照射材に比べて約20〜30%増加するが,引張り破断伸びは未照射材に比べて大きく低減した.(2)TIG接合材は,照射母材とほぼ同様の引張り強度特性を示すが,絞りについて接合材では373〜473Kで母材より30%高い値を示す一方,600K以上では逆に約1/2程度の小さい値を示した.(3)照射による材料脆化の度合いは,TIG接合材より母材のほうで顕著であった.(4)未照射ならびに照射母材のシャルピー衝撃特性では,試験温度上昇に伴って脆性破壊から延性破壊へと破壊形態が遷移し,その遷移温度上昇幅ΔTは最大で約100Kであった.(5)照射接合材の硬さは,照射により増加し,特にHAZ部で顕著であった.


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