2002年度

保健物理


310153
国内外におけるクリアランスレベルの検討状況とその諸課題について
大越実
保健物理 37(3), p.197-207(2002) ; (JAERI-J 19797)

 クリアランスは,原子力施設の廃止措置等に伴って発生する放射能レベルの低い廃棄物等を管理するために有効な概念であり,1996年にIAEAによって導入された.原子力安全委員会は,原子炉施設から発生する固体状物質を対象にクリアランスレベルを算出し,1999年と2001年に報告書をとりまとめた.また,ECも,金属,コンクリート,建物及びその他の固体状物質をクリアランスするための指針を作成した.IAEA及び米国NRCは,現在クリアランスレベルの検討を行っているところである.本解説では,国内外におけるクリアランスレベルの検討状況について述べるとともに,クリアランスの概念を理解するための情報及び関連する検討課題について述べる.


300678
チェルノブイリ事故炉周辺環境における長半減期放射性核種の分布と挙動
天野光
保健物理 36(4), p.314-321(2001) ; (JAERI-J 19173)

 原研は汚染環境下における放射線影響の評価・解析のため,チェルノブイリ国際研究センター(当時)と研究協力を締結し,「環境放射線影響に関する評価・解析及び評価システムの検証に関する研究」を行ったが,本報告では1995年の協定改訂後の研究テーマの一つ「チェルノブイリ事故炉周辺環境における長半減期放射性核種の動態に関する研究」について成果を中心に概要を報告する.事故炉周辺30km圏は,原子炉の爆発により,核種のホットパーティクル(核燃料起因微細粒子)としての存在割合が高く,超ウラン元素やCs-137,Sr-90等が高濃度に存在している.研究項目は(1)地表における放射性核種の分布特徴把握,物理的,化学的存在形態,及び移行挙動,(2)地表から河川等水系への放射性核種の移行,(3)水系における放射性核種の物理的,化学的存在形態,(4)放射性核種の移行に関し野菜への取込みの特徴,(5)放射性核種の移行に関する再浮遊,大気中濃度の特徴,である.核種の移動性という観点では,大部分の核種は依然として地表に留まっているが,溶出し地下や河川に浸透する成分,懸濁態として河川に流出する成分等が存在している.


300677
事故影響評価モデルの検証
本間俊充 ; 高橋知之* ; 外川織彦
保健物理 36(4), p.308-313(2001) ; (JAERI-J 19172)

 原研とチェルノブイリ国際研究センターとの研究協力テーマ2では,確率論的事故影響評価コードOSCAARの信頼性評価研究の一環として,チェルノブイリ周辺の実環境で得られた測定データを用いて地表面沈着核種からの長期外部被ばく線量評価モデルの検証を行い,その性能を確認し,主要なパラメータを同定した.また,サイト近傍の早期被ばく線量の推定のために,OSCAARを適用し,粒径の大きなCs-137,Zr-95等の地表沈着からの外部被ばくの寄与が大きく,早期被曝評価の観点からは放出物の粒径等詳細な放出源情報が必要なことを明らかにした.


300676
原子力事故後の環境中外部被ばく線量の測定・評価に関する研究
坂本隆一 ; 斎藤公明 ; 堤正博 ; 長岡鋭
保健物理 36(4), p.297-307(2001) ; (JAERI-J 19171)

 外部被ばく線量に影響を与えるファクターとしては,事故後の放射性核種の沈着分布,放射性核種の種類,核種の地中分布,降雨,積雪,半減期,家屋等の遮蔽効果,除染効果,生活パターン等がある.本調査研究では,チェルノブイリ地域において,これらのファクターに関係するデータを1992年から可能な範囲で継続的に収集を行った.本研究のおもな成果は次に示す4項目にまとめられた.(1)広域に汚染した地域の放射線レベルを迅速にサーベイする方法の開発,(2)汚染地域の住民に対する外部被ばく線量を推定する方法の検証,(3)γ線線量評価用基本データのモンテカルロ法による整備,(4)汚染環境場の特性解析 以下,本報告では,調査や実験の概要を項目別に述べ,その後におもな成果を記述した.


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