2002年度

Plasma Physics and Controlled Fusion


310273
Fluctuation reflectometry of azimuthally symmetric plasmas
Bruskin, L. G.* ; 間瀬淳* ; 大山直幸 ; 三浦幸俊
Plasma Physics and Controlled Fusion 44(11), p.2305-2325(2002) ; (JAERI-J 19903)

 反射計による密度揺動測定を考察するために,軸対称な密度分布を用いた,時間的に変動する二次元 full-wave方程式を解析的に扱い,マイクロ波散乱の電場を解くことに成功した.解析的モデルの結果から,プラズマ回転速度測定に用いられているドップラー反射計についての考察がなされ,ドップラーシフト測定の精度が,カットオフ層の曲率及び密度揺動のスペクトルに強く依存していることが見い出された.また,密度揺動レベルを定量的に評価する場合,密度揺動のスペクトルが前もって見積もられているときは,揺動指数と呼ばれる反射波信号のパワーに関係したパラメータで揺動強度を定量付けることが有効であると提案された.


300991
Energy confinement scaling for reversed-shear plasmas with internal transport barrier in JT-60U
滝塚知典 ; 坂本宜照 ; 福田武司 ; 藤田隆明 ; 鎌田裕 ; 鈴木隆博 ; 井手俊介 ; 白井浩
Plasma Physics and Controlled Fusion 44(5A), p.A423-A428(2002) ; (JAERI-J 19437)

 JT-60U中の内部輸送障壁(ITB)のある負磁気シアプラズマでは,ELMy Hモード閉じ込め比例則に較べより高い閉じ込め性能が得られている.箱型のITBを持つプラズマの閉じ込めエネルギーは,プラズマ電流に強く依存して増加するが加熱パワーにはほとんど依存しない.閉じ込めは,ITB近傍の熱束でなくプラズマの状態で決まると仮定して,JT-60Uの実験データを解析した結果,ITBより内側の領域に閉じ込められるエネルギーは,Wcore=Cεf-1Vcore(B2p,fo)となっていることを見いだした.ここで,Cは1程度の定数,εfはITB足部の逆アスペクト比,VcoreはITBに囲まれたプラズマ体積,Bp,fはITB足部のポロイダル磁場である.この比例則から,ポロイダルベータ値とεfの積が1程度に制限されていることがわかる.この結果は,閉じ込めがブートストラップ電流が重要な役割を果たしているプラズマの平衡条件に支配されていることを示唆する.


300990
Dynamics and interplay of L-H-L transitions and ITB events in reversed shear plasmas with internal barrieres in JT-60U
Neudatchin, S. V.* ; 滝塚知典 ; 白井浩 ; 藤田隆明 ; 諫山明彦 ; 鎌田裕 ; 小出芳彦 ; 鈴木隆博 ; 竹治智
Plasma Physics and Controlled Fusion 44(5A), p.A383-A389(2002) ; (JAERI-J 19436)

 内部輸送障壁近傍の熱拡散係数が急激に変動する現象,ITB事象,がJT-60中の負磁気シアプラズマにおいて観測されており,この現象の解析を進めてきた.ここでは,プラズマ周辺で起こるL-H-L遷移とほぼ同時に発生するITB事象について,その動的挙動とL-H-L遷移との相互作用を記述する.H-L遷移により,弱いITBの領域でほぼ同時的に劣化ITB事象が発生し熱拡散係数が増加する.Lモード期間中に改善ITB事象が発生し熱拡散係数が減少し強いITBが形成される.L-H遷移により,同時的に劣化ITB事象が発生し,負磁気シア領域まで熱拡散係数を増加させる.その後のHモード期間中に,再びITBが改善される場合もある.


301062
Compatibility conditions of the edge and internal transport barrier formation in JT-60U
福田武司 ; 滝塚知典 ; 藤田隆明 ; 坂本宜照 ; 鎌田裕 ; 井手俊介 ; 小出芳彦 ; 竹永秀信 ; 三浦幸俊
Plasma Physics and Controlled Fusion 44(5A), p.A341-A349(2002) ; (JAERI-J 19499)

 核融合実験装置における定常運転では,高い自発電流成分に加えて優れた閉じ込め性能と安定性が要求されることから,内部輸送障壁が存在する下でさらにプラズマ周辺部に輸送障壁を形成し,Hモード状態を得る必要がある.しかしながら,優れた閉じ込め性能を発揮する内部輸送障壁の存在によってプラズマ周辺部に到達する加熱入力が低減し,プラズマ周辺部の密度が顕著に低下する.その結果,Hモード遷移に必要な加熱入力が既存の比例則から予測される値よりも高くなることが最近のJT-60における実験で明らかになった.一方,Hモードプラズマでは,一般に内部輸送障壁の形成に必要な加熱入力が高くなる.本論文では,Hモード遷移の鍵を握るプラズマ周辺部の密度と温度に注目して,内部輸送障壁とHモードが同時に形成・維持される条件について実験的に調べた結果を報告する.


301061
Fast measurement of ELM heat and particle fluxes, and plasma flow in the scrape-off layer of the JT-60U tokamak
朝倉伸幸 ; 櫻井真治 ; 内藤磨 ; 伊丹潔 ; 三浦幸俊 ; 東島智 ; 小出芳彦 ; 坂本宜照
Plasma Physics and Controlled Fusion 44(5A), p.A313-A321(2002) ; (JAERI-J 19498)

 核融合炉のダイバータにおける照射エネルギー,時間,及び幅を予測するために,特にELM発生後に放出されダイバータ板に到達する熱・粒子束の輸送過程について,解明する必要がある.本発表では,ELMy Hモードプラズマにおいて,ELM発生直後,磁力線方向に発生するプラズマ流を,トカマク装置では初めて3箇所(外側赤道面,ダイバータX点及び内側バッフル上)のポロイダル位置に設置したマッハプローブで同時測定した結果を示す.X点下の外側ダイバータで測定したプラズマ流速は,ELM発生後,100-200μs間のみマッハ速度1(イオン音速)程度に増加する.また,増加が観測されたSOL幅はセパラトリクスから1-1.5cm(赤道面の磁気面へマッピング)外側に限られた.高速赤外カメラで,熱流束の急速な増加を観測したが,熱流の照射時間は,カメラの時間分解能程度(250μs)であり,熱流束の幅は,1cm程度であった.この結果から,多くが熱流束はプラズマ対流輸送によることを明らかにした.これに対し,内側境界層においては,ELM直後ダイバータへの高速のプラズマ流が観測されず,むしろ流れの逆転が観測された.今後,予行過程の理解が必要である.


310145
Measurement of current driven by electron cyclotron waves in JT-60U
鈴木隆博 ; 井手俊介 ; 及川聡洋 ; 池田佳隆 ; 梶原健* ; 諫山明彦 ; 藤田隆明 ; 濱松清隆 ; JT-60チーム
Plasma Physics and Controlled Fusion 44(1), p.1-9(2002) ; (JAERI-J 19789)

 JT-60Uにおいて電子サイクロトロン(EC)波による局在化した駆動電流分布を測定した.時間変化していく誘導電流はモーショナルシュタルク効果による内部磁場計測と,磁気流体平衡計算のトロイダル電流分布に新しくスプライン関数を導入することで評価した.解析からEC駆動電流がプラズマ小半径の10%より狭い領域に局在化していることが明確にわかる.測定したEC駆動電流は光線追跡法とFokker-Planckコードによる計算値と一致する.実験によるEC駆動電流分布の測定には先述の誘導電流の評価が困難なために理論との一致はこれまでほかの装置では得られていない.本研究はEC駆動電流の理論を実験的に確認したものである.EC波の吸収位置が変わったときには測定したEC駆動電流位置も変化している.電流駆動効率は7keVの電子温度に対して5×1018A/W/m2であった.


300668
Advanced scenarios in JT-60U: integration towards a reactor relevant regime
菊池満 ; JT-60チーム
Plasma Physics and Controlled Fusion 43(12A), p.217-228(2001) ; (JAERI-J 19163)

 1985年以来16年もの間に,JT-60計画は定常運転に関して,顕著な進展があった.1990年に概念を定めたSSTRは,JT-60における80%ブートストラップ電流の実現に基づいた炉であり,それに示された各種のプラズマ条件を満足することを目標としてこれまでJT-60において研究が続けられた.本論文は,1991年から継続的に行われた,定常運転法の実現に関する研究成果をまとめたものであり,最新の電流ホールに関する結果も示している.


300667
Analytical study of ultra-short pulse reflectometry
Bruskin, L. G.* ; 間瀬淳* ; 山本明秀* ; 近木祐一郎*
Plasma Physics and Controlled Fusion 43(10), p.1333-1349(2001) ; (JAERI-J 19162)

 二次元full wave方程式を用いたマイクロ波超短パルス伝播の解析を中心とする研究を行った.プラズマ密度分布は,linear,non-linear,slab,あるいは円筒形のモデルを採用し,パルスの電場を解析的に得ることができた.計算には,プラズマ曲率の影響とホーンサイズの効果も導入し,代表的なマイクロ波パルスの伝播の様子が入射からプラズマ中における反射まで画像化することができた.また,反射計において,一次元パルスモデルの結果を用いた密度分布再構成の方法(Signal Record Analysis, SRA)を提案し,プロセスプラズマに適用した結果,密度分布を得ることに成功した.SRAは,各周波数に対応するtime delayを解析するという従来の手法と異なり,信号波形の記録を直接用いるため,分布の再構成が安定して得られることがわかった.


[ page top ]
JAEA > JAEA図書館 > JOPSS > 学会誌等掲載論文[バックナンバー] >  累積情報(2002年度) > 当ページ
Copyright(C), Japan Atomic Energy Agency (JAEA)