2002年度

Chemical Physics Letters


300945
Four-component relativistic calculations on the mono-ammine complexes of trivalent f0, f7, and f14 ions
望月祐志* ; 岡本穏治*
Chemical Physics Letters 359(3-4), p.331-336(2002) ; (JAERI-J 19391)

 3価のアクチノイドイオン(Ac3+,Cm3+,Lr3+)とランタノイドイオン(La3+,Gd3+,Lu3+)とアンモニア分子との錯体(アンミン錯体)について,Dirac-Hartree-Fock,2次摂動の4成分相対論計算を行った.金属−窒素間距離,安定化エネルギー,Mulliken密度などを評価し,それらを以前扱ったアクア(水)錯体と系統的に比較した.結果としてアンモニアの方がアクチノイドイオンとの「相性」が良いことがわかった.


310115
Ab initio molecular orbital study of the O(1D) insertion into the C-C bond in cyclopropane and ethane
黒崎譲 ; 高柳敏幸
Chemical Physics Letters 355(5-6), p.424-430(2002) ; (JAERI-J 19759)

 シクロプロパンのC-C結合に対するO(1D)挿入反応の入り口付近における5つの最低一重項ポテンシャルエネルギー面を,CASPT2/cc-pVDZレベルで計算した.その結果,5枚のポテンシャル面の内の最も下にあるものは,入り口付近で引力的であるのに対し,他の4枚は斥力的であることが予測された.比較のため,エタンについて同様の計算を行った結果,5枚のポテンシャル面は入り口付近ですべて斥力的であることが予測された.これらの計算結果は,O(1D)とアルカン分子の反応についての最近の実験結果と矛盾しない.


300647
Theoretical prediction of the lifetime of the metastable helium compound; HHeF
高柳敏幸 ; 和田晃*
Chemical Physics Letters 352(1-2), p.91-98(2002) ; (JAERI-J 19142)

 ヘリウムを含んだ化合物であるHHeF分子について,多配置参照配置間相互作用レベルの高精度分子軌道計算を行った.計算の結果,直線分子H-He-Fは準安定で,H-He-F→H+He+Fの解離に対して0.224eVのエネルギー障壁をもち,H-He-F→He+HFの反応に対しては,0.448eVのエネルギー障壁をもつことがわかった.分子軌道計算を約3000点について行い,グローバルなポテンシャルエネルギー曲面を補間法によって作製した.そのポテンシャル面を使って3次元の時間に依存した波束計算を行ったところ,準安定共鳴状態の寿命は157fsと見積もられた.


300495
Non-statistical formation of J=1 T2 (ortho-T2) in recombination reaction of T+T+M→T2+M in liquid helium at 1.42-2.50K
井口一成* ; 熊田高之 ; 奥野健二* ; 荒殿保幸
Chemical Physics Letters 349(5-6), p.421-425(2001) ; (JAERI-J 19026)

 1.42-2.50Kの液体ヘリウム中で中性子吸収反応により生成するトリウチム原子同士の再結合反応において,オルソT2分子が90%以上生成することがわかった.これは統計論的な値である75%をはるかに越える値である.トリチウムと同じ1/2の核スピンを持つ水素原子でも同様な傾向が報告されていることから両者同様な反応機構が考えられる.現在理論計算が進行中であるる.


300494
Quantum reactive scattering calculations of photodetachment spectra of the FHD- anion
高柳敏幸 ; 和田晃*
Chemical Physics Letters 348(1-2), p.514-520(2001) ; (JAERI-J 19025)

 時間に依存しない量子反応性散乱理論を用いてF(HD)-アニオンの光電子脱離スペクトルの計算を行った.StarkとWernerの作製した高精度のポテンシャル面を使った.計算したFHD-及びFDH-両アニオンのスペクトルには,束縛回転に相当するブロードなピークがいくつか見られた.これは,以前研究されたFH2-のスペクトルで見られたものと本質的に同じである.さらに,FHD-アニオンでは,遷移状態共鳴に相当するピークが見られた.これは,最近,詳細な反応断面積の測定によって実験的に見出されているものである.本理論計算結果は光電子脱離スペクトル実験によって,遷移状態共鳴が見出される可能性があることを強く示唆するものである.


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