2002年度

Nuclear Fusion


301238
Plasma current ramp-up assisted by outer vertical field coils in a high aspect ratio tokamak
御手洗修* ; 芳野隆治 ; 牛草健吉
Nuclear Fusion 42(10), p.1257-1272(2002) ; (JAERI-J 19652)

 ITER-FEAT級サイズのトカマク核融合炉において,センターソレノイドなしで非誘導電流駆動,外部加熱,垂直磁場によってプラズマ電流を立ち上げるシナリオについて検討した.100MWの加熱電流駆動パワーと核融合出力500MWの場合,8MA程度までプラズマ電流を立ち上げ可能なことが明らかとなった.さらに,過去に行われたJT-60でのオーミックコイル電流一定時にNBIを入射した実験データを解析したところ,プラズマが加熱され,外側に広がろうとするのを垂直磁場により位置平衡をとる際に供給される磁束によってプラズマ電流が増大することが明らかとなった.以上のようにJT-60の実験結果により,トカマク炉では垂直磁場によりプラズマ電流を駆動できることがわかり,将来の核融合炉の新しい運転シナリオが提示された.


310131
Fast plasma shutdown scenarios in the JT-60U tokamak using intense mixed gas puffing
Bakhtiari, M.* ; 河野康則 ; 玉井広史 ; 三浦友史 ; 芳野隆治 ; 西田靖*
Nuclear Fusion 42(10), p.1197-1204(2002) ; (JAERI-J 19775)

 トカマク型核融合炉では,プラズマのディスラプション時に急激に放出される熱エネルギーと逃走電子の発生とによって,第一壁等が損傷を受けることが懸念され,その緩和・抑制を行う手法の開発が進められている.その中で,プラズマ電流を急激に減少させてディスラプションを模擬し,そこへアルゴンと水素の混合ガスをプラズマ中に入射して,逃走電子の発生を防ぎつつ放電を速やかに停止するシナリオを考案し,JT-60Uにおいて実験的に証明した.この結果,アルゴンガスは放射損失を高めて放電の高速遮断に寄与する一方,水素ガスは電子密度を高めるとともに逃走電子の抑制に寄与することが明らかとなり,混合ガスパフの有効性が示された.


310065
Edge plasma parameters at the L-H transition under the conditions of open and W-shaped divertor in JT-60U
土屋勝彦 ; 福田武司 ; 竹永秀信 ; 朝倉伸幸 ; 鎌田裕 ; 滝塚知典 ; 伊丹潔 ; 藤田隆明 ; JT-60チーム
Nuclear Fusion 42(6), p.637-642(2002) ; (JAERI-J 19729)

 JT-60Uでは近年,ダイバータの形状を開放型から排気溝付きW型ダイバータへと変更した.この改造後に行ったHモード遷移に関する実験において,遷移パワー閾値の密度依存性を調べたところ,開放型の場合に比べ最大30%程度減少することが観測された.この現象に対し,境界部プロセスの及ぼす影響について評価した.その結果,同じ線平均密度で見ると,ダイバータ改造後,境界部プラズマ密度が低くなり,低いパワーで改造前と同程度の境界部イオン温度が得られていた.このことが,遷移パワーの減少の一因として考えられる.またこの時,低いイオン衝突度が低いパワーで達成できている傾向が見られた.これについては,X点近傍に集中しやすくなった中性粒子が関与しているものと考えられる.この他,X点の位置をHモード遷移パワーの関係について調べた結果についても述べる.


301239
Linear evolution of plasma equilibrium in tokamaks
仙田郁夫* ; 荘司昭朗 ; 常松俊秀
Nuclear Fusion 42(5), p.568-580(2002) ; (JAERI-J 19653)

 トカマク型核融合装置の設計においては,プラズマ位置・形状制御の解析評価が,真空容器などの構造物や制御用パルス電源の設計に大きな影響を与える.特にITERのような燃焼プラズマ実験を行う装置では,プラズマ対向機器の保護やプラズマ性能の向上のために,プラズマ位置形状の制御系が重要な役割をはたす.このような制御系の設計のためには,プラズマの振まいを正しく記述する解析コードが必要である.本論文では,線型化されたグラドーシャフラノフ方程式の解法を導き,この解を用いて,プラズマ平衡配位の線型的時間発展を記述する方程式を求めた.さらに,プラズマ安定化を示す重要な指数である,不安定性の線型成長率を,本論文の手法及びこれまで用いられて来た剛体プラズマモデルで求め,本論文の手法で得られる成長率の方が大きいことを示した.ITERでは,この差が有意な違いを制御系設計に与える.


300883
Runaway current termination in JT-60U
玉井広史 ; 芳野隆治 ; 徳田伸二 ; 栗田源一 ; 閨谷譲 ; Bakhtiari, M.* ; Khayratdinov, R. R.* ; Lukash. V.* ; Rosenbluth, M. N.* ; JT-60チーム
Nuclear Fusion 42(3), p.290-294(2002) ; (JAERI-J 19349)

 ディスラプション時に発生する逃走電子電流は,第一壁の損耗をもたらすことが懸念されている.そこで,JT-60Uにおいて,発生した逃走電子を遮断するために表面安全係数(qs)を下げる方法を開発した.qsが減少して,2または3となったときに発生する強い磁場揺動によって逃走電子電流が消滅することを実験的に明らかにした.その消滅機構として,プラズマ周辺部に形成される低温の磁気バブルによる磁気面の変形を通した逃走電子の閉じ込め劣化を考察した.また,磁場揺動に伴って放出される逃走電子のエネルギーによる第一壁の熱負荷と,逃走電子遮断時にバッフル板に流れるハロー電流の測定・解説結果から,本遮断方法では逃走電子による第一壁の損耗を低減できることを示した.


300882
Status of extened performance tests for blanket remote maintenance in the ITER L6 project
角舘聡 ; 岡潔 ; 吉見卓* ; 桧山昌之* ; 田口浩* ; 柴沼清 ; 小泉興一 ; 松本泰弘* ; 本多力* ; Haange, R.*
Nuclear Fusion 42(3), p.243-246(2002) ; (JAERI-J 19348)

 ITERのブランケット保守では,4トンの大重量・大型のモジュールを±2mm以内の位置姿勢精度で取り扱うことが要求されている.現在,EDA延長期間のR&D計画に従って,センサー情報(位置力)に基づいた機械締結式モジュールの着脱を実証するために,その制御手法の開発を進めている.機械締結式ブランケットの取り付け面は,キーや位置決めピンから構成され,それぞれが高いはめあい精度(±0.25mm以下)を必要とする嵌合構造である.そのため,挿入方向がマニピュレータのたわみや計測誤差により理想的な挿入方向と異なる場合,キーとモジュールの接触がマニピュレータの運動を拘束し,安定なモジュールの取付が困難となる.本報では,モジュールとマニピュレータ間の誤差を想定した場合の適用性試験を行い,力制御法の基本となる着脱動作時に発生する力の評価法について報告する.


300810
Sustainment of high confinement in JT-60U reversed shear plasmas
藤田隆明 ; 鎌田裕 ; 井手俊介 ; 竹治智 ; 坂本宜照 ; 諫山明彦 ; 鈴木隆博 ; 及川聡洋 ; 福田武司 ; JT-60チーム
Nuclear Fusion 42(2), p.180-186(2002) ; (JAERI-J 19288)

 強力な内部輸送障壁の形成により高い閉じ込め性能を発揮するJT-60の負磁気シア放電の長時間維持の実験の結果を報告する.高電流のLモード境界の放電においては,蓄積エネルギーの帰還制御を用いてプラズマのβ値を精密に調整することにより,等価エネルギー増倍率=0.5を0.8秒間(エネルギー閉じ込め時間と同程度)維持した.高三角度のELMy Hモード境界の負磁気シア放電においては,ポロイダルβを上昇し自発電流率を向上することにより負磁気シア領域の縮小を抑制し,高閉じ込めの準定常維持を実現した.高安全係数領域にて自発電流率80%を得て,完全非誘導電流駆動を達成した.規格化β値2,閉じ込め改善度3.5を2.7秒間(エネルギー閉込め時間の約6倍)維持した.


300809
Resistive instabilities in reversed shear discharges and wall stabilization on JT-60
竹治智 ; 徳田伸二 ; 藤田隆明 ; 鈴木隆博 ; 諫山明彦 ; 井手俊介 ; 石井康友 ; 鎌田裕 ; 小出芳彦 ; 松本太郎 ; 及川聡洋 ; 小関隆久 ; 坂本宜照 ; JT-60チーム
Nuclear Fusion 42(1), p.5-13(2002) ; (JAERI-J 19287)

 JT-60の負磁気シアプラズマにおける抵抗性MHD不安定性,理想低nキンクモードの壁安定化効果を調べた.規格化β値〜1程度で強い内部輸送障壁を有する負磁気シアプラズマにおいて,空間的に局在化したトロイダルモード数n=1の抵抗性交換型MHDモードを初めて観測した.抵抗性交換型MHDモードはバースト状の揺動が間欠的に現れ,高い規格化β領域では高次のn≦3モードが時折観測される.抵抗性交換型MHDモードのみではグローバルな閉じ込め性能に大きく影響してない.抵抗性交換型MHDモードが安全係数が極小値となる位置より外側の有理面のテアリングモードと結合しコラプス現象を引き起こすことが見いだされた.テアリングモードの安定性解析は,外側の有理面のテアリングモードの安定性パラメータが自由境界条件によって影響を受けることを示しており,この結果はプラズマ表面の安全係数が整数となる時にコラプスが発生する実験事実に矛盾しない.理想低nキンクモードがJT-60の真空容器壁の壁安定化効果により安定化されることを明らかにした.壁で安定化されたプラズマのコラプス後に現れる効果抵抗性壁モードによる磁気流体揺動を観測した.


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