2002年度

Applied Radiation and Isotopes


301020
Transfer function analysis of positron-emitting tracer imaging system (PETIS) data
Keutgen, N.* ; 松橋信平 ; 水庭千鶴子* ; 伊藤岳人* ; 藤村卓 ; 石岡典子 ; 渡辺智 ; 関根俊明 ; 内田博* ; 橋本昭司
Applied Radiation and Isotopes 57(2), p.225-233(2002) ; (JAERI-J 19457)

 植物内での物質移行の定量解析の試みとして,植物用ポジトロンイメージング装置(PETIS)での計測結果の伝達関数法による解析を行った.植物としてニラあるいはダイズを用い,葉あるいは茎の切り口から13N-硝酸及び18F-水溶液を投与し,得られた分布変化の画像を伝達関数法により解析し,ポジトロン放出核種の見かけの移行速度を求めた.その結果,ニラ葉中の18F-水溶液の移行速度は1.2cm/min,ダイズ3小葉の中葉での18F-水溶液の移行速度は10.7cm/min,13N-硝酸は11.9cm/minとなり,ダイズの小葉では硝酸と水の移行速度とほぼ同じであることが明らかとなった.これらの結果は,伝達関数法によるPETIS計測データの解析が,植物中での物質移行の定量化に有効な手法であることを示しており,環境ストレス要因が植物に与える影響の評価に役立つと考えられる.


301019
Accumulation and potential dissolution of Chernobyl-derived radionuclides in river bottom sediments
眞田幸尚* ; 松永武 ; 柳瀬信之 ; 長尾誠也 ; 天野光 ; 高田秀重* ; Tkachenko, Y.*
Applied Radiation and Isotopes 56(5), p.751-760(2002) ; (JAERI-J 19456)

 原子力施設の事故時に放射性核種が環境中に放出された場合の,長期的な環境影響を評価するために,チェルノブイル原子力発電所を中心とする汚染地域で放射性核種の水系における移行挙動を実地に研究した.チェルノブイル原子力発電所近傍のプリピアチ川において,チェルノブイル事故に起因する放射性核種により河川堆積物が高度に汚染された地点を見いだした.その堆積物中の放射性核種(Cs-137,Sr-90,Pu-239/240,Am-241)について,鉛直分布と存在形態分析を行った.その結果,Cs-137,Pu,Am同位体は堆積物の中で強い固定相に存在することがわかった.一方,Sr-90はより緩い結合相に存在するため,堆積物からのSr-90の溶出可能性を長期的な影響評価のうえで考慮すべきことが,野外試験により実際に明らかになった.


300491
Particle size analysis of radioactive aerosols formed by irradiation of argon using 65MeV quasi-monoenergetic neutrons
遠藤章 ; 野口宏 ; 田中進 ; 神田征夫* ; 沖雄一* ; 飯田孝夫* ; 佐藤薫 ; 津田修一
Applied Radiation and Isotopes 56(4), p.615-620(2002) ; (JAERI-J 19022)

 高エネルギー加速器施設における内部被ばく評価のために,高エネルギー中性子照射場で発生する放射性エアロゾルの生成機構及び粒径分布を解析した.TIARAの65MeV準単色中性子照射場を用い,DOPエアロゾルを添加したArガスを照射した.照射後,エレクトリカルロープレッシャインパクタを用いて,DOPエアロゾルの個数基準の粒径分布,40Arの(n, 2np),(n, np)反応からそれぞれ生成される38C,39Clエアロゾルの放射能基準の粒径分布を測定した.実験で得られた放射性エアロゾルの粒径分布は,核反応で生成された38Cl,39Cl原子が,DOPエアロゾル表面に付着すると仮定し評価した粒径分布と,良く一致することが明らかとなった.


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