2002年度

Physics of Plasmas


310272
Time and space-resolved measurement of a gas-puff laser-plasma X-ray source
鈴木将之* ; 大道博行 ; Choi, I. W.* ; Yu, W.* ; 長井圭治* ; 乗松孝好* ; 三間圀興* ; Fiedorowicz, H.*
Physics of Plasmas 10(1), p.227-233(2003) ; (JAERI-J 19902)

 レーザープラズマX線源は,縮小転写型の(EUV)リソグラフィー,X線顕微鏡,三次元立体微細加工,タンパク質の構造解析などに応用が可能である.レーザープラズマX線源をこれらに応用するためには,発生するX線の特性評価を行う必要がある.このことから今回ガス中を伝播するレーザーパルス光の相互作用を理解するためにレーザー光の吸収率測定を行った.それと同時にX線の発生時間の測定を行った.またレーザー光の伝搬の様子をスリットカメラにストリークカメラを用いて測定を行った.その結果ガス中に照射されたレーザーは,ブレークダウンを起こして電子−イオンの衝突を繰り返すという逆制動放射によってプラズマ加熱されていることがわかった.ガス中における吸収率からネオンを用いたとき17%,アルゴンのとき12%,クリプトンのとき38%,キセノンのとき91%と言う結果より原子番号依存性があることがわかった.また,時間分解空間分解測定の結果からガス中を伝搬していくレーザー光はガスの拡がりが狭いとフォーカス位置を中心にプラズマが拡がっていくが,ガスの拡がりが広いときはガス中をレーザー光がプラズマを作りながら進んでいくことがわかった.


310069
Effects of finite radial excursion on the slowing-down distribution of toroidally circulating energetic ions produced by tangential neutral beam injection
Wang, S.* ; 小関隆久 ; Xie, J.* ; 林伸彦
Physics of Plasmas 9(11), p.4654-4663(2002) ; (JAERI-J 19733)

 中性粒子ビーム接線入射により生ずるトロイダル周回高速イオンの減速過程を,高速イオン案内中心の有限径方向偏位を考慮し,3つの運動不変量(エネルギー,磁気モーメント,正準トロイダルモーメント)に関する簡約化ドリフト運動論的方程式で記述した.減速過程の方程式に対する,近似した解析解を得た.この解析解により,アスペクト比の大きいトカマクでの,有限の径方向偏位を含んだトロイダル周回高速イオンの減速分布関数を記述できる.


300823
Extension of integrated high performance regimes with impurity and deuterium particle control in Japan Atomic Energy Research Institute Tokamak-60 Upgrade (JT-60U)
久保博孝 ; JT-60チーム
Physics of Plasmas 9(5), p.2127-2133(2002) ; (JAERI-J 19301)

 JT-60Uでは,不純物入射,ペレット入射を用いた不純物,重水素粒子の制御によって,閉じ込め改善流域を高密度,高放射損失,高プラズマ純度に向けて拡張する研究を進めている.通常のダイバータ配位のELMy Hモードでは,Ar入射によって高密度領域(0.65nGW)で高放射損失(80%),高閉じ込め(HH98(y,2)=1)を得た.ELMy Hモードでは輸送障壁の内側でイオン温度分布形状が変わらないという性質が有り,Ar入射の場合には輸送障壁部のイオン温度を高く維持できるため,閉じ込め改善度を維持できると考えられる.Arと重水素のリサイクリングを増加するために外側セパラトリックスをダイバータドームの頂上においた放電では,さらに高密度(0.8nGW)まで閉じ込め改善を維持できた.また,高βpELMy Hモードでは,ペレット入射によって高閉じ込めの密度領域を0.6nGWから0.7nGWまで拡張できた.


300822
Direct measurement of coherent ultrahigh wakefields excited by intense ultrashort laser pulses in a gas-jet plasma
小瀧秀行 ; 神門正城 ; 桶田隆継* ; 益田伸一* ; Koga, J. K. ; 近藤修司 ; 金沢修平 ; 横山隆司* ; 的場徹 ; 中島一久*
Physics of Plasmas 9(4), p.1392-1400(2002) ; (JAERI-J 19300)

 高強度レーザーをガス中に集光すると,レーザーの動重力により電子振動(航跡場)が起こる.これは非常に強い電界をもっており,これにより荷電粒子の加速が可能である.これを加速器に応用することかできれば,現在の高周波加速器に比べコンパクトで高エネルギーの加速器を作ることが可能となる.この航跡場をコントロールするためには,この電界や位相の測定ができなければならない.さらに,高強度レーザーの伝播には,レーザーラインを真空にする必要があり,そのためプラズマ源はガスジェットによってつくる必要がある.まず最初,ガスジェットの密度分布の時間変化をマッハツェンダー干渉計を用いて測定した.この測定により,ガスの密度分布は,ガスジェットノズルからの距離が1.5mmの位置において,背圧10気圧のヘリウムの場合,ガス密度が3.5×1017(プラズマ密度で7×1017)になることがわかった.この結果より,周波数干渉計を用いて,ノズルからの位置を1.5mm,ガスジェットの背圧10気圧のときの,ガスジェット中に集光したレーザーによるプラズマ振動の測定を行い,ここから電界を求めた.20GeV/m以上の高電界の発生を確認した.この結果は,航跡場の線型理論に非常によく一致した.ガスジェットを用いての測定は世界で初めてのことである.ガスジェットのガス密度測定及びガスジェットでのプラズマウェーク測定について報告する.


300821
Zonal flows in gyrofluid simulations of slab electron temperature gradient turbulence
Li, J.* ; 岸本泰明
Physics of Plasmas 9(4), p.1241-1254(2002) ; (JAERI-J 19299)

 帯状流はドリフト波の非線形相互作用によって生成される.三次元ジャイロ流体シミュレーションによると,静電的なスラブ電子温度勾配モードによる乱流システムにおいては,帯状流の発生は遅い過程であり,その振幅は近似的に時間に比例して増大することが明らかとなった.この場合,ETG駆動の帯状流は,背景の電子乱流輸送レベルに比べると弱く,乱流を抑制するには至らないことがわかった.この帯状流のダイナミックスが,定常状態において帯状流を考慮したシミュレーションにより解析された.


301059
High energy ions and nuclear fusion in laser-cluster interaction
岸本泰明 ; 正木知宏* ; 田島俊樹*
Physics of Plasmas 9(2), p.589-601(2002) ; (JAERI-J 19496)

 高強度極短パルスレーザーと微細な固体粒状物質の集合体であるクラスター媒質との相互作用の基礎的物理過程を理論及びシミュレーションにより解析している.レーザークラスター相互作用は,通例の固体やプラズマとの相互作用と本質的に異なり,横方向の分極作用が起因となり,レーザー伝播や吸収過程に特異な現象を作り出すことが示されている.本相互作用を重水素クラスターに適用することにより,高エネルギー重水素イオンを多量に発生させ,重水素核融合及びそれに伴う多量の中性子発生が可能であることを指摘している.2次元の粒子シミュレーションにより相互作用を最適化し,1012個/cm2・secに及ぶ中性子発生が期待でき,将来の中性子源としての可能性を指摘している.


300553
Role of the shear flow profile on the stability of magnetic islands
Smolyakov, A. I.* ; Lazzaro, E.* ; Coello, R.* ; 小関隆久
Physics of Plasmas 9(1), p.371-374(2002) ; (JAERI-J 19084)

 新古典テアリングモードは,ブートストラップ電流を用いた高βプラズマの性能向上を制限するものとして精力的な研究が行われている.イオン慣流電流(イオン分極電流)は磁気島の安定化効果があると考えられており,本論文はシアープラズマ流のイオン慣性電流への影響を調べた.その結果,磁気島端において局所プラズマ流があり,それによる磁気島内に循環する流れがある場合に,磁気島の安定化効果があることを示した.一方,磁気島内に流れのない場合は不安定化に働く.


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