2002年度

Thin Solid Films


310280
Photo-induced surface charge separation in Cr-implanted TiO2 thin film
住田泰史* ; 八巻徹也 ; 山本春也 ; 宮下敦巳
Thin Solid Films 416(1-2), p.80-84(2002) ; (JAERI-J 19910)

 酸化チタン(TiO2)表面の電荷分離性能を,パルスレーザーデポジション法で製膜したCrが一様分布した膜と,イオン注入により作成したCr濃度勾配を持つ膜について,本研究室にて開発したパルス光励起表面電荷分離性能評価法(PITCS)を用いて評価を行った.その際,Crの膜内分布は二次イオン質量分析計で確認を行い,両膜の最表面のCr濃度はXPSを用いて等しくなるように作成を行った.PITCS法は金属電極を用いず,外部電界も印加する必要がないので,TiO2表面の既存のバンド勾配を乱すことなく,その膜の本質的な電荷分離性能を見積もることが可能である.この手法を用いて測定を行った結果,Cr濃度勾配を持つ膜は520nmの可視光に対してまで高い電荷分離性能を示した.これは,Cr一様分布膜や,アナターゼ単結晶膜よりはるかに高い性能であった.


310279
Surface chemical states and oxidation resistivity of "ecologically friendly" semiconductor (β-FeSi2) thin films
斉藤健* ; 山本博之 ; 笹瀬雅人* ; 仲野谷孝充 ; 山口憲司 ; 原口雅晴* ; 北條喜一
Thin Solid Films 415(1-2), p.138-142(2002) ; (JAERI-J 19909)

 イオンビームスパッタ蒸着法を用いて「環境半導体」β-FeSi2薄膜をSi(100)基板上に作製した.この過程において,生成したFeSi2薄膜がSiや他の化合物半導体に比べ大気中においても極めて安定で,強い耐酸化性を有していることを見いだした.この原因を明らかにするために,当研究グループにおいて開発した放射光−光電子分光法による非破壊深さ分析法を用い,薄膜の表面化学状態及び組成について検討した.この結果,FeSi2薄膜(厚さ100nm)表面に0.7nm程度と考えられる極めて薄いSiO2層が生成していることを明らかにした.このSiO2層はFeSi2上に均一に成長しており,3ヶ月間大気中に放置した後においてもほとんど変化が見られない.熱化学的評価からFeSi2自体は大気中で室温においても酸化が進むと考えられる.このため生成したFeSi2薄膜が安定であることは最表面の均一なSiO2層が耐酸化性に寄与していると考えられる.


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