2002年度

Applied Surface Science

300943
Reflection high-energy positron diffraction at solid surfaces by improved electrostatic positron beam
河裾厚男 ; 石本貴幸* ; 岡田漱平 ; 伊藤久義 ; 一宮彪彦*
Applied Surface Science 194(1-4), p.287-290(2002) ; (JAERI-J 19389)

　静電陽電子ビームを用いた各種固体表面の回折パターンの観測と反射率測定について報告する．初めてのRHEPD観測と一連の実験の後，ビームのエネルギー分散とパックグラウンドを低減させるため，分析電極と2つのアインツェルレンズを追加することで，装置を改良した．装置は，20keVのビームを高平行で発生できる仕様となっている．測定された角度分散は，0.1°で，エネルギー分散は，100eV（1%以下）であった．最も顕著な結果は，これまで観測することができなかった第1ラウエ帯が観測できるようになったことである．そのほか，金属表面によるRHEPDロッキング曲線などが新たに測定された．

301200
Preparation of anatase and rutile thin films by controlling oxygen partial pressure
Syarif, D. G.* ; 宮下敦巳 ; 八巻徹也 ; 住田泰史* ; Choi, Y.* ; 伊藤久義
Applied Surface Science 193(1-4), p.287-292(2002) ; (JAERI-J 19614)

　レーザ蒸着(PLD)によりガラス基板上二酸化チタン(TiO₂)薄膜を作製した．結晶構造，表面構造，光触媒性能の酸素分圧依存性をX線回折(XRD)，原子間力顕微鏡(AFM)，UV-VIS分光計で求めた．基板温度773Kの条件で酸素分圧の増加により，表面構造は平坦から粗い構造へと変化し結晶構造はルチルからアナターゼへと変化した．酸素分圧調整の結果，表面構造の変化とアナターゼ構造生成により光触媒性能は向上した．

300942
Inner shell excitation and dissociation of condensed formamide
池浦広美* ; 関口哲弘 ; 北島義典* ; 馬場祐治
Applied Surface Science 169-170, p.282-286(2001) ; (JAERI-J 19388)

　低温（96K）基板上に凝縮させたホルムアミド分子について炭素及び窒素内殻励起とそれに伴う解離過程を全電子収量−X線吸収微細構造（NEXAFS）法，全イオン収量法，H+光刺激脱離法により調べた．C1s，N1sからσ*(C-H)，σ*(N-H)への電子遷移によりそれぞれ C-H，N-H官能基から選択的解離によりH+生成量が増加した．このことは相当する空分子軌道がC-HやN-H上に反結合性をもつことを示している．また，凝集層の配向性を調べるためNEXAFSの入射角度依存性を測定した．吸着分子のCNO平面は表面平行より平均約42度傾いていることが決定された．