2002年度

Journal of Solid State Chemistry


310257
Magnetic and calorimetric studies on ordered perovskite Ba2ErRuO6
泉山ユキ* ; 土井貴弘* ; 分島亮* ; 日夏幸雄* ; 中村彰夫 ; 石井慶信
Journal of Solid State Chemistry 169(1), p.125-130(2002) ; (JAERI-J 19887)

 表記のペロヴスカイト型化合物の磁気的性質について,中性子散乱,磁化測定及び比熱測定等を用いて調べた.室温での中性子散乱から,本系がBサイトでEr3+とRu5+が秩序化した立方晶ペロブスカイト構造を持つことを明らかにした.また,磁化及び比熱データから,本系が10Kと40Kの2温度で磁気転移を示すことを明らかにした.磁気比熱の温度依存性を解析し,40Kの転移はRu5+の反強磁性秩序化によるものであり,また10KのそれはEr3+間の磁気的相互作用に基づくものであることがわかった.10Kでの中性子散乱データの解析は,本系がEr3+,Ru5+の両者の長距離の強磁性秩序を伴うTypeI型の磁気構造を有しており,それらの磁気モーメントは(a-b)面内でお互いに反平行に向いていることを示している.


300979
Structure and electrical transport property of a silicopnictide ZrCuSiP
阿部英樹* ; 吉井賢資
Journal of Solid State Chemistry 165(2), p.372-374(2002) ; (JAERI-J 19425)

 新規化合物ZrCuSiPを,真空封止した石英アンプル中での,ZrCuSi合金と赤リンとの反応により合成した.粉末X線回折データのリートベルト解析からは,この物質がZrCuSiAs型構造(空間群P4/nmm)を有することがわかった.格子定数はa=0.35671(1) nm及びc=00.94460(4) nmである.電気抵抗測定からは,本物質が低温5Kまでにおいて金属的であることがわかった.


300798
Magnetic properties of LnMnO3 (Ln=Ho, Er, Tm, Yb and Lu)
吉井賢資 ; 阿部英樹*
Journal of Solid State Chemistry 165(1), p.131-135(2002) ; (JAERI-J 19276)

 六方晶構造を有する標記酸化物の磁性を調べた.Ln=Luでは明瞭な反強磁性転移が90Kに観測されたが,そのほかの酸化物ではこの転移は不明瞭である.これは,Lnスピンによる常磁性の寄与と,Mnスピン間の強い反強磁性相互作用によるものと考えた.全ての系で70−90K以下でキュリーワイス則からのずれが見られ,これはMnスピンの反強磁性転移によるものである.LnサイトにCaを置換した系Ln0.5Ca0.5MnO3の磁化データも簡単に議論する.この系は異なる結晶構造である斜方晶構造を有すること,室温付近でキュリーワイス則からのずれが見えるなど,異なる性質を示すことがわかった.


300530
Magnetic properties of La1-xPrxCrO3
吉井賢資 ; 中村彰夫 ; 石井慶信 ; 森井幸生
Journal of Solid State Chemistry 162(1), p.84-89(2001) ; (JAERI-J 19061)

 ペロブスカイトLa1-xPrxCrO3の磁性を調べた.xが0から1の範囲内で結晶構造はどれも斜方晶Pnmaであった.Xの全領域で反強磁性磁気転移が見られた.ネール温度はxを増やすともに288Kから240Kへと減少した.混晶試料においては,230K以下で,磁化の符号がマイナスになる現象が見られた.これは,磁化の方向と磁場の方向が逆向きであることを示し,磁性体の通常の挙動とは異なる.温度を下げるとこの磁化の値は下がりつづける.X=0.8の試料では,マイナス磁化の最大絶対値は,230K以上における正磁化の最大値の250倍にも達した.中性子回折からは,Crスピンがy軸方向に反強磁性整列していることがわかった.GdCrO3における類似現象から,マイナス磁化の起源はPrスピンがCrスピンと逆向きとなったためと推測した.


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