2002年度

Physical Review A


310067
Gain saturation of nickel-like silver and tin x-ray lasers by use of a tabletop pumping laser system
河内哲哉 ; 加道雅孝 ; 田中桃子 ; 佐々木明 ; 長谷川登 ; Kilpio, A.* ; 難波慎一* ; 永島圭介 ; Lu, P.* ; 高橋謙次郎* ; Tang, H.* ; Tai, R.* ; 岸本牧 ; 小池雅人 ; 大道博行 ; 加藤義章
Physical Review A 66(3), p.033815_1-033815_7(2002) ; (JAERI-J 19731)

 銀及び錫のスラブターゲットに線集光したCPAガラスレーザー光(時間幅4ピコ秒のプリパルスと加熱パルス.パルス間隔1.2ナノ秒)を照射した.本実験ではレーザーの集光光学系に階段ミラーを導入することにより励起光を疑似進行波とし,それにより波長13.9nmと12.0nmの過渡励起電子衝突レーザーにおいて飽和増幅を達成した.利得係数は銀レーザーで35 [1/cm],錫レーザーで30[1/cm]であった.入力エネルギーは各々12J及び14Jであり,小型励起光源を用いた過渡励起電子衝突レーザーとしては最短波長での飽和増幅である.実験的に評価した飽和強度と理論計算による予測との比較から,X線レーザーの線幅としてイオン温度に起因する不均一拡がりと,レーザー準位の衝突励起脱励起に起因する衝突拡がりの両方が,ニッケル様イオンレーザーの場合には重要であることを見い出した.流体コードと衝突輻射モデルを組み合わせた計算に,この線幅の効果を取り入れることにより,実験的に観測されたレーザー線利得の発生位置及びその利得係数の大きさをほぼ再現することができた.


300817
Extended description for electron capture in ion-atom collisions; Application of model potentials within the framework of the continuum-distorted-wave theory
Gulyas, L.* ; Fainstein, P. D.* ; 白井稔三
Physical Review A 65(5), p.052720_1-052720_9(2002) ; (JAERI-J 19295)

 一電子捕獲を記述するための連続状態歪形波(CDW)近似を拡張するために,捕獲される活性電子と残留イオン及び入射イオンの相互作用を記述するモデルポテンシャルを導入した.具体的にH及びHe原子と完全及び不完全電離イオンの衝突における一電子捕獲断面積を計算し,実験データ,本計算結果と従来の(捕獲される活性電子の初期及び終状態を解析関数で近似する)CDWモデルによる計算結果を比較した.実験データが存在するプロトン−Heの衝突における電子捕獲の終状態依存性について,従来の計算法に較べて,今回開発したCDW近似の拡張版の方が実験結果により良く一致する.両者の差の原因について考察した.本CDW近似の拡張版では,不完全電離イオン内の非占有軌道数の占有割合を考慮出来るため,電子捕獲断面積の入射イオンの電荷数依存性を計算することができる.


300816
Polarization of photons emitted in radiative electron capture by bare high-Z ions
Eichler, J.* ; 市原晃
Physical Review A 65(5), p.052716_1-052716_5(2002) ; (JAERI-J 19294)

 裸の高Z原子核上で生じる輻射電子捕獲反応は,光電効果の逆反応である輻射再結合の理論を用いて解析できる.輻射再結合反応によって放出される光子の直線及び円偏光の偏光度を計算するための公式を,相対論的量子力学に基づいて導いた.公式中では,光子の全ての多重極項が考慮されている.得られた式を用いて直線偏光及び円偏光の偏光度の,光子放出角度に対する依存性及び入射電子エネルギー(放出光子エネルギー)依存性を計算した.そして,直接偏光の偏光度の符号が変化する際に偏光度がゼロとなる,(cross-over)光子放出角度に対する予見を行った.この結果,高Zイオンの光電効果中で予測されるcross over現象が,逆反応である輻射電子捕獲の実験によって測定できることを示した.


300548
Electron spectroscopy of doubly excited states in He produced by slow collisions of He2+ ions with Ba atoms
家村一彰* ; 大谷俊介* ; 鈴木洋* ; 武田淳一* ; 町田修一* ; 田辺邦浩* ; 高柳俊暢* ; 脇谷一義* ; 関口雅行* ; 金井保之* ; 北澤真一 ; Tong, X. M.* ; 加藤太治* ; 坂口修一* ; 渡部力* ; Currell, F. J.*
Physical Review A 64(6), p.062709_1-062709_14(2001) ; (JAERI-J 19079)

 私たちは,He2+イオンとBa原子の低エネルギー衝突において,2電子捕獲で生成したHe原子2電子励起状態から自動電離によって生成した放出電子スペクトルを測定した.測定は,40から20 keVの衝突エネルギーで,0度電子分光学によって行なわれた.2電子励起状態からの自動電離による電子スペクトルは,He(2lnl)からHe+(1s)n≧2及びHe(3lnl)からHe+(2s or 2p)n≧3が観察された.スペクトル中のライン・ピークは,理論計算値と電子スペクトルを比較することにより識別された.DとFといった比較的高い角運動量の2電子励起状態が,著しく作成されたことで,中性なHe原子と光子,電子,イオン衝突による励起状態とは,異なる生成であるということがわかった.大きなnの値を持ったRydberg準位が,He(2lnl)及びHe(3lnl)の両方で,高い頻度で観察された.


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