2002年度

Radioisotopes


310287
光子入射におけるファントム材質の後方散乱線への影響
高橋史明 ; 山口恭弘
Radioisotopes 52(2), p.94-97(2003) ; (JAERI-J 19917)

 光子照射において,線量計校正用スラブファントムの材質が後方散乱線の発生に与える影響に関して解析した.連続エネルギーモンテカルロコードMCNP-4Bを用いた計算により,異なる材質からなる30×30×15cm3の寸法のファントム表面の散乱線を解析した.また,改良したMIRD-5型ファントムを用いた計算により,人体表面における線量を評価した.散乱線による線量値は,国際標準機関(ISO)が推奨する水ファントムの表面及び軟組織材ファントム表面の間で大きな差が見られなかった.一方で,PMMA材のスラブファントム表面の線量は,水または軟組織からなるファントムよりも高い値を示した.また,人体胴体部の表面においた線量計の応答値は,ISOファントム表面における線量計のものに近くなることがわかった.


310081
アジア諸国における原子力技術の基礎指導者養成
生田優子 ; 蔀肇* ; 佐伯正克*
Radioisotopes 51(11), p.509-521(2002) ; (JAERI-J 19745)

 文科省から受託している「国際原子力安全技術研修事業」で実施している,「指導教官研修」及び「講師海外派遣研修」について解説した.両研修のカリキュラム,相手国へ持ち込んだ研究用機器類,各国で実施している講師海外派遣研修の特徴等について詳しく記述した.


301078
高濃度SO2含有燃焼排煙の電子ビーム処理における脱硫反応
広沢昌二郎* ; 小嶋拓治 ; 橋本昭司 ; 鈴木良治* ; 青木慎治*
Radioisotopes 51(8), p.285-295(2002) ; (JAERI-J 19515)

 リグナイト炭燃焼排煙(SO2(5500ppm),NO(390ppm),H2O(22%))を用いた電子ビームによる排煙処理の実験を実施し,1-2kGyで90%以上の脱硫率を得た.これはリグナイト燃焼排煙の処理に対する電子ビームの適用が可能であることを示している.電子ビーム照射によるラジカル反応によって除去される脱硫量は高々数百ppmであること,また照射無しで脱硫を生じさせるサーマル反応による脱硫量は全脱硫量の半分程度であることから,これら以外の脱硫反応が示唆された.サーマル反応に類似の液滴表面上でのSO2とアンモニアの同時取り込み反応を提唱した.液滴エアロゾルを生成するうえで,25℃で60%の潮解相対湿度(DRH)を持つ硝酸アンモニウムが重要な役割を担っていることを指摘した.硝酸アンモニウムのDRHは温度とともに及び硫酸アンモニウムとの複塩化とともに減少し,液滴エアロゾルの形成を促進していると考えられる.


301077
イメージングプレートを利用したエアフィルタの捕集性能の簡易評価法
木内伸幸 ; 大石哲也 ; 吉田真
Radioisotopes 51(7), p.266-271(2002) ; (JAERI-J 19514)

 粒子状放射性物質の空気中濃度測定に用いるフィルタの選択にあたっては,粒子捕集効率や表面捕集率といった捕集性能を考慮する必要がある.イメージングプレートを利用して捕集性能を簡易的に評価する方法を検討した.大気塵(ラドン崩壊核種)に対する種々のフィルタの捕集性能を比較し,評価方法の有用性を確認した.


300840
大強度パルス中性子源の開発とその利用
大山幸夫
Radioisotopes 51(5), p.219-227(2002) ; (JAERI-J 19318)

 21世紀の科学技術を進める研究基盤施設として,現在,日本原子力研究所(原研)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)とが共同で建設を進めている,大強度陽子加速器計画が建設に着手しようとしている.この計画は,3段階のエネルギーに加速された陽子を使って多分野にわたって利用される多目的研究施設である.この中でも特に,大強度パルス中性子源施設は年間延べ数千人にのぼる多くのユーザーを抱える施設であり,そこでは物質・生命科学の多様な研究が行われることが期待される.本施設の完成時には,パルス中性子源も含めて各研究施設では世界第一級の性能の実験設備が完成する.本稿では,大強度パルス中性子源の概要,そしてそこで期待される中性子の利用研究について紹介する.


300584
緊急時環境モニタリングのための空気中プルトニウム放射能濃度測定装置の開発
木内伸幸 ; 大石哲也 ; 野口宏 ; 吉田真 ; 加藤正平 ; 伊藤勝人*
Radioisotopes 51(2), p.71-77(2002) ; (JAERI-J 19115)

 再処理施設の緊急時環境モニタリングのために,空気中のプルトニウム濃度を迅速かつ高感度に測定できるダストモニタを開発した.プルトニウムはフィルタに捕集され,α線スペクトル測定が行われる.大気圧状態の連続測定と真空状態のバッチ測定の2方式を採用した.ダストモニタの概要と特性試験の結果について報告する.


300583
植物の生理活動研究の手段としてのPET
森敏* ; 中西友子* ; 林浩昭* ; 大山卓爾* ; 内田博* ; 松橋信平 ; 関根俊明
Radioisotopes 50(9), p.408-418(2001) ; (JAERI-J 19114)

 原研が中心となり開発を進めてきた植物研究用ポジトロンイメージング装置(PETIS)とこれを用いて研究を行うためにこれまでに開発してきたポジトロン標識化合物について,開発経緯と現状を解説した.また,PETISを用いた原研・大学プロジェクト共同研究で得られた知見として,植物体を構成する主要元素である炭,窒素などの化合物,植物内での物質輸送に重要な役割を果たすと考えられる水,ミネラルとして重要な金属元素等の動態に関して,植物生理学的な立場から,これまでの研究手法ではえられなかった知見の新規性,重要性について解説した.


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