2002年度

材料


300999
複数の圧子を用いた押込み試験による構成式中の材料定数の同定
涌井隆* ; 二川正敏 ; 田辺裕治* ; 井岡郁夫
材料 51(6), p.681-687(2002) ; (JAERI-J 19445)

 材料照射の損傷機構と力学的なマクロ特性との相関を知る簡便な手法として硬さの計測が行われる.一方,原子炉システム耐食構造部材では環境割れ機構の解明が急務であり,機構解明には粒界脆化などの材料微小領域における力学特性を評価することが重要となる.そこで,押込み試験から微小領域の材料質変化を評価し,マクロ的な力学特性として材料定数を定量的に評価する手法を考案した.すなわち,複数の形状の異なる圧子を用いた微小押込み試験から得た荷重深さ曲線を実験的及び解析的に評価する.解析的に評価した荷重負荷曲線の傾きと材料定数との関係を示す特性曲線及び傾きの実験値を用いて,各圧子に対する荷重負深さ曲線を表す最適な材料定数を同定する.仮想数値実験と2種類の合金に対する実験結果から,本手法の有用性を確認した.


300844
気孔によるき裂の進展効果を考慮したぜい性破壊モデルの提案
石原正博 ; 高橋常夫*
材料 51(4), p.425-430(2002) ; (JAERI-J 19322)

 本論文においては,気孔とき裂の相互作用を考慮した脆性破壊モデルを提案している.提案モデルは,黒鉛材料の引張強度を予測することが可能で,気孔を初期き裂として仮定して,き裂を破壊力学と確率論的に扱っている.強度試験データと提案モデルを用いた予測値との比較検討により,提案モデルは平均引張強度のみならず強度分布もかなりよく一致し,提案モデルの妥当性を確認した.さらに,解析的検討により,気孔サイズが大きく気孔率の高い黒鉛ほど気孔とき裂の相互作用効果が大きいことを明らかとした.また,提案モデルを用いた強度の粒径依存性の予測値は,いろいろなセラミックスで得られている挙動とほぼ同じ挙動を示した.


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