2002年度

Applied Physics A


310206
Tritium recovery from co-deposited layers using 193-nm laser
洲亘 ; 川久保幸雄* ; 西正孝
Applied Physics A 76(3), p.421-425(2003) ; (JAERI-J 19836)

 炭素系プラズマ対向タイルを用いた核融合装置では,水素同位体を含むカーボン共堆積層がタイル上に形成されることが知られている.トリチウムと重水素を燃料とする核融合炉では炉内トリチウムインベントリーの低減が安全上重要であるが,共堆積層中に多量のトリチウムが捕捉されうることが指摘されている.共堆積層からのトリチウム回収技術開発の一環として波長193nmのArFレーザー照射研究開発を行い,0.1J/cm2のエネルギー密度のレーザーで共堆積層を照射した場合には,トリチウムの放出速度は照射の初期でピークに達し,表面のトリチウムが速やかに除去されることを実証した.また,トリチウムは元素状分子で放出されることを見出したが,これはその後のトリチウム処理が容易にできることを示唆するものである.次に高いエネルギー密度のレーザービームで共堆積層を照射し,アブレーションによる共堆積層自体の除去実験を行った.共堆積層の除去率はアブレーションの閾値(1.0J/cm2)より低いエネルギー密度では非常に小さいが,閾値を超えるとエネルギー密度と共に増大し,7.6J/cm2では1.1μm/pulse に達した.さらに,照射中の表面温度を測定し,0.5J/cm2 のエネルギー密度の場合,照射の初期には3570Kに達するが,照射の進行とともに低下し,1000パルス目には2550K程度にまで下がることを見出した.


310205
High position-resolution scintillation neutron-imaging detector by crossed-fiber readout with novel centroid finding method
片桐政樹 ; 藤健太郎* ; 坂佐井馨 ; 松林政仁 ; 美留町厚 ; 高橋浩之* ; 中澤正治*
Applied Physics A 74(Suppl.1), p.S1604-S1606(2002) ; (JAERI-J 19835)

 高位置分解能/高計数率な中性子イメージングを目指して新しい中心位置決定法によるクロスファイバ読み取り法を用いた高位置分解能シンチレーション中性子イメージング検出法を開発した.検出器の構造は,シンチレータの上下の面にクロスした波長シフトファイバを配置した構造である.これまでは,中性子入射位置周辺で蛍光を検出したファイバのなかで最も蛍光の量が多いファイバの位置を入射位置としていた.考案された方法では,複数のファイバの同時計数を行い同時計数したファイバの中心の位置を中性子入射位置としている.この方法により,中心位置決定回路の簡易化を図りコストを削減するとともに高計数率化を可能とした.ZnS:Ag/LiFシンチレータを用いた基礎実験により,0.5mmの位置分解能が得られることを確認した.


310204
High counting rate two-dimensional neutron imaging method using rectangular scintillators with WLS fibers
藤健太郎* ; 片桐政樹 ; 坂佐井馨 ; 松林政仁 ; 美留町厚 ; 高橋浩之* ; 中澤正治*
Applied Physics A 74(Suppl.1), p.S1601-S1603(2002) ; (JAERI-J 19834)

 大面積/高計数率な中性子イメージングを目指してLiガラスシンチレータと波長シフトファイバを組み合わせた中性子イメージング検出法を開発した.検出器の構造は,Liガラスシンチレータの4つの側面に波長シフトファイバを配置しアレイ化した構造である.X軸及びY軸の位置はガラスシンチレータのそれぞれ相対する側面に配置されたファイバの同時計数が成立した場合に決定する方法を用いている.5mm×5mm×2mmtのLiシンチレータを4×4のアレイとした検出器を用いた基礎実験により,3Mcpsの中性子が入射してもリニアリティ良く中性子イメージングが可能であることを確認した.


310203
A SrBPO5:Eu2+ storage phosphor for neutron imaging
坂佐井馨 ; 片桐政樹 ; 藤健太郎* ; 高橋浩之* ; 中澤正治* ; 近藤泰洋*
Applied Physics A 74(Suppl.1), p.S1589-S1591(2002) ; (JAERI-J 19833)

 パルス中性子の2次元イメージング用蛍光体としてSrBPO5:Eu2+蛍光体の特性を調べた.われわれは本蛍光体が,Gdのような中性子有感物質を添加しなくても,中性子照射後,635nmのレーザー光を照射することによって輝尽性蛍光特性を有することを発見した.単位中性子束あたりの輝尽性蛍光の強度は中性子エネルギーの-0.5乗に比例することがわかった.中性子感度は母体中のホウ素をホウ素-10に濃縮することによって増大することを確認した.γ線感度と中性子感度の比は市販の中性子イメージングプレートより10倍優れていることも確認した.


310202
Detailed magnetic structure of the coupled edge-sharing CuO2 chains in Ca2+xY2-xCu5O10
松田雅昌 ; 加倉井和久 ; 山口博隆* ; 伊藤利充* ; Lee, C.* ; 岡邦彦*
Applied Physics A 74(Suppl.1), p.S637-S639(2002) ; (JAERI-J 19832)

 Ca2+xY2-xCu5O10は辺共有CuO2鎖を有する物質であり,低温において反強磁性相転移を示す.スピン構造は鎖内で強磁性的,鎖間で反強磁性的である.Ca2Y2Cu5O10において詳細な中性子非弾性散乱実験を行ったところ,鎖方向にはゾーン中心では鋭い磁気励起が観測されるが,中心から離れるに従って磁気励起のピーク幅の増加が見られるという古典スピン波理論では説明不可能な新しい現象を見いだした.またこの化合物のスピン構造を詳細に調べたところ,強磁性CuO2鎖におけるCuとOの強い電子軌道混成により,Cuスピンの非局在化(Cu位置のみに局在せずに3割程度はO位置に拡がって存在)が見られることを示した.


310201
Liquid-He-free 10-T superconducting magnet for neutron scattering
片野進 ; 皆川宣明 ; 目時直人 ; 長壁豊隆 ; 鈴木淳市 ; 小池良浩* ; 石井慶信
Applied Physics A 74(Suppl.1), p.S270-S272(2002) ; (JAERI-J 19831)

 液体ヘリウムを使用せず2台の冷凍機で直接冷却する新しいタイプの超伝導マグネットを中性子散乱実験用に開発した.マグネットは中性子ビームを通過させるために上下に分かれたスプリットペア型で,これら上下のマグネットはAl合金製の3つのリングと42.5度のAl合金の板で支えられている.合計厚み52mmのリングによって,中性子の透過度は,20MeVの中性子に対して約60%となる.室温ボアは直径51mmで,この中に4K冷凍機又はヘリウムフリーの希釈冷凍機が入れられる.このマグネットを用いた強相関電子系の磁性に対する強磁場効果の研究結果を報告する.


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