2002年度

日本金属学会誌


310073
高温固体電解質を用いた先進的核熱変換プロセスと高温ガス炉による電力水素併産システムに関する研究,2; 高温作動型固体電解質のナノ薄膜合成
石山新太郎
日本金属学会誌 66(11), p.1150-1156(2002) ; (JAERI-J 19737)

 高温ガス炉から供給される核熱エネルギーを利用してメタン原料から固体電解質により極めて高い効率で電力及び水素を併産できる新しいエネルギー変換技術の確立を目指して,800〜1000℃の高温領域で高いイオン伝導性を有し,かつ起電力時の固有抵抗損の少ない薄膜高温固体電解質を開発するため,スピンコート中でゾルーゲル合成を行う薄膜合成法によりCe0.8Sm0.2O1.9薄膜を生成し,この薄膜の基本的特性を調べた.その結果,下記結論が得られた.(1)スピンコート中にエチレングリコール系溶液中のCe(NO3)36H2O及びSm(NO3)36H2Oのゾルーゲル化合成反応を進行させることによってサファイア基盤上に数10〜100nmの緻密なCe0.8Sm0.2O1.9ナノ薄膜を生成した.(2)スピンコート後の成膜を1000℃で焼成処理するによってほぼ完全なCe0.8Sm0.2O1.9結晶構造を有し極めて緻密なナノ薄膜固体電解質を生成することに成功した.(3)このナノ薄膜は,1000℃で1.4Scm-1の極めて高いイオン伝導率を示すことが明らかとなった.この値は,高温作動型固体電解質において世界最高値である.


301074
高温ガス炉直接発電システム用高強度3D-C/Cコンポジット製タービンディスク模擬試験体の回転強度試験,2
石山新太郎 ; 武藤康
日本金属学会誌 66(6), p.662-669(2002) ; (JAERI-J 19511)

 高温ガス炉ガスタービン発電システム(HTGR-GT)用ターボ機器の軽量化を目的に,目標周速度500m/sを達成するためのC/Cコンポジット材を用いたタービンディスクモデル(外径×内径×厚さ=φ450mm×φ250mm×40mmt)の試作を行うとともに,このディスクモデルの高速回転試験の結果,下記結論が得られた.(1)ディスクモデル周方向,半径方向及び厚み方向への炭素繊維含有量をそれぞれ40vol%,10vol%及び4vol%としたC/Cコンポジットディスクモデルに,SiC化I-CVI法による緻密化処理を施すことにより,ディスク表面から厚み中央部にかけてマトリックス材中に2.5〜20μmのSiC層を形成することができた.(2)ディスクモデルのSiC化I-CVI処理は,ディスク構造強化ならびに高速回転試験における周方向炭素繊維剥離防止に効果があることが明らかとなった.(3)ディスクモデルの高速回転試験の結果,当初目標周速度(500m/s)を達成した.この達成値は,過去の二〜三次元強化C/Cコンポジット製小型ディスク試作体のスピンテストで達成された値としては最高値である.(4)高速回転試験中のディスクモデルの破壊プロセスは,ディスク内径側からの亀裂発生とその伝播が外径表面に至る過程で生じることを明らかにした.


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