2002年度

Applied Physics Letters


310207
Band gap narrowing of titanium dioxide by sulfur doping
梅林励* ; 八巻徹也 ; 伊藤久義 ; 浅井圭介*
Applied Physics Letters 81(3), p.454-456(2002) ; (JAERI-J 19837)

 可視光下で高活性な光触媒の新材料の開発を目的として,新物質の理論的な探索をバンド計算によって行ってきた.その結果,TiO2に対して硫黄(S)を添加することが有効な手段あることを突き止めた.計算から,Sは酸素(O) と置換することによって価電子帯の幅を増加させ,結果としてバンドギャップを減少させる働きを持つことを明らかにした.しかしながら,既報のデータではTiO2内のSとOの置換エネルギーは非常に大きいとされているため,Sのドーピングは困難であると考えられた.そこで,われわれはTiS2を高温で酸化することで当該物質の作製を試みた.そして,同化合物を600℃(空気中)で焼成することによって,SとOの置換に成功したことを,X線回折及び光電子分光測定の結果から明らかにした.さらに,拡散反射スペクトルからは,可視域において光応答性を持つことが確認され,理論的予測の裏付けを得た.この物質は,新たな可視光応答型光触媒材料として大きな可能性を持っている.


301199
Majority- and minority-carrier deep level traps in proton-irradiated n+/p-InGaP space solar cells
Dharmarasu, N.* ; 山口真史* ; Bourgoin, J. C.* ; 高本達也* ; 大島武 ; 伊藤久義 ; 今泉充* ; 松田純夫*
Applied Physics Letters 81(1), p.64-66(2002) ; (JAERI-J 19613)

 n+/p-InGaP太陽電池に0.38MeVから3MeVの陽子線を照射することで発生する欠陥をDLTS法を用いて調べた.その結果,HP1 (EV+0.90±0.05eV),HP2 (EV+0.73±0.05eV),H2 (EV+0.55eV)とラベル付けされた3つの多数キャリア(ホール)トラップとEP1 (EC 0.54eV)とラベル付けされた少数キャリアトラップを発見した.また,これらのトラップは全てキャリアの再結合中心として働くこと,H2は少数キャリア注入によって消滅することを見出した.


300781
Mass-density-modulated structures of crystalline hydrogenated carbon films
Zhang, Z.* ; 鳴海一雅 ; 楢本洋
Applied Physics Letters 79(18), p.2934-2936(2001) ; (JAERI-J 19259)

 本研究は,RFプラズマ蒸着法で作製した結晶性炭化水素薄膜について,ラマン分光法,X線回折法,光学吸収分光法などで系統的に調べた結果に関する報告である.その結果,この方法では,RF出力を調整することにより,密度や光学バンドギャップを調整した多層膜を作製可能であることを示した.


300490
High-radiation-resistant InGaP, InGaAsP and InGaAs solar cells for multijunction solar cells
Dharmarasu, N.* ; 山口真史* ; Khan, A.* ; 山田たかし* ; 田辺たつや* ; 高岸成典* ; 高本達也* ; 大島武 ; 伊藤久義 ; 今泉充* ; 松田純夫*
Applied Physics Letters 79(15), p.2399-2401(2001) ; (JAERI-J 19021)

 InGaP, InGaAsP, InGaAs太陽電池へ3MeV陽子線照射を行い,電気・光学特性の劣化を調べた.その結果,少数キャリアの拡散長の損傷係数として6.7×10-5 (InGaP),8.8×10-5 (InGaAsP),1.01×10-4 (InGaAs)を得た.これまでに得られているInPの結果を含めて各種太陽電池の劣化をIn-Pボンド長に注目して解析したところ,In-Pボンド長の増加とともに耐放射線性が向上することが示唆された.さらに,InGaP,InGaAsP太陽電池では順方向への少数キャリア注入により照射試料の電気特性が回復することを見出した.


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