2002年度

まてりあ


310154
長寿命・高精度の高温耐食隔膜式発信器の開発
石山新太郎
まてりあ 42(1), p.58-60(2003) ; (JAERI-J 19798)

 ダイヤフラム部をタンタル/SUS316でアーク溶接した高感度隔膜式圧力発信器は,HI腐食環境下で20,000時間使用した後,高サイクル疲労試験を行った結果,下記結論を得た.(1)本製品は,アーク溶接の際Ta/SUS316製ダイヤフラム振動節部に生成するTa-Fe組成の接合合金組織により,その機械的特性ならびに耐腐食性が極めてすぐれており,このダイヤフラムを用いた隔膜式圧力センサーは,1,000万回以上の圧力繰り返しに耐え,かつその際の計測最大誤差を0.2%F.S./℃以下の極めて長寿命・高精度にすることも可能である.(2)HIx高温溶液による長時間循環試験に20,000時間使用した後の同圧力センサーの寿命ならびに計測精度に劣化傾向は認められなかった.以上の結果から,Ta/SUS316製圧力センサーは1,000万回の繰り返しに耐える超寿命型・高耐食性・高精度センサーとして実用に耐えるものであり,一般産業用から極めて過酷な腐食環境において広範な分野での利用が可能である.


300894
高エネルギー単色X線回折による酸化物ガラスの短範囲・中距離構造解析
鈴谷賢太郎 ; 小原真司*
まてりあ 41(3), p.206-215(2002) ; (JAERI-J 19360)

 第三世代放射光源SPring-8より得られる高強度の高エネルギー単色X線(E>30keV)を用いた回折実験及び実験装置(BL04B2高エネルギーX線回折用2軸回折計)の概要と,その高エネルギー単色X線回折によるランダム系物質:酸化物ガラスの構造研究の現状について解説した.高エネルギー単色X線の持つ短波長,高透過能から,回折実験によって,高い散乱ベクトルQ(>300nm-1)まで(吸収補正などの)データ補正のほとんど必要ない精度の高い構造因子S(Q)を得ることが可能となった.SiO2,GeO2,B2O3ガラスなどの基本的なネットワーク形成酸化物ガラスの高エネルギー単色X線回折による高精度のS(Q)データに,逆モンテカルロ・シミュレーション(Reverse Monte Carlo Simulation = RMC)法を適用することによって,ランダム系物質の物性を研究するうえ上で極めて重要であるにもかかわらずこれまでデータ解析がほとんど不可能であった中距離構造(短範囲構造ユニットのつくるリング構造など)の信頼できるモデルを構築することに成功した.今後,ランダム系物質の特異な物性は,本研究で示されたような,中距離構造を含む大きな構造モデルをベースに理解が進むものと考えられる.


300575
照射誘起析出と自由拡散欠陥; 二重イオンビーム照射実験の結果を中心として
岩瀬彰宏
まてりあ 41(1), p.20-27(2002) ; (JAERI-J 19106)

 合金を高エネルギー粒子照射したときに生ずる溶質原子の析出(照射誘起析出)を支配する自由拡散欠陥(FMD)の生成効率を,Heイオン・重イオン2重ビーム照射下において評価した.その結果,重イオンを同時照射したときのFMD生成効率は,Heイオン単独照射時に比べ,大きく減少した.これは,重イオン照射によって生成されたカスケード損傷が,FMDに対して有効な再結合サイトとして作用したことを意味する.


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