2002年度

Atmospheric Environment


300492
Trend of acid rain and neutralization by yellow sand in East Asia; A Numerical study
寺田宏明 ; 植田洋匡* ; Wang, Z.*
Atmospheric Environment 36(3), p.503-509(2002) ; (JAERI-J 19023)

 東アジアにおける酸性雨のトレンドと黄砂による中和作用を大気質予測モデリングシステム(AQPMS)によって調べた.AQPMSは移流,拡散,気相・液相化学,乾性・湿性沈着を考慮している.また,砂塵負荷の情報を得るために新しい黄砂の巻き上げ過程モジュールが考案された.これは以前のサハラ砂漠等についてのものとは異なり三つの重要な予測要素(摩擦速度,地表面湿度,支配的気象条件)を考慮しており,AQPMSと連結されている.モデルの検証として,雨のpH値や硫酸・硝酸イオン濃度,ガス状汚染物質の地表面濃度の予測結果を大気汚染測定局での観測値と比較し妥当な結果を得た.このモデルにより中国からの汚染物質の排出量の急速な増大による1985年から1995年にかけての酸性雨地域の急速な拡大が再現され,月平均降水pH値は中国中央部から北東部にかけて0.3から0.8,韓国,日本においても0.lから0.2下降する結果となった.また1995年4月の計算結果から黄砂による降水の中和作用の存在が示され,これによって中国北部での月平均降水pH値は0.6から1.8上昇し,一方中国南部では0.1以下の上昇にとどまることが示された.また韓国,日本においても黄砂による中和は0.1から0.2のpH値の上昇をもたらすことが示唆された.


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