2002年度

応用物理


310074
高分解能放射光を用いたその場光電子分光法でみるSi(001)表面の酸化反応ダイナミクス
寺岡有殿 ; 吉越章隆
応用物理 71(2), p.1523-1527(2002) ; (JAERI-J 19738)

 表面化学反応機構の研究にとって,入射分子の並進運動エネルギーは重要なパラメータとなる.超音速分子線と高分解能放射光を併用した表面光電子分光法を用いて,数eVの並進運動エネルギーによって誘起される新しい吸着反応がO2/Si(001)系において見出され,ダングリングボンドが終端されているか否かの違いがシリコン二量体のバックボンドの酸化に決定的な影響を与えることが明らかになった.さらに,入射分子の並進運動エネルギーを制御することで,室温においてもサブナノメータの酸化膜形成が可能であることが示された.


300689
極短パルス高出力自由電子レーザー技術
峰原英介
応用物理 71(2), p.214-216(2002) ; (JAERI-J 19184)

 われわれは超伝導リニアックによるFELに着目して開発を進め,平成10年2月に当時世界最高出力の0.1kW(キロワット)を記録した.その2年後,電子銃,高周波源,光共振器等の改良により,電流値,パルス幅,電流密度が桁違いに改善され,変換効率も7%になり,出力は,2.34kWとそれぞれ世界最高の値を達成した.この発振では,従来の常電導リニアックより1000倍以上長い時間の電子ビームを発生させ,ピーク出力1ギガワット(GW)の赤外光(22ミクロン)を得た.この効率と出力の増加は,超伝導リニアックにより初めて実現された高密度電流高精度加速による新しい「高縮重度超放射」発振の発見によるもので,理論限界を大きく越える高い効率と3.4サイクル250fsの極短パルスが得られた.この極短パルス高出力自由電子レーザー技術を簡潔に解説する.


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