2002年度

Journal of Molecular Structure (Theochem)


310220
Local structure of molten LaCl3 by K-absorption edge XAFS
岡本芳浩 ; 塩飽秀啓 ; 矢板毅 ; 成田弘一* ; 谷田肇*
Journal of Molecular Structure 641(1), p.71-76(2002) ; (JAERI-J 19850)

 溶融LaCl3の局所構造をK吸収端XAFSによって調べた.最近接La-Cl間距離と配位数は,2.89±0.01Å及び7.4±0.5であった.6よりも大きな配位数は,融体の局所構造が,今まで報告されてきたような単純に(LaCl6)3-八面体構造からのみからなるのではなく,7配位の(LaCl7)4-や8配位の(LaCl8)5-といった錯体の存在もあることを示唆する.La-La対に対応する第2近接の相関が約4.9Å付近に見られた.これは,錯体イオンどうしが1つClイオンを共有するいわゆる頂点共有が歪んだ形に対応する.2つのClイオンを共有する辺共有が大勢をしめるYCl3融体とは対照的であることがわかった.


300653
Theoretical study on the geometric and electronic structure of the lithium-rich LinFn-1(n=2-5) clusters
羽毛田直樹* ; 横山啓一 ; 田中宏昌* ; 工藤博司*
Journal of Molecular Structure (THEOCHEM) 577(1), p.55-67(2002) ; (JAERI-J 19148)

 金属化合物やクラスターの電子状態を調べる目的で,リチウム原子が過剰に含まれるフッ化物クラスターLinFn-1(n=2-5) の構造と電子構造を理論計算により求めた.その結果,過剰電子が分子全体に非局在化して分布することができるのはn=2のときだけであり,nが3以上では過剰電子が特定の部位に局在化して金属的電子状態が消失することがわかった.このことは,すでに研究されているLin(OH)n-1クラスターに比べて,LinFn-1クラスターではイオン結合性が強いことを示唆している.また,末端リチウム原子の数とイオン化エネルギーの相間がLin(OH)n-1の場合と類似していることが示された.


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