2002年度

Surface and Coatings Technology


310277
The Interpretation of surface damages in Al2O3, MgAl2O4 and MgO irradiated with energetic iodine ions
有賀武夫 ; 片野吉男* ; 大道敏彦* ; 實川資朗
Surface and Coatings Technology 158-159, p.444-448(2002) ; (JAERI-J 19907)

 アルミナ(Al2O3),スピネル(MgAl2O4),マグネシア(MgO)焼結体試料にタンデム加速器からの85MeVのヨウ素イオンを1×1014/m2の線束で最高1.2×1019/m2まで室温照射した.1.2×1019/m2まで照射したスピネルでは〜6μmの深さまで完全に非晶質化したことが,透過電顕の観察からわかった.しかし結晶粒によっては6.5μmの深さまで非晶質化が起こり,イオンの飛行方向と粒の方位に関係して非晶質化が起こることを指摘した.またスピネルでは,アルミナで認められたような,非晶質化しかかっている粒が,既に非晶質化した表面近くの領域に移動する現象は生じない.さらにスピネルとマグネシアでは照射後3〜3.5年で,表面に0.1μm以下の厚さの,金属光沢をもって薄膜が形成された.今後,この形成のメカニズムを明らかにする必要がある.


310276
Modification of C60 thin films by ion irradiation
鳴海一雅 ; 楢本洋
Surface and Coatings Technology 158-159, p.364-367(2002) ; (JAERI-J 19906)

 Si(111)上のC60薄膜に,7MeV 12C2+イオンを照射し,C60薄膜に対するイオン照射効果を原子間力顕微鏡,顕微ラマン分光を用いて調べた.ラマン分光の結果より,照射前のC60薄膜は部分的にポリマー化しており,イオン照射によって脱ポリマー化が進み,1.1×1014/cm2の照射量でポリマー成分が消失することがわかった.さらに照射量を増やすと,C60分子の解離が始まり,1.1×1016/cm2の照射量では非晶質炭素化が進んでいることが観測された.原子間力顕微鏡を用いた電気伝導性の評価においては,1.1×1016/cm2の照射量で電気伝導性が認められた.これらの結果から,イオン照射によるC60分子の解離によって,ほぼ絶縁体であるC60薄膜に電気伝導性が生じたと考えられる.


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