2002年度

Journal of Physics and Chemistry of Solids


310251
Analysis of electronic structures of 3d transition metal-doped TiO2 based on band calculations
梅林励* ; 八巻徹也* ; 伊藤久義 ; 浅井圭介*
Journal of Physics and Chemistry of Solids 63(10), p.1909-1920(2002) ; (JAERI-J 19881)

 F-LAPW法を用いた第一原理バンド計算によって,遷移金属(Cr,Mn,Fe,Co,Ni)をドープした二酸化チタン(TiO2)の電子構造解析を行った.TiO2にCr,Mn,Fe,Coをドープした時は,バンドギャップ内に占有準位が形成され,電子は不純物t2g軌道に局在することを明らかにした.この不純物準位は,ドーパントの原子番号が大きくなるに従って低エネルギー側にシフトした.一方,Niを導入した場合は,Ni 3d2g軌道は,O 2p,Ti 3d軌道とともに価電子帯を形成することがわかった.既報の吸収スペクトル,及び光電流スペクトルの実験結果とわれわれの計算結果とを比較することにより,可視光域における光応答には不純物t2g準位が大きく関与していることを見出した.


301228
Ga and Pt NMR study of UPtGa5
加藤治一* ; 酒井宏典* ; 常盤欣文* ; 神戸振作 ; Walstedt, R. E.* ; 大貫惇睦*
Journal of Physics and Chemistry of Solids 63(6-8), p.1197-1200(2002) ; (JAERI-J 19642)

 重い電子系における超伝導は磁性と深く結びついており,従来のBCS理論の枠内では説明のつかない新しいタイプの超伝導であることが示唆されている.近年,CeRhIn5,CeIrIn5などが重い電子系超伝導を示すことが発見された.これと同型構造をとるウラン化合物UTGa5(T: iron group)の物性探索は非常に興味深い.UPtGa5は,ウランの持つ5f電子が遍歴的な振る舞いをし,電子比熱係数γ=57mJ/molKを示す.また,TN=26Kで長距離秩序し,c面内では強磁性的に,面間では反強磁性的に磁気モーメントが整列する.本論文は,微視的な観点からこの系の磁性を明らかにするために,69,71Ga及び195Pt核についてNMR/NQR実験について記述するものである.観測されたスペクトルより,ナイトシフト(K)の値及び電場勾配パラメータ(νQ,η)の値を見積もった.また,ナイトシフト温度変化を測定しK-χプロットを行い,超微細相互作用係数の値を見積もった.また零磁場下での測定を行い,NMRの観点からも上記の磁気構造を指示する結果を得た


300877
Neutron diffraction study of antiferromagnetic order in UGa3 under pressure
中村充孝* ; 小池良浩* ; 目時直人 ; 加倉井和久 ; 芳賀芳範 ; Lander, G. H.* ; 青木大* ; 大貫惇睦*
Journal of Physics and Chemistry of Solids 63(6-8), p.1193-1196(2002) ; (JAERI-J 19343)

 5f電子系が有する特異な性質により,ウラン化合物では今までに見られないような多彩な物理が現象として現れる.本研究では,UGa3の高圧下中性子回折実験を行った結果,新たな知見が得られたので発表,説明した.具体的には,反強磁性転移温度(ネール温度)が加圧により減少することを見いだした.この事実はUGa3の遍歴磁性を裏付けるものである.また,加圧によってドメイン構造の再配列が誘起されることを見いだした.この実験事実から,これまで未解決の問題であったUGa3の磁気モーメントの方向について定量的な評価を行い,重要な知見を得ることに成功した.


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