2002年度

放射線生物研究


301254
原研・高崎研・生物照射用マイクロビーム装置の現状
舟山知夫 ; 小林泰彦
放射線生物研究 37(3), p.334-347(2002) ; (JAERI-J 19668)

 マイクロビーム装置は,微小なサイズの放射線プローブを利用して,照射対象の一部分に放射線を照射し,それによるエネルギー付与を利用して,対象試料の解析や微細加工をおこなうためのツールである.生物試料に対するマイクロビーム技術の応用は,マイクロPIXEや,ラジオマイクロサージャリー,そして,放射線生物効果の解析等に利用されてきている.原研高崎では,重イオンマイクロビーム装置製作と,それをもちいた生物応用技術の開発をこれまでおこなってきた.しかし,この装置をもちいたこれまでの生物試料照射は,主にラジオサージャリー技術が中心であり,放射線生物研究ツールとしては利用されてこなかった.これは,高LET・高エネルギーのイオンビームを利用することに伴う,いくつかのビーム技術的制約及び単一細胞の自動認識・標的システムの開発上の制約によるものであった.原研高崎の重イオンマイクロビーム装置でも,培養細胞照射実験系が確立し,放射線生物研究ツールとして活用ができるようになった.この原研高崎の生物照射用マイクロビーム装置の概要と,培養細胞照射の実際の過程について概説する.


300893
マイクロビームによる細胞局部照射の試み; 紫外線から重粒子線まで 
小林泰彦
放射線生物研究 37(1), p.67-84(2002) ; (JAERI-J 19359)

 マイクロビームによる局部照射は,放射線の生物作用研究のための新しいツールとして極めて有望である.原研・高崎研では,銀河宇宙線のような極低フルエンス高LET重粒子線の生物影響の解明,特にトラック構造の局所的エネルギー付与分布による影響をダイレクトに解析することを目指して,サイクロトロンから得られる比較的高エネルギーの重イオンを用いたマイクロビーム細胞照射実験系の開発に取り組んでおり,最近,ArイオンやNeイオンによるCHO-K1細胞の核への照射実験を開始した.マイクロビームによる細胞局部照射実験について,過去の数々の試みの歴史を紹介するとともに,特に粒子線マイクロビームを用いた最新の研究状況について述べる.


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