2002年度

AIP Conference Proceedings


300852
Experimental results of pressure drop measurement in ITER CS model coil tests
濱田一弥 ; 加藤崇 ; 河野勝己 ; 原英治* ; 安藤俊就 ; 辻博史 ; 奥野清 ; Zanino, L.* ; Savoldi, L.*
AIP Conference Proceedings, 613, p.407-414(2002) ; (JAERI-J 19330)

 国際熱核融合実験炉(ITER)の工学設計活動の一環として,中心ソレノイド(CS)モデル・コイルが日本,欧州,ロシア及び米国の国際協力により,製作され,性能試験が行われた.CSモデル・コイルは,強制冷却型ケーブル・イン・コンジット導体を採用しており,導体内部に4.5Kの超臨界ヘリウムを流して冷却する.導体の圧力損失を調べることは,コイルの熱的な性能及び冷凍機の負荷の観点から,極めて重要である.今回CSモデル・コイルの実験において,ITER実機規模の超伝導導体として初めて,4.5Kの超臨界圧ヘリウムによって圧力損失特性が測定されたので,その結果について報告する.


300845
Status and future developments of ultrahigh intensity lasers at JAERI
山川考一 ; 赤羽温 ; 青山誠* ; 福田祐仁* ; 井上典洋* ; Ma, J.* ; 上田英樹*
AIP Conference Proceedings 611, p.385-396(2002) ; (JAERI-J 19323)

 近年,小型で繰り返し動作が可能な極短パルス・超高強度レーザーが注目されている.これらのレーザーは出力エネルギーは小さいが,ピーク出力がテラワット級にも達する.テーブル・トップ(Table-top)サイズのレーザーでテラワット(Terawatt)級の出力が得られるため,これらのレーザーは一般にT3(Tキューブ)レーザーと総称される.われわれ原研光量子科学研究センターでは,高強度光科学と呼ばれる新しい光量子科学分野におけるさまざまな基礎・応用研究を目的に,極短パルス・超高強度T3レーザーの開発を進めている.ここでは,既に開発に成功したピーク出力100TW,パルス幅19fs,繰り返し数10Hzのチタンサファイアレーザーシステムを中心に,本T3レーザー開発において最も重要となる極短パルス(パルス幅〜10fs)レーザー光の発生とその増幅過程におけるレーザー制御技術及び位相,コントラスト,波面等のレーザー特性を計測する技術について紹介する.また,現在進めている高強度レーザーを用いた希ガス原子の光イオン化研究の現状とレーザーイオン加速を初めとするさまざまな応用研究について簡単に紹介するとともに,さらなるピーク出力の向上によるペタワット級レーザー開発研究の将来について述べる.


300759
High count rate X-ray detector using a superconducting tunnel junction with current readout method
片桐政樹 ; 中村龍也 ; 大久保雅隆* ; Pressler, H.* ; 高橋浩之* ; 中澤正治*
AIP Conference Proceedings 605, p.177-180(2002) ; (JAERI-J 19245)

 Nb/Al/AlOx/Sl/Nb構造の超伝導トンネル接合の信号読み出しに高速電流読み出し法を用いた高計数率X線検出器の開発を行った.素子の特性は,ライズタイムは100ns,電流収集時間は260nsそして0.4Kにおける抵抗は20オームであった.本素子を用いて,超伝導コイルを用いた高速電流読み出し回路を作製した.KEKの放射光施設を用いてX線に対する特性試験を行った.その結果,10cpsから100kcpsまでの計数率に対して270eVのエネルギー分解能が得られた.300kcpsでも300eVの性能が得られることが確認できた.これにより,超伝導トンネル接合の高計数率X線測定への応用の見通しが得られた.


300758
Positive utilization; Excess quasiparticle injection in superconducting tunnel junction X-ray detector with quasiparticle trapping layers
中村龍也 ; 片桐政樹 ; 大久保雅隆* ; Pressler, H.* ; 高橋浩之* ; 中澤正治*
AIP Conference Proceedings 605, p.173-176(2002) ; (JAERI-J 19244)

 準粒子トラップ層を持つ超伝導トンネル接合型X線検出器(Nb/Al/AlOx/Al/Nb)において,ある条件下では周期的な電荷出力分布を持つことをLTSSMによる実験から初めて明らかにした.このような電荷出力分布はSTJ検出器のエネルギー分解能を顕著に劣化する原因の一つである.本周期構造は,(1)素子サイズがジョセフソン特性長,λJ,の2倍以上,かつ(2)バイアス電圧が0.2mV以上,において生じ,その周期はおよそ100μmであった.この周期的電荷出力分布の起源は超伝導電極への過剰準粒子注入による超伝導不安定性にあると考えられる.したがって,準粒子トラップ層を持つSTJ検出器の高エネルギー分解能化のためには,素子を準粒子トラップ層のエネルギーギャップに相当するバイアス電圧以下で動作させる,あるいは2λJ以下の大きさの素子とする必要があることがわかった.


300593
Temperature control of a cyclotron magnet for stabilization of the JAERI AVF cyclotron beam
奥村進 ; 荒川和夫 ; 福田光宏 ; 中村義輝 ; 横田渉 ; 石本貴幸* ; 倉島俊 ; 石堀郁夫 ; 奈良孝幸 ; 上松敬 ; 田村宏行 ; 松村秋彦* ; 立川敏樹* ; 佐野正美*
AIP Conference Proceedings 600, p.330-332(2001) ; (JAERI-J 19124)

 JAERI AVFサイクロトロンにおいて,ビーム電流を長時間一定に保つにはしばしば磁場調整が必要となっている.NMRプローブによる磁場測定と白金測温抵抗体による温度測定から,磁場と電磁石の鉄心温度との間に相関関係があることがわかった.メインコイルからの熱が主な原因となって鉄心温度が上昇し,ビームの不安定現象を引き起こしている.鉄心への熱を遮断するために鉄心とメインコイル間に温度制御した銅板を挿入した.それに加えて,ポール先端温度を独立に制御するために,トリムコイルの冷却水温度制御系を独立化した.磁場安定化のために,これら温度制御系の最適運転条件を見いだした.


300694
Design of the flat-top acceleration system for the JAERI AVF cyclotron
倉島俊 ; 福田光宏 ; 中村義輝 ; 奈良孝幸 ; 上松敬 ; 石堀郁夫 ; 田村宏行 ; 横田渉 ; 奥村進 ; 荒川和夫 ; 熊田幸生* ; 福本康志*
AIP Conference Proceedings 600, p.303-305(2001) ; (JAERI-J 19189)

 原研高崎AVFサイクロトロンでは,フラットトップ加速の実現に向けて共振器の改造を検討している.フラットトップ加速とは,一時的ではあるが加速電圧を均一化することによりビームのエネルギー幅を縮小させるものである.原研高崎においてフラットトップ加速を実施する目的は,高エネルギーマイクロビーム形成やサイクロトロン本体の放射化低減等である.フラットトップ加速電圧を得るために,5倍高周波を用いた.5倍の高周波を基本波と同時に励振させるためには,共振器に5倍波用の空洞を新たに付加する必要がある.予備的なモデル試験を行った結果,基本波周波数11,13,15,20MHz においてフラットトップ電圧波形を確認することができた.また,基本波加速電圧30kV時に必要とされる5倍波の消費電力は約1kWであることが分かった.5倍波空洞を共振器に取り付ける空間を広く確保することが難しいため,可能な限りコンパクトな空洞にすることが設計段階において要求される.また,消費される電力も小さいほど良い.この2点を考慮して空洞の最適形状を検討するために,電磁場解析コード MAFIA を用いて計算を行っている.


300693
Design studies of the K900 JAERI superconducting AVF cyclotron for the reserch in biotechnology and materials science
福田光宏 ; 荒川和夫 ; 横田渉 ; 奥村進 ; 上松敬 ; 神谷富裕 ; 水橋清 ; 奈良孝幸 ; 齋藤勇一 ; 石井保行 ; 酒井卓郎 ; 金子広久 ; 田中進 ; 倉島俊 ; 千葉敦也
AIP Conference Proceedings 600, p.189-191(2001) ; (JAERI-J 19188)

 原研高崎では,GeV級重イオンビーム利用によるバイオ技術・材料科学の新展開を目指し,新たな加速器建設整備計画を提案している.核子当たり100MeVを越えるエネルギーを持った重イオンビームの利用は,植物育種や生体機能解明研究,新機能性材料の創製等に飛躍的な進展をもたらすことが期待されており,GeV級加速器の有力な候補として,偏向リミット900,集束リミット300を持つ新型の超伝導AVFサイクロトロンの設計を開始した.これまでに,陽子を280MeV程度まで,電荷数/質量数(Q/M)=1/2の重イオンを150MeV/nまで加速可能な本体電磁石の磁極形状の解を見つけるとともに,既設のK110AVFサイクロトロン入射器とした連結運転では,エネルギーの増幅率が数倍程度にしかならないことを明らかにした.


300692
Status report on the JAERI AVF cyclotron system
中村義輝 ; 奈良孝幸 ; 上松敬 ; 石堀郁夫 ; 田村宏行 ; 倉島俊 ; 横田渉 ; 奥村進 ; 福田光宏 ; 荒川和夫
AIP Conference Proceedings 600, p.129-132(2001) ; (JAERI-J 19187)

 原研高崎のAVFサイクロトロン装置は,1991年3月における50MeV,4He2+のファーストビーム引き出し以来,深刻な故障もなく順調に稼働している.過去7年間の平均では,年間運転時間は約3200hである.最近3年間では,われわれは次のような改良や開発等を実施した.サイクロトロンビームの安定化,制御計算機と基本プログラムの更新,新ECRイオン源の設置及びロータリーシャッターの改造.さらに,M/Q=4とM/Q=2のカクテルビームが,継続的に開発されている.現在,われわれは第5高調波の付加によるフラットトップ加速のためのRF空洞を検討している. 


300588
ECRF Experiments in JT-60U
諫山明彦 ; 池田佳隆 ; 井出俊之 ; 鈴木隆博 ; 森山伸一 ; 高橋幸司 ; 梶原健* ; 及川聡洋 ; 濱松清隆 ; 鎌田裕 ; 小関隆久 ; 藤田隆明 ; 坂本慶司 ; 春日井敦 ; 藤井常幸 ; JT-60チーム
AIP Conference Proceedings 595, p.267-274(2001) ; (JAERI-J 19119)

 JT-60Uでは1999年よりECRF実験を開始し2000年には入射装置を3ユニットに増強した.各ユニットは,CPDジャイロトロン,計2枚のダイアモンド窓,可動鏡,偏波偏光器,コルゲート導波管等から構成されている.入射パワー・入射時間とも着実に進展し2000年には3ユニットから3秒間入射することに成功した.このECRF装置を用いて次の結果が得られた.(1)新古典テアリング不安定性の完全な抑制に成功した.最適な入射角は放電中の可動鏡スキャンにより決定した.また,実時間で不安定性を検出しEC波を入射する制御システムを構築して安定化実験も行った.(2)EC波による駆動電流分布を実験的に評価し計算コードの結果とよく一致することを示した.(3)EC波の入射方向や入射位置を変えることにより鋸歯状振動が制御できることを示した.


300587
A 3 MV heavy element AMS system using a unique TOF set-up
Gottdang, A.* ; Klein, M.* ; Mous, D. J. W.* ; 北村敏勝 ; 水谷義彦* ; 鈴木崇史 ; 荒巻能史 ; 外川織彦 ; 甲昭二* ; 須藤一彦*
AIP Conference Proceedings 576, p.403-406(2001) ; (JAERI-J 19118)

 3MVタンデトロンを用いた重元素測定用AMSシステムは,原研むつにおいて運用を開始している.本システムは,イオン入射システムに逐次入射法を採用している.高エネルギー質量分析部には,エネルギー弁別機能を持った独立する二つのフォイルにより対象となる同位体を測定する独特なTOFシステムを採用している.この方法は36Clや41Ca測定のように同重体の影響を受ける元素分析に適しており,フォイルに起因する散乱ビームを処理するため大きな散乱ビームにも対応できるように設計されている.本講演では,システムの構成及び特徴について議論するとともに,テストの結果得られたI-129の測定精度及び装置のバックグラウドについて報告する.


300903
Laser-cluster interaction for nuclear fusion
岸本泰明 ; 正木知宏* ; 田島俊樹*
AIP Conference Proceedings 611, p.264-275(2002) ; (JAERI-J 19369)

 高パワーレーザーを用いたレーザー・クラスター相互作用によって重水素核融合反応を起こさせ,それによる中性子発生を評価する理論及び粒子シミュレーションについての報告を行う.クラスター媒質は通例の気体・プラズマと異なりさまざまの顕著な特性を有しているが,中でも高パワーレーザーとの相互作用においては数10フェムト秒の極めて短い時間の間に大きなエネルギーを吸収する特性を有しており,重水素クラスターにおいてイオンのクーロン爆発を起こさせることができる.これによる重水素核融合の反応率は1ショットあたり,1010コに及ぶことが可能であり,核融合炉第一壁の中性子損傷等のテスト用の中性子源に採用できる可能性がある.2次元及び3次元の粒子シミュレーションにおいて,このようなクラスターによる中性子発生の有効性が示されている.


301083
Fission mass division and topology of potential energy surface
岩本昭 ; Moller, P.* ; Madland, D. G.* ; Sierk, A. J.*
AIP Conference Proceedings 597, p.243-248(2001) ; (JAERI-J 19520)

 われわれは核分裂のポテンシャルエネルギー表面を,核分裂核の現実的な形状に対してSturtinskyの処方に従い計算した.それは5種類のパラメターを含みそれにより5次元空間の250万点以上のメッシュ点につき計算した.核分裂の鞍部点の解析を近似なしに行いそれより核分裂過程に関して次の知見を得た.(1)ほとんどのアクチノイド核は2種類の最も低い鞍部点を有し,一方は質量対象,一方は質量非対称である.(2)この二つの鞍部点の相対的な高さは核分裂核に依存して決まり,実験的に得られている質量分割モードは最も低い鞍部点の性質により決定される.(3)Fmアイソトープの2重モード核分裂は,鞍部点の解析から理解された.(4)非対称核分裂の非対称度のピーク値の実験値は,ポテンシャル表面の解析から理解された.


301264
Atomic and molecular processes for heat and particle control in tokamaks
久保博孝
AIP Conference Proceedings 636, p.161-170(2002) ; (JAERI-J 19678)

 トカマク型核融合炉の開発において,熱粒子制御は重要課題のひとつである.周辺プラズマにおける放射損失や低温ダイバータプラズマを用いた熱制御は,ダイバータ板への熱負荷を緩和するために必要である.粒子(水素同位体,ヘリウム,不純物)の制御は,燃料密度の制御,燃料の希釈の低減,放射損失の制御に必要である.原子分子過程は,熱粒子制御の重要な役割を担っている.本論文では,JT-60Uの最近の研究に基づいて,熱粒子制御のための原子分子過程に関するいくつかのトピックス(不純物入射による制御,ダイバータプラズマにおける炭化水素不純物,水素粒子,ヘリウムの挙動など)を紹介する.また,その研究における原子分子データの必要性に関して議論する.


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