2002年度

Journal of the American Chemical Society


301230
X-ray reflectivity and diffraction studies on lipid and lipopolymer Langmuir-Blodgett films under controlled humidity
Bolze, J.* ; 高橋正光 ; 水木純一郎 ; Baumgart, T.* ; Knoll, W.*
Journal of the American Chemical Society 124(32), p.9412-9421(2002) ; (JAERI-J 19644)

 放射光を用いたX線反射率測定及び微小角入射X線回折法を用いて,湿度を制御した環境下における脂質及び脂質高分子LB膜の構造を調べた.試料には,DSPE及びPEO分子鎖の長さがn=8,17,45のDSPE-PEO脂質高分子からなる膜を用いた.DSPEのみの膜の場合,雰囲気中の相対湿度を2%以下から97%に変化させると,DSPEが水を含み,膜厚が増加する.これは可逆な変化であり,これにより膜のラフネスは変化しない. DSPEの膜厚は,試料作製時の面内の圧力のかけ方によって,多少違いが見られる.また,湿度が増えると,DSPE膜の面内の配向性が著しく増加した.PEO分子鎖の長さがn=8のDSPE-PEOの場合も,膜の膨潤は可逆であることが見い出された.水の取込み量はDSPE膜に比べると多い.


301044
Effect of hydration on the induction of strand breaks and base lesions in plasmid DNA films by γ-radiation
横谷明徳 ; Cunniffe, S. M. T.* ; O'Neill, P.*
Journal of the American Chemical Society 124(30), p.8859-8866(2002) ; (JAERI-J 19481)

 γ線照射されたプラスミドDNAフィルム中のDNA鎖切断(SSb及びDSB)と塩基損傷の収率を,DNA単位長あたりの水和水量の関数として測定した.塩基損傷は,大腸菌由来の塩基除去修復酵素(NthとFpg)を作用させ,glycosyl活性及びAPlyace活性により生じるSSbとして検出した.水和水の制御は,相対湿度をコントロールしたチェンバー中に15時間,5℃に保持することで行った.得られたDNAのコンフォメーションは,アガロースゲル電気泳動により解析した.その結果,(1)鎖切断よりもむしろ塩基損傷の収率の方が,水和水の量に依存して増加すること.(2)OHラジカルは生成したとしても鎖切断には寄与しないこと(3)extraなDSBが水和水量とともに増加することから,クラスター化した損傷が,直接効果として生じることが,明らかにされた.


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