2002年度

Geophysical Research Letters


310213
Viscosity change and structural transition of molten Fe at 5 GPa
寺崎英紀* ; 加藤工* ; 浦川啓* ; 舟越賢一* ; 佐藤公則* ; 鈴木昭夫* ; 岡田卓*
Geophysical Research Letters 29(8), p.68_1-68_3(2002) ; (JAERI-J 19843)

 高圧下における溶融純鉄の粘性その場測定を,X線影像落球法によりおこなった.約2000Kにおける粘性係数は,2.7-5.0GPaでは15-24mPa sであり,5.0-7.0GPaでは4-9mPa sであった.粘性係数の急激な減少が5GPa付近で観察された,この圧力条件では融点直下における安定固相はデルタ相(bcc)からガンマ相(fcc)に変化する.今回得られた結果は,溶融鉄の構造変化が固相の相転移と近い圧力条件において,狭い圧力幅(1GPa)で起こる可能性を示唆している.


301140
Renewal of the bottom water after the winter 2000-2001 may spin-up the thermohaline circulation in the Japan Sea
千手智晴* ; 荒巻能史 ; 乙坂重嘉 ; 外川織彦 ; Danchenkov, M. A.* ; Karasev, E.* ; Volkov, Y. N.*
Geophysical Research Letters 29(7), p.53_1-53_4(2002) ; (JAERI-J 19564)

 2001年夏,われわれは,例年に比べ厳しい寒さであった2000-2001年の冬季後に日本海底層水が新たに形成されていることを世界で初めて観測した.この日本海北西部海域で観測された新しい底層水は,従来から存在する底層水に比べて低温,高塩,高酸素及び低栄養塩を示した.さらにこの新しい底層水の分布状況は,日本海における海水の深層への沈み込みが日本海北部海域ではなく,ロシア・ウラジオストック南方沿岸で起こっていること,形成した底層水が沈み込んだ海域から今回観測された海域深層へ移流していることを示唆した.底層水が観測された海域に2000年夏から1年間係留した流速計の記録は,2001年2月中旬に急に10cm/secを超えるような下層への強い流れを示しており,2001年1月下旬から2月初旬に海水が表層から深層への沈み込んだことを示唆しているものと思われる.2000-2001年冬季の底層水形成イベントは,日本海における底層水の酸化傾向の抑制,さらには温度躍層循環のスピンアップに寄与する可能性がある.


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