2002年度

日本化学会誌


300578
親水性ポリエチレンテレフタレート膜表面の親水的環境下での疎水化
鈴木康之* ; Li, J.* ; 前川康成 ; 吉田勝 ; 前山勝也* ; 米澤宣行*
日本化学会誌 2002(2), p.255-259(2002) ; (JAERI-J 19109)

 PET膜へのイオンビーム照射により作製したイオン穿孔膜は,直径が0.01-10μmと,膜厚に対する孔径が小さく,孔径分布が狭い微細孔を有するため,機能性膜などの応用が期待できる.このイオン穿孔膜は加水分解により得られるため,機能性膜へ適用する場合,その親水性表面の安定性が重要となる.そこで,加水分解後のPETを乾燥空気下,窒素下,飽和蒸気下,及び減圧下,0℃から80℃で放置し,膜表面の接触角変化から,その安定性に及ぼす環境と温度の影響を評価した.加水分解により得られたPET表面の疎水性への変化は,親水的環境である飽和水蒸気下で全体的に著しく速くなった.親水性PET表面の各環境下でのcosθの変化速度を疎水加速度と定義し,速度定数kの温度依存性について調べた結果,飽和水蒸気下では,他の条件と比較して温度依存性が高いことがわかった.したがって,親水的環境での疎水化の促進は,PET表面への水分子の吸着により高分子膜表面の運動性が上昇したため,親水性基の内部への拡散が速くなったためと結論した.


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