2002年度

Annals of Botany


300720
Expression pattern of Aux/IAA genes in the iaa3/shy2-1D mutant of arabidopsis thaliana (L.)
大野豊 ; 大浦千春* ; 内宮博文*
Annals of Botany 89(1), p.77-82(2002) ; (JAERI-J 19206)

 シロイヌナズナの半優性変異であるshy2-1Dは,元来光形態形成変異として分離されたものであるが,オーキシンに対する反応にも異常が見られる.最近研究によりSHY2遺伝子はオーキシン初期誘導遺伝子群(Aux/IAA)の一つであるIAA3遺伝子と同一であることが明らかにされた.AUX/IAAタンパク質はARFと結合することが知られているので,iaa3/shy2-1D変異体におけるオーキシン初期誘導遺伝子の発現を調べてみた.RNAハイブリダイゼーションの結果,iaa3/shy2-1D変異体において,オーキシン初期誘導遺伝子の発現はオーキシンによって増加はするものの,その量は野生型に比べ非常に減少していることが明らかとなった.AuxRD-GUSを用いた組織化学的解析では,iaa/shy2-1D変異体では,根端におけるオーキシンによるGUSの誘導は観られなかった.一方,GUSの異所的発現が胚軸や子葉柄,根の維管束組織において,オーキシンを与えない状態で観察された.これらの結果からIAA3/SHY2はオーキシン初期応答遺伝子の発現に関して,正負の両方の方向に機能することが推定された.


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