2002年度

水環境学会誌


300842
チェルノブイリ事故と水環境の放射能汚染
松永武 ; 長尾誠也*
水環境学会誌 25(4), p.193-197(2002) ; (JAERI-J 19320)

 チェルノブイリ原子力発電所の事故による水系へのインパクトの明確化と,淡水中での放射性核種の挙動研究という2つの観点から,チェルノブイリ事故による水環境の放射能汚染の状況とその成り立ちについて概説した.事故後の短期・長期における河川・湖沼の汚染の状況を述べ,環境への放射性核種の放出と関係づけた.現在,137Csと特に90Srがチェルノブイリ発電所近傍の河川・湖沼の汚染の主要核種になっていることを核種の放出形態と元素特性から述べた.事故後に取られた水系汚染対策にも説明を与えた.原研が行った現地での研究成果の1つとして,汚染形成に関する核燃料微細粒子の役割,ならびに,河川におけるアクチノイドの移行への溶存有機物の関与を示した.この水系汚染に関する広域的・経時的な研究はチェルノブイル事故固有の汚染形成問題を越えて,放射性核種の水系環境中の振る舞いについての一般的な理解と,さらに,食物連鎖までを含めた「生態圏移行モデル」の検証・改良にもつながっていることを指摘した.


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