2002年度

日本機会学会第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集


300920
低減速スペクトル炉の設計研究
大久保努 ; 岩村公道 ; 山本一彦* ; 岡田祐之*
日本機会学会第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.571-574(2002) ; (JAERI-J 19386)

 これまで培われてきた軽水炉技術をベースとしつつ,1を越える高転換比の達成が可能な水冷却炉である低減速スペクトル炉の概念設計研究を進めている.これまでに1以上の高転換比と負のボイド反応度係数を達成可能な炉心概念を構築するとともに,炉心性能の向上に加え,プルトニウム多重リサイクル性の検討や制御棒計画の立案等の炉心概念の詳細な検討を進めて来た.その結果,低除染再処理を想定した多重リサイクルが可能であることや,超扁平二重炉心に対しても,炉心各部の出力を安全に制御することが可能であることを確認した.


301100
双腕型遠隔解体ロボットの開発
立花光夫 ; 島田太郎 ; 柳原敏
日本機械学会第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.489-492(2002) ; (JAERI-J 19537)

 原子力施設の解体作業に適用する遠隔解体ロボットを開発した.遠隔解体ロボットは,双腕型マニピュレータを有し,画像フィードバック及び力フィードバックにより,遠隔解体ロボットを正確な位置に動作させ,適切な力を供給し解体作業を安全に実施することができる.開発した遠隔解体ロボットを用いて動作制御試験を行った結果,あらかじめ作成した遠隔解体ロボットの動作データに画像フィードバックを行い,複雑な形状の機器に対して切断,測定,除染等の一連の解体作業を力フィードバックにより実施できることを確認した.


301099
軽水炉シビアアクシデント時の溶融炉心/冷却材相互作用(FCI)に関する研究の現状
森山清史 ; 中村秀夫 ; 平野雅司
日本機械学会第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.209-214(2002) ; (JAERI-J 19536)

 これまでに蒸気爆発に関する実験で得られた知見を整理した.また,蒸気爆発の各過程に関して実炉規模評価の手法とそこに含まれる不確かさの重要度について検討を行った.その結果,実験的知見の不足している領域として,粗混合における融体ジェット分裂過程を取り上げることにした.これに基づき,原研では深い水プール内での蒸気爆発粗混合過程について,高温の酸化物融体を用いて模擬する実験を計画している.実験に使用する融体材料とスケールについて実炉現象模擬性の観点で検討し,適切な条件を実現できる見通しを得た.


300919
原子力発電所のシビアアクシデント時ソースターム評価
石川淳 ; 新谷清憲 ; 高木誠司 ; 村松健
日本機会学会第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.203-208(2002) ; (JAERI-J 19385)

 我が国における原子力発電所の確率論的安全評価(PSA)は,アクシデントマネージメント方策の検討を主たる目的としてなされたため,炉心損傷頻度や格納容器破損頻度の評価に重点がおかれてきた.しかし近年では,防災対策や原子力安全目標の検討等などへの応用が望まれ,ソースターム及び環境影響評価を含むPSAの重要性が高まっている.著者らは,原研における軽水炉モデルプラントのレベル3PSA(環境影響評価)の一環として,シビアアクシデント(SA)解析コードTHALES-2を用いてソースターム評価を実施した.この評価により,ソースタームは,格納容器の破損形態及び格納容器ベントによる管理放出,格納容器冷却機能の復旧等の因子に特に強く依存することが明らかとなった.本講演では,現在の代表的なPSA用SA解析コードについて紹介するとともに,ソースターム評価の結果及びソースタームに影響を及ぼす支配因子に関する得られた知見を報告する.


300918
金属細線挿入型水蒸気改質器の伝熱特性
武田哲明
日本機会学会第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.199-202(2002) ; (JAERI-J 19384)

 周囲から加熱される水平円管流路内に銅線を挿入して空気の強制対流により冷却する場合の熱伝達と圧力損失特性を実験的に調べるとともに,高空隙率多孔体を挿入した水蒸気改質器の性能及び構造の検討を行った.その結果,200℃以下の低温条件下でも平滑円管の場合に比べて熱伝達率は約1.5倍に増大した.一方,摩擦係数も8倍程度増大したが,加熱壁温度の上昇に伴って,伝熱促進効果は増大する傾向にあることを確認し,高温域では放射伝熱により更なる伝熱促進が得られるため,従来の伝熱性能を低下させずにコンパクトな熱交換器の開発が可能であるとの見通しを得た.


300917
高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)発電系の設計
高田昌二 ; 滝塚貴和 ; 國富一彦 ; Yan, X.* ; 片西昌司 ; 小杉山真一* ; 塩沢周策
日本機会学会第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.189-192(2002) ; (JAERI-J 19383)

 本論文では,GTHTR300実証プラントの発電系設計により得られた成果について報告する.本プラント設計では,経済性を高めるために,主要機器の物量を低減することと高性能化を目指した.本プラントでは,ターボマシン,発電機及び再生熱交換器,前置冷却器を動力変換容器及び熱交換機収容器内に収納する.これらの機器や容器の寸法を最小化させて物量を低減する必要がある.本プラントでは中間冷却器のないサイクルを採用するとともに,前置冷却器はコンパクトなローフィン質ヘリカルコイル型として物量を低減した.タービンと圧縮機のポリトロープ効率の設計目標値をそれぞれ93%,90%まで高くして,翼形状を3次元化するなどして設計目標値を満足できるようにした.なお,本件は文部科学省から原研への委託により実施している電源特会「核熱利用システム技術開発」の「高温発電システム」の内容に関するものである.


300916
高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)の安全設計方針
片西昌司 ; 國富一彦 ; 高田昌二 ; 中田哲夫 ; 滝塚貴和 ; 塩沢周策
日本機会学会第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.185-188(2002) ; (JAERI-J 19382)

 高温ガス炉は,セラミック被覆燃料や黒鉛炉心構造物を使用していること,出力密度が低いことなどにより,高温に耐えることができ,かつ,異常事象の進展が緩慢であるといった安全上の特長を有する.これらの特長により,受動的冷却系のみで炉心の残留熱を除去でき,かつ,設計基準事象を越える事象でも炉心溶融の心配がないなど,高い安全性を有するシステムの設計が可能である.本稿では,現在設計を進めている高温ガス炉ガスタービン発電システムの安全にかかわる機器・系統の設計方針策定と設計の進捗,安全評価の対象事象の選定と判断基準の策定についての検討結果を報告するものである.


300915
高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)の設計研究; 平成13年度研究
國富一彦 ; 片西昌司 ; 高田昌二 ; 滝塚貴和 ; Yan, X.* ; 中田哲夫 ; 武井正信* ; 小杉山真一* ; 塩沢周策
日本機会学会第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.181-184(2002) ; (JAERI-J 19381)

 原研が開発を進めている高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)の目的,特徴等について報告するとともに,平成13年度に実施した設計研究のうち,炉心設計,熱流動設計,燃料設計,炉内構造物設計,原子炉圧力容器設計を中心に報告する.炉心設計では,新しい燃料交換方法により,2年間の連続運転,平均燃焼度約120GWd/tonを実現した.また,原子炉圧力容器設計では,冷却材流路バスの工夫により,その材料に軽水炉と同材料が使用可能であることを示した.これらの設計結果を基にして,簡易的な経済性評価を実施し,経済性が目的の20万円/kWe以下であることを示した.


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