2002年度

Journal of Biomolecular Structure and Dynamics


300964
Molecular dynamics simulation of 7,8-dihydro-8-oxoguanine DNA
石田恒
Journal of Biomolecular Structure and Dynamics 19(5), p.839-851(2002) ; (JAERI-J 19410)

 DNAのグアニン酸化損傷の影響を調べるために,正常なDNAであるd(CGCGAATTCGCG)2とその酸化的損傷DNAであるd(CGCG*AATTCGCG)(CGCGAATTCGCG),(G*:7,8-dihydro-8-oxoguanine(8-oxoG)の分子動力学シミュレーションを1ナノ秒間,実行した.これは静電相互作用を効率的かつ高精度に計算する高速多重極子展開法(FMM)を用いた高精度シミュレーションである.シミュレーションの結果,8-oxoG付近で正常DNAには見られない新しい水素結合が生成されるのが見つかり,そしてこれが損傷DNAの構造を安定化させていることがわかった.また主鎖角ε-ζがBII構造,グリコシド結合角δがhigh- anti構造,ヘリカルTwistが緩んだ構造をとることもわかった.更に,主成分解析により8-oxoG付近の水和状態の変化が損傷DNAの構造遷移のきっかけとして働いていることが示唆された.以上により,損傷DNA修復酵素は正常DNAと損傷DNAの静的構造及び動的構造の違いを認識していると考えられる.


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