2002年度

Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2


301227
Reassessment of nuclear decay database used for dose calculation
遠藤章 ; 山口恭弘
Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2 2, p.1433-1436(2002) ; (JAERI-J 19641)

 放射性核種による外部及び内部被ばく線量の計算には,ICRP Publ. 38の崩壊データが広く利用されている.しかし,Publ. 38は発行後18年が経過し,新しい核構造データに基づく再評価が必要になっている.本研究では,1997年版の評価済核構造データファイル(ENSDF)を用いて崩壊データを編集し,Publ. 38との比較,分析を行った結果について報告する.本研究により,ICRP Publ. 38改訂のための指標を提供することができた.


301226
Excitation functions of rhenium isotopes on the nat.W(d,xn) reactions and production of no-carrier-added 186Re
石岡典子 ; 渡辺智 ; 長明彦 ; 小泉光生 ; 松岡弘充 ; 関根俊明
Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2 2, p.1334-1337(2002) ; (JAERI-J 19640)

 無担体186Re製造技術開発に必要な基礎データとして,186W(d,2n)186Re,nat.W(d,xn)181-184Re,186W(d,p)187W反応における反応断面積を34MeVまでスタックフォイル法を用いて測定した.得られた結果をALICEコードによって計算した反応断面積と比較した.186W(d,p)187W反応以外の励起関数ついては,実験値と理論値でほぼ一致した.


301225
Analyses of high energy neutron streaming experiments using DUCT-III
増川史洋 ; 中島宏 ; 笹本宣雄 ; 中野秀生* ; 田山隆一*
Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2 2, p.1268-1271(2002) ; (JAERI-J 19639)

 NMTC/JAERI97とJENDL-3.2ベースのライブラリを用いた.MCNP4Aによる計算で整備された高エネルギー中性子アルベドを追加して,ストリーミング簡易計算コードDUCT-IIIが作成された.このコードを高エネルギー中性子ストリーミング実験の解析に適用した.本コードは非しきい反応の反応率の測定値とモンテカルロ計算を十分に再現することができた.しかしながら,しきい反応の反応率に対する再現性は不十分であった.


301224
Status on shielding design study for the high-intensity proton accelerator facility
笹本宣雄 ; 中島宏 ; 平山英夫* ; 柴田徳思*
Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2 2, p.1264-1267(2002) ; (JAERI-J 19638)

 現在,大強度陽子加速器施設の建設計画が進行している.本施設は大出力ビームの加速器であり,非常に厚い遮蔽体を必要とする.合理的で最適な遮蔽設計を実現するために,半経験式と簡易計算法からなる遮蔽設計システムを構築し,部分的にモンテカルロ詳細計算法を導入した.簡易計算法は,高エネルギー計算に対応するためコードの修正を行った.本論文では,当施設の遮蔽設計の現状をレビューし,加速器施設の遮蔽設計の立場から高エネルギー核データの必要性に言及した.


301223
Evaluation of radioactivity at accelerator tunnels for high-intensity proton accelerator facility
中根佳弘 ; 増川史洋 ; 小栗朋美* ; 中島宏 ; 阿部輝雄* ; 笹本宣雄
Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2 2, p.1260-1263(2002) ; (JAERI-J 19637)

 計画中の大強度陽子加速器施設において,損失ビームによる加速器トンネル内空気及び機器冷却水の放射化量の評価は放射線安全上重要な課題の1つであり,計算を行った.空気及び冷却水中での陽子及び中性子束についてNMTC/JAM-MCNP4Aコードにより計算し,高エネルギー粒子入射による核種生成断面積について実験値,INC/GEM及びLAHETコードによる計算値から評価し,空気及び冷却水中における放射性核種生成量を求めた.排気中濃度評価では,加速器運転停止から数時間後には41Arの影響が大きいが,24時間後には7Be,3H,14Cの影響が大きいこと,冷却水中の評価では3H,7Beの影響が大きいことがわかった.また20MeV以上の核種生成断面積を一律30mbと仮定した簡易評価では,前述の評価結果と比較して空気中濃度で2-5倍,冷却水中濃度で3-10倍過大となり,高エネルギー粒子入射に対する評価済み核データの重要性が示された.


301222
Benchmark and MC sensitivity/uncertainty analyses of FNS beryllium and iron TOF experiments and IPPE nickel TOF experiment using EFF-3 data
今野力 ; Fischer, U.* ; Perel, R.*
Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2 2, p.1045-1048(2002) ; (JAERI-J 19636)

 ヨーロッパ核融合ファイルEFF-3の9Be,56Fe,58Ni,60Niが最近新たに評価された.これらの核データの積分テストとして原研FNSでのベリリウム,鉄TOF実験,IPPEでのニッケルTOF実験の解析を行った.その結果,56Feの 最新のEFF-3の核データは必ずしもよくなく,9Be,58Ni,60Niの最新のEFF-3の核データはJENDL-3.2,ENDF/B-VIと同程度の精度であることがわかった.さらに,感度不確定性解析を行った.弾性散乱断面積はほぼ全エネルギーで感度が高く,(n,2n)反応は10MeV以上の中性子に高い感度を有した.計算された中性子束の不確定性を感度と共分散データから推定した.EFF-3を用いた計算では1MeV以上の中性子束の不確定性はENDF/B-VIを用いた計算の1/2から1/3であったが,0.5MeV以下の中性子束の不確定性はEFF-3を用いた計算はENDF/B-VIを用いた計算と同程度かそれよりも大きい結果となった.


301221
ACE and MATXS files processed from JENDL high energy file
今野力 ; 池田裕二郎
Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2 2, p.1041-1044(2002) ; (JAERI-J 19635)

 JENDL高エネルギーファイルのうちこれまでに評価が終了した20核種のβバージョンを処理して積分テストで使用するコードで使えるライブラリー(ACEファイル,MATXSファイル)を作成した.本論文は,この断面積処理及び処理の妥当性検証のために行ったテスト計算,ベンチマーク計算についてまとめたものである.


301220
MATXS files processed from JENDL-3.2 and -3.3 for shielding
今野力 ; 池田裕二郎
Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2 2, p.1037-1040(2002) ; (JAERI-J 19634)

 現在,JENDL-3.3の評価と並行してその積分テストがシグマ委員会の遮蔽積分テストWGで行われている.遮蔽積分テスト活動の一環としてJENDL-3.3からNJOYコードを用いてMATXSファイルを整備し,TRANSXコードで多群ライブラリーを作成した.比較計算のためにJENDL-3.2からMATXSファイルを作成した.本論文は,この断面積処理及び処理の妥当性検証のために行ったテスト計算,ベンチマーク計算についてまとめたものである.


301219
Development of SCINFUL-CG code to calculate response function of hybrid neutron detectors using scintillators
Kim, E.* ; 遠藤章 ; 山口恭弘
Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2 1, p.693-696(2002) ; (JAERI-J 19633)

 大強度・高エネルギー陽子加速器施設では,熱エネルギー〜数100MeVの連続スペクトルを持つ中性子に対する線量評価が重要である.本研究では,シンチレータ型広帯域用中性子モニタを開発するために,シンチレータの応答関数計算コードであるSCINFULコードに,検出器形状機能を追加して,任意の形状を持つシンチレータの応答関数計算用SCINFUL-CGコードを開発した.今回はSCINFUL-CGの改良内容及びSCINFUL-CGを用いた検出器の設計計算により製作した新型中性子検出器について発表する.


301218
Evaluation of Delayed Neutron Data for JENDL-3.3
吉田正* ; 岡嶋成晃 ; 桜井健 ; 中島健 ; 山根剛 ; 片倉純一 ; 田原義壽* ; 瑞慶覧篤* ; 親松和浩* ; 大澤孝明* ; 中川庸雄 ; 橘孝博*
Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2 1, p.136-139(2002) ; (JAERI-J 19632)

 核データファイルJENDL-3.3の評価に寄与するために,235U,238U,239Puの遅発中性子データの評価を行い,推奨値を求めた.遅発中性子収率に関しては,臨界実験装置FCAとTCA(原研),MASURCA(フランスCEA)における,最近のβeffの積分実験の結果を用いてJENDL-3.2の遅発中性子収率を調整した.その結果,高速炉や熱中性子炉の炉物理計算において重要なエネルギー領域で,収率の調整結果を誤差±5%以内で得ることができた.特に,238Uに関しては,調整によりJENDL-3.2の値と比べて約3%小さな収率を得た.遅発中性子の6群崩壊定数等の評価も行った.これは,核データ評価の国際ワーキングパーティー(WPEC)の遅発中性子データ評価サブグループの活動においてSpriggsが収集した遅発中性子の放出率の実験データを,最小二乗法により処理することにより行った.さらに,臨界実験装置VHTRC,TCAとTRACY(原研),VIPEX(ベルギーSCK/CEN)におけるペリオド測定やロッドドロップ測定の結果を用いて,得られた6群定数の検証を行った.その結果,新たな6群定数を用いると,JENDL-3.2の定数を用いた場合に比べて反応度価値が約3%増加し,反応度効果のC/E値を改善する傾向にあることがわかった.


301217
Nuclear data relevant to accelerator driven system
池田裕二郎
Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2 1, p.13-18(2002) ; (JAERI-J 19631)

 本論文は,加速器駆動システムに関連する核データ研究をまとめたものであり,核データの役割,ニーズ,充足度,進行してる研究活動,今後の展望を,50年にわたるこれまでの歴史を振り返りつつ,加速器駆動システム技術開発との関連における核データの重要性を示したものである.


310229
Analysis of absorbed dose to tooth enamel for ESR dosimetry
高橋史明 ; 山口恭弘 ; 斎藤公明 ; 岩崎みどり* ; 宮澤忠蔵* ; 浜田達二* ; 船曳淳*
Journal of Nuclear Science and Technology, Supplement 2, p.1314-1317(2002) ; (JAERI-J 19859)

 光子外部被ばくに対して,歯エナメル質を用いたESR線量計測法による臓器線量及び実効線量の推定を可能とする技術を確立するため,エナメル質の線量の解析を行った.エナメル質の吸収線量は,EGS4コード及び新たに歯を定義したMIRD-5型の数学人体模型を用いたモンテカルロ計算により得られた.また,組織等価物質で構成され人骨を埋め込んだ頭部物理ファントムを用いた実験を行った.歯及びTLD検出器を物理ファントム内の歯の位置に設置し,歯エナメル質部の線量を測定した.実験結果は光子が頭部の前方から入射する場合は計算結果とよく一致した.しかし,後方入射の場合,実験結果は計算結果より小さい値を示した.そこで,実験に用いた物理ファントムのCT画像からVoxel型ファントムを作成し,このVoxel型ファントム及びEGS4コードを組み込んだ計算コードUCPIXELを用いた検証計算を行い,実験結果の妥当性を確認した.


[ page top ]
JAEA > JAEA図書館 > JOPSS > 学会誌等掲載論文[バックナンバー] >  累積情報(2002年度) > 当ページ
Copyright(C), Japan Atomic Energy Agency (JAEA)