2002年度

Journal of Molecular Biology


310120
An Insight into the pathway of the amyloid fibril formation of hen egg white lysozyme obtained from a small-angle X-ray and neutron scattering study
米澤康滋* ; 田中晋平* ; 久保田智巳* ; 若林克三* ; 油谷克英* ; 藤原悟
Journal of Molecular Biology 323(2), p.237-251(2002) ; (JAERI-J 19764)

 アルツハイマー病等のアミロイドーシスに特徴的なアミロイド繊維は,広く種々の蛋白質において形成されることが知られている.アミロイド形成機構の解明はアミロイド疾患の治療,予防だけでなく,foldingや安定性に関係した蛋白質の性質そのものを考えるうえでも重要である.ニワトリ卵白リゾチーム(HEWL)は高エタノール濃度溶液中でアミロイド繊維を形成することが知られている.われわれはHEWLのアミロイド形成過程を調べるために,種々のエタノール濃度及び蛋白質濃度におけるHEWL溶液のX線及び中性子小角散乱実験を行った.その結果,エタノール濃度及び蛋白質濃度の関数としてのHEWLの構造状態は,単量体状態,2量体の形成状態,プロトフィラメントの形成状態,プロトフィラメント状態,そしてアミロイド繊維の形成状態に区別されることが示された.また,円二色性測定も併せて行い,HEWLの大きな2次構造変化は2量体形成の際にのみ起こることを明らかにした.さらに,それぞれの状態の詳しい構造キャラクタリゼーションを行い,2量体は細長い構造をとり,プロトフィラメントはその2量体が横向きに重なった構造,さらにアミロイド繊維形成はプロトフィラメント同士の会合によって起こることを明らかにした.


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