2002年度

地域安全学会論文集


310174
JCO臨界事故時の住民の情報接触と対応行動
梅本通孝 ; 石神努 ; 小林健介
地域安全学会論文集No.4, p.231-240(2002) ; (JAERI-J 19818)

 1999年9月30日のJCO臨界事故では,東海村が現場周辺地区住民に対して避難要請を行ったほか,茨城県は現場から半径10km圏の地域住民に対して屋内退避を要請した.この事故発生当時の住民への情報伝達及び住民の対応行動等を把握するために350m圏地区と10km圏地域において住民調査を行った.その調査結果に基づき住民属性等と情報伝達状況との関連性及び住民の対応行動の決定要因に関する分析結果を報告する.主な結果は次のとおりである.(1)350m圏地区調査の結果: (a)日中自宅にいることの多い専業主婦はその他の職業者よりも避難要請情報への接触が早かった.(b)事故発生現場に近いほど避難要請情報への接触が早く,また住民の避難実施も促進された.(c)避難要請等の情報をなるべく身近な者から得るほうが避難実施の決定に至りやすかった.(2)10km圏地域調査の結果: (a)年齢が高いほどマスコミによる情報接触の比率が増加した.(b)会社員等は半数以上が仕事関係者等の私的ルートで事故発生情報を知った.(c)家族や仕事関係者等の私的ルートによる情報接触は行政ルートやマスコミに比べて遅かった.(d)屋内退避等の実施/非実施の意思決定には,退避情報への接触時刻,自宅から事故発生現場までの距離,職業,JCO所在地の認知度,などの要因が大きく影響した.


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