2003年度

Journal of Nuclear Science and Technology


320186
Real time α value measurement with Feynman-α method utilizing time series data acquisition on low enriched uranium system
外池幸太郎 ; 山本俊弘 ; 渡辺庄一 ; 三好慶典
Journal of Nuclear Science and Technology 41(2), p.177-182(2004) ; (JAERI-J 20709)

 未臨界度監視システムの開発の一環として,検出器信号を時系列データとして収録する機能とファインマン・アルファ法によりアルファ値を評価する機能を一つのシステムとして構築し,STACYの非均質体系の動特性パラメータ(アルファ値)の測定を行った.本システムには橋本の階差フィルターが組み込まれており,臨界状態における測定も可能である.本システムによる測定結果はパルス中性子法による測定と一致した.


320185
An Investigation into dissolution rate of spent nuclear fuel in aqueous reprocessing
峯尾英章 ; 磯貝光 ; 森田泰治 ; 内山軍蔵*
Journal of Nuclear Science and Technology 41(2), p.126-134(2004) ; (JAERI-J 20708)

 軽水炉燃料の照射時に熱収縮で生じるクラックを考慮した溶解面積変化を取り込んだ単純な溶解速度式を提案した.提案した式の適用性を既往の研究で得られた使用済燃料溶解試験結果だけでなく,本研究で行った軽水炉使用済燃料の溶解試験結果を用いて検討した.ペレット形状の使用済燃料や粉体状の使用済燃料をもちいた溶解試験で得られたウラン濃度だけでなく硝酸濃度の変化についても,提案した式は良い近似を与えることが示された.これにより,提案した式は単純で軽水炉使用済燃料の溶解速度の予測に役立つことが示唆された.しかしながら,式で用いている初期有効溶解面積について,本提案式では説明できない温度依存性が示されたことから,亜硝酸等,溶解速度に影響を与える他の因子についてさらに検討が必要と考えられた.


320184
Neutronics design for lead-bismuth cooled accelerator-driven system for transmutation of minor actinide
辻本和文 ; 佐々敏信 ; 西原健司 ; 大井川宏之 ; 高野秀機
Journal of Nuclear Science and Technology 41(1), p.21-36(2004) ; (JAERI-J 20707)

 マイナーアクチニド核変換のための鉛−ビスマス冷却加速器駆動炉(ADS)の核設計を行った.ADSのこれまでの研究で,燃焼反応度とピーキング係数が大きいという2つの問題が指摘されていた.この問題を解決するために,設計パラメータがADSの核特性に与える影響を調べた.ここで取り上げた設計パラメータは,初装荷Pu量,核破砕ターゲットと炉心の間へのバッファ領域,及び燃料のゾーン装荷である.パラメータサーベイ計算では,燃焼とリサイクルからなる燃焼サイクルを考慮した.その結果,燃焼反応度は初装荷Pu量に依存することがわかった.さらに,反応度係数を用いて適切な実効増倍率の評価も行った.その結果,提案しているADSに対しては,実効増倍率の最大値を0.97とすることにした.以上の結果から,バッファ領域を設置し,燃料のゾーン装荷を行った新しい炉心概念を提案した.


320027
Synthesis and characterization of a soft-tissue substitute for neutron dosimetry
津田修一 ; 遠藤章 ; 山口恭弘
Journal of Nuclear Science and Technology 40(12), p.1027-1031(2003) ; (JAERI-J 20577)

 中性子線量測定用の物理ファントムを開発するために,人体軟組織等価材料を合成し,その特性試験を行った.252Cf中性子源を用いて測定した材料内の吸収線量分布は,モンテカルロ放射線輸送計算コードMCNPによる計算結果と一致した.同様の手法で0.1〜14MeVの中性子に対する吸収線量分布のエネルギー特性を計算した結果,開発した材料は14MeVまでのエネルギー範囲において人体軟組織に等価な特性を有することがわかった.


320183
Removal of co-deposited layers by excimer lasers
洲亘 ; 川久保幸雄* ; Luo, G.* ; 西正孝
Journal of Nuclear Science and Technology 40(12), p.1019-1026(2003) ; (JAERI-J 20706)

 核融合炉プラズマ対向機器からのトリチウム回収は安全性確保及び稼働率向上の観点から重要な課題である.本研究では,プラズマ対向壁上に形成されて大量のトリチウムが含まれることが知られているカーボン共堆積層の除去へのエキシマレーザーの適用性について,エキシマレーザー(KrF及びArFレーザー)照射によるトカマク型大型核融合試験装置(JT-60及びTFTR)の共堆積層の除去率のレーザーフルエンス依存性を調べ,またレーザー照射中の放出ガスを調べるとともに共堆積層の除去機構を考察した.この中で,KrFレーザーの11J/cm2のレーザーフルエンスでの照射の場合には,JT-60共堆積層の除去率は5.0μm/pulseに達すること,放出される水素同位体の化学形が主に水素分子の形であって,容易に回収できることを見出した.また,0.8J/cm2でのKrFレーザー照射の場合は表面に局部溶融によるコーンが生成され,約2.3J/cm2のアブレーション閾値を超えると激しい溶融が起こることをSEMによって確認した.


320026
Evaluation of the 210mBi/210gBi branching ratio of the 209Bi(n,r)210Bi cross section in the neutron energy range from 200keV to 3.0MeV
市原晃 ; 柴田恵一
Journal of Nuclear Science and Technology 40(11), p.9801-982(2003) ; (JAERI-J 20576)

 高速炉の冷却材の候補として,Pb-Bi合金が研究されている.209Biの中性子捕獲による210Bi生成の断面積を,中性子入射エネルギー200keV≦En≦3.0MeVの範囲内で,Hauser-Feshbach統計模型計算により評価した.さらに,基底状態(210gBi)と準安定状態(210mBi)の210Bi生成比を,γ線カスケード計算により見積もった.統計模型計算にはKoning-Delarocheの光学ポテンシャルと,核の殻効果を考慮したMengoni-Nakajimaのレベル密度関数を用いた.計算で得られた210Bi生成断面積及び210mBi/210gBi分岐比は,最新の実験結果を定量的に再現した.そして今回の評価で,核データライブラリー(JENDL-3.3)とその特殊目的ファイル(JENDL/A-96)間で210Bi生成断面積が異なっていた問題を解決した.


320025
Development of a code MOGRA for predicting the migration of ground additions and its application to various land utilization areas
天野光 ; 高橋知之* ; 内田滋夫* ; 松岡俊吾* ; 池田浩* ; 林寛子* ; 黒澤直弘*
Journal of Nuclear Science and Technology 40(11), p.975-979(2003) ; (JAERI-J 20575)

 環境中に放出される放射性核種等の環境負荷物質について,挙動を予測するための汎用計算コードシステムMOGRAを開発した.MOGRAは動的コンパートメントモデルを基本とし,コンパートメント内の物質量が時間で変動する系を解析できる.MOGRA はPC上で放射性核種等の挙動が評価できるシステムであり,使い易さを基本としGUIやMOGRA用に開発した種々のデータベースを用いることができる.複数の土地利用形態から構成される仮想的陸域環境が137Csで汚染したと仮定してMOGRAの機能試験を行い,正常に作動することを確認した.


320182
Pitting damage formation up to over 10 million cycles; Off-line test by MIMTM
二川正敏 ; 直江崇* ; 粉川広行 ; Tsai, C.-C.* ; 池田裕二郎
Journal of Nuclear Science and Technology 40(11), p.895-904(2003) ; (JAERI-J 20705)

 MW-クラスの核破砕中性子源の開発が世界的に行われており,冷却材とターゲット材を兼ねた液体水銀の利用が提案・開発されている.水銀ターゲットには陽子ビーム入射時に瞬時熱膨張に起因する圧力波が発生する.その伝播過程で水銀/容器壁界面近傍にキャビテーションが生じ,容器壁面にピッティング損傷が形成される.容器構造健全性の観点から,ピッティング損傷の形成挙動を評価することが肝要である.そこで,圧力波を水銀中に与えるために,電磁力を応用した衝撃試験機(MIMTM: Magnetic IMpact Testing Machine)を新たに開発し,1千万回を超える負荷回数領域の損傷形成挙動を調べた.その結果,損傷形成挙動がマイクロピット塑性変形支配領域である潜伏期と質量減少が顕著となる安定期に大別でき,安定期の質量減少を予測しうる実験式を導出した.


310936
Technical code issues of ITER vacuum vessel and their resolutions
中平昌隆
Journal of Nuclear Science and Technology 40(9), p.687-694(2003) ; (JAERI-J 20419)

 ITERの真空容器は,トリチウム及び放射化ダストの障壁を形成する主要機器である.超高真空を実現するため機能上の要求が大変厳しく,規格を考えるうえではむしろ機能要求が安全要求よりも影響が大きい.ITER真空容器の規格上の特殊性は,複雑な構造と電磁力である.形状はトーラス形状でリブ付二重壁構造であり,トーラスの断面はD型である.電磁力は一様でないため,構造も荷重も軸対称を前提とした従来の規格をそのまま適用するのは困難である.また,二重壁構造のためリブと外壁のT継手,現地溶接継手は片側からしかアクセスできない.リブと外壁のT継手は部分溶け込みの特殊な溶接となる.これらの特殊事情により,新しい規格の開発を開始した.新しい規格では,3次元有限要素解析法による設計,特殊な部分溶け込み継手の使用,現地溶接部に関して検査フリー溶接の適用を検討している.これらの裏付けデータ取得のため,最初のR&Dでは特殊な継手の継手効率及び疲労強度減少係数の取得,すきま腐食感受性試験を実施した.本論文では,ITER真空容器の規格上の特殊性,新規格の概念と新規格を適用するうえでのR&Dの成果と計画について述べる.


310935
Fuel and fission gas behavior during rise-to-power test of the High Temperature engineering Test Reactor (HTTR)
植田祥平 ; 角田淳弥 ; 江森恒一 ; 高橋昌史* ; 沢和弘
Journal of Nuclear Science and Technology 40(9), p.679-686(2003) ; (JAERI-J 20418)

 日本原子力研究所において,高温工学試験研究炉(HTTR)の出力上昇試験を実施した.HTTRの燃料性能を評価するため,原子炉保護設備の1次冷却材放射能計装,燃料破損検出装置(FFD),1次冷却材サンプリング設備により1次冷却材中の放射能濃度を測定した.その結果,1次冷却材中放射能濃度は103MBq/m3以下であり,Kr及びXe核種の濃度は,0.1MBq/m3以下であった.88Kr放出率(R/B)値は,原子炉出力60%以下において約2×10-9,定格30MW出力時において約7×10-9であった.事前解析による88Kr放出率の予測値は,測定値とよく一致し,希ガスの放出機構が,燃料コンパクトマトリックス部の汚染ウランの核分裂により生成し,反跳から拡散へと変化することが示された.


310934
XPS study of Pb(II) adsorption on γ-Al2O3 surface at high pH conditions
吉田崇宏* ; 山口徹治 ; 飯田芳久 ; 中山真一
Journal of Nuclear Science and Technology 40(9), p.672-678(2003) ; (JAERI-J 20417)

 高pH条件下において,負電位のアルミナ表面へのPb(II)イオンのバッチ吸着実験,及びX線光電子分光法(XPS)による表面分析と分子軌道法による吸着質の化学計算を行った.バッチ法による吸着実験の結果から,Pb(II)のγ-Al2O3への吸着はpHが11から13に増加するにつれて減少した.また吸着に対するNa濃度依存性はほとんどみられなかった.XPS分析により,高pH条件下においてアルミナに吸着したPbの化学状態は,中性pHの場合と同等であり,二座配位の表面錯体構造による吸着が示唆された.またアルミナ及びPbの電荷状態から,Pbの吸着は内圏型表面錯体であるにもかかわらず共有結合性の性格が弱いことが示唆された.分子軌道法によりPb(OH)3-はPb(OH)2に比べて最低空軌道(LUMO)が約6eV高く,負に帯電したアルミナ表面には吸着しずらくなることが示唆された.


310833
Analysis of time evolution of neutron intensity measured with a high-sensitive neutron collar during the JCO criticality accident
遠藤章 ; 山口恭弘 ; 住田健二*
Journal of Nuclear Science and Technology 40(8), p.628-630(2003) ; (JAERI-J 20326)

 JCO臨界事故による被ばく線量の評価は,JCOのγ線モニタ,原研那珂研の中性子モニタ及び現場周辺で測定されたモニタリングデータに基づいて行われた.臨界継続中,事故現場から約1km離れた三菱原子燃料において,高感度の燃料集合体非破壊測定システム(UNCL)を用いた中性子計測が行われていたことがわかった.日本原子力学会JCO事故調査委員会はこのデータを入手し,委員会メンバーである著者らは,その解析から臨界に伴い発生した中性子強度の推移を評価した.その結果,事故発生から約1時間半後から臨界状態終息までの中性子強度の変化は,γ線モニタ,中性子モニタの記録と一致することが明らかとなった.本解析結果は,線量評価に用いられた線量率の時間推移に関するモデルが適切なものであったことを示している.


310933
Classification of criticality calculations with correlation coefficient method and its application to OECD/NEA burnup credit benchmarks phase III-A and II-A
奥野浩
Journal of Nuclear Science and Technology 40(7), p.544-551(2003) ; (JAERI-J 20416)

 臨界計算のベンチマーク結果を類似性に従い分類する方法をこの論文では提案した.相関係数を利用する方法の定式化の後に,経済協力開発機構/国際エネルギー機関(OECD/NEA)の下に実施された燃焼度クレジット臨界ベンチマーク問題III-A及びII-Aに適用した.ベンチマーク問題III-Aは照射済みの沸騰水型炉(BWR)燃料集合体の一連の臨界計算で,ベンチマーク問題II-Aは照射済みの加圧水型炉(PWR)燃料ピンの一連の臨界計算である.これらのベンチマーク問題及び結果をまとめた.相関係数を計算し,一連のベンチマーク計算結果の分類を,相関係数の値としてベンチマーク問題III-Aでは0.15以上,ベンチマーク問題II-Aでは0.10以上という基準に従い分類した.2つのベンチマーク計算結果が同一のグループに属するときに,一方の計算結果は他方の計算結果から予想可能であることがわかった.それぞれのベンチマークについて例を示した.評価済み核データが分類の主因子であった.


310738
A New static and dynamic one-point equation and analytic and numerical calculations for a subcritical system
西原健司 ; 岩崎智彦* ; 宇田川豊*
Journal of Nuclear Science and Technology 40(7), p.481-492(2003) ; (JAERI-J 20251)

 核分裂中性子数のバランスに基づいた新しい一点炉式を導出した.本式は従来のkeffを含む一点炉式と同じ形式を持っている.本式に現れる変数は核分裂中性子数と遅発中性子先行核数であり,係数は即発,遅発及び源中性子の増倍度である.これらの変数と係数はそれぞれ明確な物理的意味を有している.また,本式の解析的,決定論的及び確率論的な計算を,加速器駆動炉について行った.


310737
An EGS4 user code developed for design and optimization of γ-ray detection systems
大石哲也 ; 堤正博 ; 杉田武志* ; 吉田真
Journal of Nuclear Science and Technology 40(6), p.441-445(2003) ; (JAERI-J 20250)

 さまざまな種類の放射性線源を対象とした,γ線検出システムの設計及び最適化を目的としてEGS4ユーザーコードを開発した.本コードは,PRESTA-CGに基づいて作製された.PRESTA-CGは,EGS4における電子輸送に関する部分を改良するとともに,組み込み体系法(CG法)が利用できるように特化されている.本ユーザーコードの主な追加機能は,線源の定義に関するものと光子の輸送に関するものとの二つに分けられる.妥当性の検証のために,開発したユーザーコードを二種類の検出システムに適用した.その結果,本ユーザーコードにより,簡易な操作を行うだけでさまざまな線源に対する複雑な検出システムの詳細なレスポンス解析が可能であることがわかった.


310932
Development of fission source acceleration method for slow convergence in criticality analyses by using matrix eigenvector applicable to spent fuel transport cask with axial burnup profile
黒石武* ; 野村靖
Journal of Nuclear Science and Technology 40(6), p.433-440(2003) ; (JAERI-J 20415)

 実際の使用済み燃料輸送容器の臨界安全性解析において有効な核分裂源収束加速手法を研究した.OECD/NEA燃焼度クレジットベンチマーク問題II-Cでは,炉内中性子束測定に基づいて,ほぼ対称形から強非対称形に至るまでのさまざまな軸方向燃焼度分布が提案された.その中のいくつかのケースにおける従来モンテカルロ手法の計算結果は,核分裂源分布の極めて緩慢な収束性を示し,臨界性統計評価のための信頼し得る核分裂源分布を得るためには,極めて大きなスキップサイクル数が必要となった.核分裂源収束緩慢性を改善すべく開発され従来モンテカルロ計算に組み込まれてきた行列固有値計算をこのベンチマーク問題に適用した.行列固有値計算の有効性は,その行列要素の評価精度に依存する.核分裂源の収束が不十分な状態でさらなる加速手法を適用する際に,特に極めて緩慢な収束性を示す本ベンチマーク問題に対して,小さい核分裂源の行列要素の統計評価による大きな変動により,異常な加速結果を示した.このような場合,行列要素を評価する際のヒストリー数を単純に増加させる場合と比較して計算時間的により有効な核分裂源加速手法を提案する.


310656
Irradiated fuel behavior under power oscillation conditions
中村武彦 ; 中村仁一 ; 笹島栄夫 ; 上塚寛
Journal of Nuclear Science and Technology 40(5), p.325-333(2003) ; (JAERI-J 20170)

 BWRの不安定性による出力振動時にスクラム不能過渡事象(ATWS)が重なった時の高燃焼度燃料の挙動を調べるため,出力振動を模擬した条件での照射済燃料の照射試験をNSRRにおいて実施した.この試験では燃焼度25及び56GWd/tUの照射済燃料を,約2秒周期でピーク出力が最高50から95kW/mに達する4回から7回の出力振動条件で照射した.この出力振動条件は,NSRRの6本の調整棒をコンピュータ制御により高速で引抜き・挿入を行うことで実現した.燃料棒の変形は,368J/gまでの燃料エンタルピ範囲では,反応度事故(RIA)条件で行った試験結果と同等であった.変形はペレット−被覆管機械的相互作用(PCMI)によって生じ,おおむね燃料エンタルピに比例した.ラチェッティングによる変形の累積は見られなかった.他方,FPガス放出はRIA試験に比べて小さく,これら2種類の過渡試験では放出メカニズムが異なることを示した.


310655
Reactivity effect measurement of neutron interaction between two slab cores containing 10% enriched uranyl nitrate solution without neutron isolater
外池幸太郎 ; 三好慶典 ; 大久保清志*
Journal of Nuclear Science and Technology 40(4), p.238-245(2003) ; (JAERI-J 20169)

 STACYにおいて,低濃縮(235U濃縮度10%)の硝酸ウラニル水溶液を内蔵する同形の2ユニットを用いて,中性子相互干渉の反応度効果を測定した.一つのユニットの厚さは350mm,幅は690mmであり,二つのユニットの間隔が0mmから1450mmまで可変である.溶液の条件はウラン濃度約290gU/L,遊離硝酸濃度約0.8規定,温度24〜27℃,溶液密度約1.4g/cm3であった.反応度効果はユニット間隔に応じて495mmから763mmまで変化した臨界液位から評価した.また,立体角法,及び連続エネルギーモンテカルロコードMCNP-4Cと核データライブラリーJENDL3.2を用いた数値計算によっても反応度効果を評価した.本報告ではこれらの反応度評価結果を比較する.


310654
Leaching behavior of simulated bituminized radioactive waste form under deep geological conditions
中山真一 ; 飯田芳久 ; 永野哲志 ; 秋元利之*
Journal of Nuclear Science and Technology 40(4), p.227-237(2003) ; (JAERI-J 20168)

 ビチューメン放射性廃棄物固化体の地層処分の性能評価に必要な浸出データを得るために,小規模模擬固化体を用いて,地下深部に特有な低酸素濃度条件を中心に浸出挙動を調べた.浸漬液は,セメント接触地下水を模擬するためのアルカリ性水溶液,処分場の沿岸立地を想定した塩水,及び標準としての純水である.NaやCsなど溶解性成分の浸出は膨張したビチューメン固化体内部での拡散に支配され,またBaやNpなど難溶性成分の浸出は,固化体の浸出程度とともに,それらの難溶性成分を含む化合物の溶解度によって抑制された.Npのように酸化還元性環境の変化に敏感な元素の浸出は,大気下のような酸化性雰囲気と地下深部のような還元性雰囲気とでは,存在する安定化合物の化学的特性の違いを反映して,明らかに異なる浸出挙動を示した.


310653
Oxidation kinetics of low-Sn Zircaloy-4 at the temperature range from 773 to 1573K
永瀬文久 ; 大友隆 ; 上塚寛
Journal of Nuclear Science and Technology 40(4), p.213-219(2003) ; (JAERI-J 20167)

 さまざまな冷却材喪失事故条件に適用できる酸化速度式を評価するため,773〜1573Kという広い温度範囲において低スズ・ジルカロイ-4被覆管の等温酸化試験を行った.1273〜1573Kでは調べた時間範囲について,773〜1253Kでは900sまでの時間範囲について,酸化は2乗則に従った.一方,1253K以下での長時間酸化は,3乗則でよりよく表されることが明らかになった.重量増加に関し2乗則あるいは3乗則定数を評価し,それらの温度依存性を表すアレニウスタイプの式を求めた.3乗則から2乗則への変化及び酸化速度定数の温度依存性に見られる不連続性は,ZrO2の相変態によるものであることが示された.


310652
Conversion from tooth enamel dose to organ doses for the electron spin resonance dosimetry
高橋史明 ; 山口恭弘 ; 岩崎みどり* ; 宮澤忠蔵* ; 浜田達二* ; 斎藤公明
Journal of Nuclear Science and Technology 39(9), p.964-971(2002) ; (JAERI-J 20166)

 光子外部被ばくに対するESR線量計測法によるレトロスペクティブな個人線量評価手法の確立を目的として,歯エナメル質から臓器線量への換算に関して解析した.歯エナメル質の線量は,MIRD型ファントムを用いたモンテカルロ計算により解析した.頭部物理ファントムに埋め込まれたTLDを用いた測定により,計算結果を検証した.エナメル質線量の入射光子に対するエネルギー及び方向依存性は,他の臓器線量のものと比較した.物理ファントムのCT画像を基にしたvoxelファントムを用いて,頭部構造がエナメル質線量の値に与える影響を調査した.散乱線を考慮に入れた仮想的な場における外部被ばくについて,MIRD型ファントムにより得られたデータを用いて,エナメル質線量から骨領域の線量への換算について解析した.その結果,歯エナメル質を用いたESR線量計測法による精度のよい個人線量推定は,人体に入射する光子のエネルギー分布に関する情報を必要とすることがわかった.


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