2003年度

Physical Review E


310465
Population kinetics of lithiumlike and berylliumlike ions in low temperature dense recombining plasma
河内哲哉
Physical Review E 67(1), p.016409_1-016409_8(2003) ; (JAERI-J 20031)

 低温高密度の再結合プラズマは,多価イオンと中性原子との間の荷電交換反応などを組み合わせることにより,効率の良い新方式X線レーザーの媒質になる可能性がある.この方法の発生利得機構及び予測される利得係数の定量評価を行うためには,まず最初に,急速に再結合しつつある多価イオンの励起状態占有密度(ポピュレーション)の時間発展についての知見を持つ必要がある.具体的には励起状態ポピュレーションが準定常状態近似で記述できるようになる時定数や,再結合によって生じた励起状態間の衝突輻射脱励起過程によるポピュレーションの流れなどを明らかにすることが重要である.そこで,本論文では,リチウム様イオンの一電子励起状態とベリリウム様イオンの一電子及び二電子励起状態を取り扱った,時間依存の衝突輻射モデルを構築した.このモデルを用いて,実際に与えられたプラズマ条件下での準定常近似の成立までに要する時間及びポピュレーションの流れの定量評価を行った.計算結果から,二電子励起状態を含んだ系の準定常近似が成立するまでの時定数は,リチウム様イオンのみの系の場合に比べて4桁遅くなることを明らかにした.これは,各励起状態が二電子励起状態を通じて一価低いイオンと密接に結びつくために,励起状態ポピュレーション生成の時定数がイオン生成の時定数に影響を受けることによる.また,励起状態間のポピュレーションの流れを明らかにすることで,ヘリウム様イオンからリチウム様イオンへの実効的な再結合速度係数を明らかにした.


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