2003年度

Review of Scientific Instruments


320057
Calibration of heavy ion beam probe energy analyzer using mesh probe in the JFT-2M tokamak
神谷健作* ; 三浦幸俊 ; 井戸毅* ; 浜田泰司*
Review of Scientific Instruments 74(9), p.4206-4208(2003) ; (JAERI-J 20607)

 メッシュプローブを用いた重イオンビームプローブ用平行平板型エネルギー分析器の直接的な較正手法を確立した.ガス散乱による較正実験においてメッシュプローブ内にサンプル体積を導入した後,ACバイアスを印加することにより,観測される2次ビームの規格化差分量がバイアス電圧に比例することを確認した.同時に,規格化差分量のバイアス電圧に対する勾配が,理論計算から予想されるように分析器への入射角に依存することも確認できた.ビームのメッシュ透過率は約40%であるが,ビーム電流は10マイクロAとすることにより良好なS/Nが得られた.今回の絶対較正結果は誤差10%以下であり,メッシュプローブを用いない通常のガス散乱による較正結果と良い一致を示した.


310615
Flat-top acceleration system for the variable-energy multiparticle AVF cyclotron
福田光宏 ; 倉島俊 ; 奥村進 ; 宮脇信正 ; 上松敬 ; 中村義輝 ; 奈良孝幸 ; 石堀郁夫 ; 吉田健一 ; 横田渉 ; 荒川和夫 ; 熊田幸生* ; 福本康志* ; 斉藤勝彦*
Review of Scientific Instruments 74(4), p.2293-2299(2003) ; (JAERI-J 20150)

 3種類の加速ハーモニクスモード(h=1,2,3)を有するエネルギー可変・加速粒子多種類型AVFサイクロトロンにおけるイオンビームのエネルギー幅最小化に最適なフラットトップ加速システムの検討を行い,基本波加速電圧にその5倍の周波数を持つ高調波電圧を重畳する方法が最適であることを理論的に明らかにした.第5高調波を用いたフラットトップ加速は,高調波電圧発生に必要な増幅器パワーと共振空洞内の消費パワーを最小化し,1ターン当たりのエネルギー利得を増大させるという特長を持っている.そこで,原研AVFサイクロトロンにおいては,ビーム径1μmのマイクロビーム形成を実現するため,ビームエネルギー幅を0.02%以下に最小化するフラットトップ加速システムの仕様検討を行い,加速電圧安定度の許容値が基本波2×10-4以下,第5高調波1×10-3以下,加速電圧位相安定度許容値が0.2°以下,磁場安定度許容値が1.9×10-5以下であることを定量的に示した.本仕様を踏まえ,コールドモデル試験及び電磁場解析コードMAFIAを用いた計算により,コンパクトで省パワー性に優れた第5高調波発生用共振空洞を設計した.


310471
Neutron activation system using water flow for ITER
西谷健夫 ; 海老澤克之* ; 河西敏 ; Walker, C.*
Review of Scientific Instruments 74(3), p.1735-1738(2003) ; (JAERI-J 20037)

 これまで水の放射化を利用したITERの中性子発生量モニターを提案してきた.原研FNSに水ループを設置して行った実験では,時間分解能が水の乱流拡散で決定されることを明らかにした.この実験結果に基づき,流水の放射化を利用したITER用中性子モニターの設計を行った.照射端は赤道面のフィラーブランケットモジュール内に真空容器を貫通して挿入する構造とした.γ線測定ステーションは生体遮蔽外のピットに設置し,検出器としてBGOシンチレータを採用した.この配置に基づき,各種特性をMCNP-4bコードを用いて評価した.時間分解能は水配管に沿った放射化反応の分布及び乱流拡散を考慮して,10m/sの流速に対し時間分解能100ms(ITER要求値)以下となった.また放射化量はプラズマの位置にほとんど依存しないことがわかった.また異なる検出効率のγ線検出器を2台用いることによって,50kW-500MWのITERの出力範囲で測定が可能であることを示した.


310470
Development of in-vessel neutron monitor using micro-fission chambers for ITER
山内通則* ; 西谷健夫 ; 落合謙太郎* ; 森本裕一* ; 堀順一* ; 海老澤克之* ; 河西敏 ; Walker, C.*
Review of Scientific Instruments 74(3), p.1730-1734(2003) ; (JAERI-J 20036)

 ITERの核融合出力モニターとして,真空容器内にマイクロフィッションチェンバーの設置が計画されている.このモニターシステムの応答はプラズマの位置と形状に不感である必要があり,モンテカルロ計算によりブランケット背後の適当な取り付け位置を選定した.その他ITERの要求条件を考慮して,12mgの二酸化ウランを用いたマイクロフィッションチェンバーとウランのないダミーチェンバーを設計・試作し,設計仕様に対する基本性能と14MeV中性子及びγ線に対する応答特性を試験するとともにITER環境における性能を評価した.その結果,パルス計数モードとキャンベルモードにより中性子に対する良好な直線性と約1msの時間応答性が確認できた.またγ線に対する感度が低く,γ線に対する補償がなくても中性子計測が可能なこと,遮蔽体により中性子スペクトルが変化してもこれらの応答特性が確保できることなどがわかり,ITERの出力モニターとして使用できる見通しが得られた.


310563
Temporal evolution of temperature and density profiles of a laser compressed core
越智義浩 ; Golovkin, I.* ; Mancini, R.* ; Uschmann, I.* ; 砂原淳* ; 西村博明* ; 藤田和久* ; Louis, S.* ; 中井光男* ; 白神宏之* ; 宮永憲明* ; 疇地宏* ; Butzbach, R.* ; Forster, E.* ; Delettres, J.* ; Koch, J.* ; Lee, R. W.* ; Klein, L.*
Review of Scientific Instruments 74(3), p.1683-1687(2003) ; (JAERI-J 20117)

 高強度レーザー光を重水素を充填した燃料球に照射することにより生成されるレーザー爆縮コアプラズマ中の,電子温度,電子密度勾配の時間変化を,時間・空間分解X線分光法により明らかにした.実験においてX線分光ストリークラスターカメラによる時間分解X線スペクトルデータと単色X線駒取りカメラによる特定のラインX線に対応する単色のX線エネルギーの時間分解二次元画像データを同時に取得した.これらのデータをもとに遺伝的アルゴリズムを用いた自己無頓着な解析手法により,爆縮コア内部の電子温度,電子密度勾配を求めることに成功した.得られた成果と流体コードによるシミュレーションとを比較し,爆縮コアプラズマ形成の動的過程の診断を進めている.


310772
Collective Thomson scattering based on CO2 laser for ion energy spectrum measurements in JT-60U
近藤貴 ; 三浦幸俊 ; Lee, S.* ; Richards, R. K. * ; Hutchinson, D. P* ; Bennett, C. A.*
Review of Scientific Instruments 74(3), p.1642-1645(2003) ; (JAERI-J 20285)

 核融合炉心プラズマにおいて,高速α粒子の速度分布計測と,イオン温度計測の確立は重要な課題として挙げられており,計測手法の実証が求められている.JT-60Uでは,ITERにおけるイオン温度と高速アルファ粒子の計測手法の確立を目的として,炭酸ガスレーザー(10.6μm, 15ZJ, 1μs)による協同トムソン散乱法の開発を行っている.検出器には量子井戸型赤外線検出器(QWIP)を用い,また迷光は高温炭酸ガスセルによって減少させる.JT-60Uに測定装置の設置を行うとともに,赤外ヘテロダイン受信機の検出感度や視野の較正手法を開発した.これを用いてJT-60Uプラズマにレーザーを入射して調整を行ったが,現在までに散乱光スペクトルは得られていない.問題点として,パルスレーザの放電による電気ノイズと,レーザーの周波数のシフトによる迷光の発生が挙げられる.


310614
Measurements of density fluctuations in reflectometry of cylindrical plasmas
Bruskin, L. G.* ; 大山直幸 ; 篠原孝司 ; 三浦幸俊 ; 近木祐一郎* ; 間瀬淳* ; 長谷川真* ; 花田和明*
Review of Scientific Instruments 74(3), p.1473-1476(2003) ; (JAERI-J 20149)

 反射計による密度揺動測定を考察するために,軸対称な密度分布を用いた,時間的に変動する二次元 full-wave方程式を解析的に扱い,マイクロ波散乱の電場を解くことに成功した.解析的モデルの結果から,プラズマ回転速度測定に用いられているドップラー反射計について考察し,ドップラーシフト測定の精度が,カットオフ層の曲率及び密度揺動のスペクトルに強く依存していることを見い出した.また,密度揺動レベルを定量的に評価する場合,密度揺動のスペクトルが前もって見積もられているときは,揺動指数と呼ばれる反射波信号のパワーに関係したパラメータで揺動強度を定量付けることが有効であると提案している.


310672
Utilization of background signal for inference of Zeff spatial profile in incoherent Thomson scattering diagnostic
内藤磨 ; 波多江仰紀
Review of Scientific Instruments 74(3), p.1374-1376(2003) ; (JAERI-J 20186)

 トムソン散乱計測において,電子温度,密度と同時に有効荷電分布を推測する方法について報告する.本計測法では,通常は背景光の影響を差し引くためのみに使われている背景データを再構成計算に用いる.その結果,背景光が主に制動放射によるものであれば,十分正確な有効荷電分布を再構成できることを示した.またこの方法により電子温度,密度計測の精度も向上することを明らかにした.


310469
Performance of laminar-type holographic grating for a soft X-ray flat field spectrograph in the 0.7-6 nm region
小池雅人 ; 佐野一雄* ; Gullikson, E. M.* ; 原田善久* ; 隈田英樹*
Review of Scientific Instruments 74(2), p.1156-1158(2003) ; (JAERI-J 20035)

 0.7-6nmを波長領域とする軟X線平面結像型分光器で使用される2400本/mmの刻線密度を持つラミナー型ホログラフィック回折格子を設計製作した.不等間隔溝パターンは非球面波露光を用いて,ラミナー型の溝形状は反応性イオン・エッチング方法によって形成した.この回折格子をモリブデンK軟X線光源とCCD検知器を備えた分光写真機を使用して評価した.さらに,0次〜3次のスペクトルの絶対回析効率をシンクロトロン放射ビームラインに設置された反射率計を使用して測定した.実験の結果は,この回折格子は機械刻線レプリカ回折格子と同等の分解能を持ち,波長約2nmの1次光で2%以上の絶対回折効率を得た.さらに,この回折格子は<1.0nmの波長領域でも高い回折効率と,全ての波長領域に渡り低い高次光の強度を示した.


310862
Multichannel motional stark effect diagnostic discriminating radial electric field in the JFT-2M tokamak
神谷健作* ; 木村晴行 ; 星野克道 ; 伊世井宣明 ; 川島寿人 ; 小川宏明 ; 小川俊英 ; 都筑和泰 ; 上原和也 ; JFT-2Mグループ
Review of Scientific Instruments 72(7), p.2931-2935(2001) ; (JAERI-J 20355)

 JFT-2M装置において,径電場分布の同時測定が可能な運動シュタルク効果を用いるプラズマ電流密度分布(内部ポロイダル磁場分布)計測装置を開発した.JFT-2M装置における2系統の加熱用水素中性粒子ビーム(電流方向,及び逆電流方向入射)を一つの光学系から同時に,かつ接線方向の視線で見込むことにより,高空間分解能で,かつ径電場に対する感度が最も良くなる.L-modeプラズマについて初期データを取得できた.磁場のピッチ角,及び径電場の測定精度はそれぞれ0.1°,4kV/m程度であり,この場合の時間分解能は約10msである.


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