2003年度

Journal of Applied Physics


311030
Postgrowth annealing on defects in ZnO studied by positron annihilation, X-ray diffraction, rutherford backscattering, cathodoluminescence and hall measurements
Chen, C.* ; 山本春也 ; 前川雅樹 ; 河裾厚男 ; Yuan, X. L.* ; 関口隆史*
Journal of Applied Physics 94(8), p.4807-4812(2003) ; (JAERI-J 20481)

 水熱法によって育成された酸化亜鉛の格子欠陥の熱的性質を陽電子消滅,X線回折,ラザフォード後方散乱,カソードルミネッセンス及びホール測定を用いて研究した.陽電子寿命測定により育成直後には亜鉛原子空孔が存在していることが明らかになった.陽電子寿命のアニール挙動から亜鉛亜鉛原子空孔は,600℃の熱処理によって消失することがわかった.X線回折ピーク幅及びラザフォード後方散乱収率も同様に低下することが知られた.1000℃以上の熱処理によって陽電子寿命が増加することがわかり,これより亜鉛原子空孔が形成することが示された.しかしながら,X線回折ピーク幅は1000℃の熱処理後もさらに狭くなり,結晶性の向上を示した.自由電子密度は,1200℃迄の熱処理で連続的に増加した.この結果は,アクセプターとして作用する亜鉛原子空孔よりも余計にドナーが生成することを示している.カソードルミネッセンス測定の結果,紫外発光強度が熱処理温度とともに増加することがわかった.以上のように,酸化亜鉛の結晶性は600℃から1200℃の育成後熱処理により向上することを判明した.陽電子消滅の結果は,亜鉛原子空孔の消失が,初期の結晶性向上に寄与していることを示している.


311029
Chemical-state analysis for low-dimensional Si and Ge films on graphite
Nath, K. G.* ; 下山巖 ; 関口哲弘 ; 馬場祐治
Journal of Applied Physics 94(7), p.4583-4588(2003) ; (JAERI-J 20480)

 グラファイト表面に蒸着した低次元のシリコン及びゲルマニウムの電子構造を放射光光電子分光法により調べた.Si 1s, Ge 2p, C 1s光電子スペクトルによると,シリコン及びゲルマニウムと基板のグラファイトとの化学的相互作用はほとんどなく,蒸着層は元素状態で存在するが,これらの電子構造は蒸着層の厚みに依存して変化することがわかった.すなわち,5.5オングストロームのシリコン,及び4.2オングストロームのゲルマニウムは,ほぼバルクと同様の電子構造をとるが,2.7オングストロームのシリコン,及び0.3オングストロームのゲルマニウムの光電子スペクトルでは,バルクより高結合ネルギー側に新たなピークが認められた.これらの高結合エネルギーのピークはナノメートルスケールのクラスターがポリマー化したチェインからできたナノワイヤーによるものであると結論した.


310597
Characteristics of hard x-ray emission from laser-induced vacuum spark discharges
大図章 ; 伊藤和範*
Journal of Applied Physics 93(12), p.9477-9482(2003) ; (JAERI-J 20132)

 レーザー誘起真空スパーク放電における硬X線発生に関する実験研究を行った.スパーク放電は,間隔1cmのピン電極の陽極側にレーザー光を照射し予備電離金プラズマを生成させマルクス電源により高電圧パルスを印加してX線を発生させるものである.充電電圧150kVでレーザープラズマ生成と同時に放電を開始させたところ,高い強度(〜10mR/パルス)の硬X線パルスが観測された.そのX線パルスは,パルス前半に現れる約20nsの短いパルスと後半に現れる長い400nsのパルスで構成されていることがわかった.それらの実効X線素子光子エネルギーは,それぞれ150と80keV程度であった.この放電によるX線発生特性は,放電電圧,入射レーザーエネルギー,及び放電とレーザー光入射のタイミングに大きく依存した.これらの結果をもとにX線発生のメカニズムに関する考察を行った.


310358
Study on ferroelectric domains in BaTiO3 crystalline films and bulk crystals by atomic force and scanning electron microscopies
恒川信* ; 福田承生* ; 尾崎徹* ; 米田安宏 ; 岡部達* ; 寺内暉*
Journal of Applied Physics 84(2), p.999-1002(1998) ; (JAERI-J 19936)

 チタン酸バリウムは薄膜にすると成長方向にc軸が配向するために,X線や光学顕微鏡などでは面内のドメインを観察することはできない.そこで,面内のドメイン観察を行うために原子間力顕微鏡(AFM)と走査型電子顕微鏡(STM)を用いた.その結果,バルクと同じ90°ドメインの存在が明らかになる一方で,180°ドメインが円形状に分布するなどの薄膜特有のドメインパターンが観察された.


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