2003年度

Plasma Physics and Controlled Fusion


320217
Overview of physics basis for ITER
Mukhovatov, V.* ; 嶋田道也 ; Chudnovskiy, A. N.* ; Costley, A. E.* ; Gribov, Y.* ; Federici, G.* ; Kardaun, O. J. F.* ; Kukushkin, A. S.* ; Polevoi, A. R.* ; Pustovitov, V. D.* ; 下村安夫 ; 杉江達夫 ; 杉原正芳 ; Vayakis, G.*
Plasma Physics and Controlled Fusion 45(12), p.235-252(2003) ; (JAERI-J 20740)

 ITERはDT燃焼によって約0.5GWの核融合エネルギーを発生する最初の磁場閉じ込め装置である.最近の2, 3年の間に得られた研究成果によって,ITERのHモード運転においてQ>10を達成できることがほぼ確実となった.それらには,三角形度を高くすることによって得られたグリーンワルド密度付近における良好なHモード閉じ込め,理論モデルに基づく炉心プラズマ閉じ込めの予測の改良,D/Tイオンとヘリウム中性粒子との弾性衝突を考慮したダイバータモデル計算によるヘリウム灰除去効率の改善,NTM(新古典テアリング・モード)のフィードバック制御によるβ値の改善,ELM物理の理解の進展とELM緩和法の開発,ディスラプション緩和法の検証などがある.ITERはその機動性を用いて定常及び中間領域(ハイブリッド)運転を行うことも可能である.この論文においては,おもに誘導運転のプラズマ性能,及び定常運転のために要請される性能について議論を行う.


320054
Scaling of H-mode edge pedestal pressure for a Type-I ELM regime in tokamaks
杉原正芳 ; Mukhovatov, V.* ; Polevoi, A.* ; 嶋田道也
Plasma Physics and Controlled Fusion 45(9), p.L55-L62(2003) ; (JAERI-J 20604)

 トカマクのHモード時の周辺ペデスタル圧力に関する従来の比例則を,形状因子の導入により改良した.この 形状因子の物理背景は,磁気井戸効果により限界圧力勾配が高くなることである.すなわち磁気井戸が深くなるに従い,ピーリングモードと理想バルーニングモードは分離され,限界圧力勾配は中間領域モード数により決まることになり,限界値は大幅に高くなる.この改良された比例則はITERデータベースに格納されたASDEX-U, JET, DIII-D及びJT-60Uのデータをうまく再現する.


310859
Reflectometry study of mode coupling in fusion plasma turbulence
Bruskin, L. G.* ; 間瀬淳* ; 大山直幸 ; 篠原孝司 ; 三浦幸俊
Plasma Physics and Controlled Fusion 45(7), p.1227-1245(2003) ; (JAERI-J 20352)

 密度揺動の非線形相互作用を評価するためのミリ波反射計の適応性について理論的な考察を行った.Coherentとrandomな密度揺動を扱う二次元full-wave反射計シミュレーションによる模擬データ群を作成し,bicoherence関数を求めた.そして,プラズマ密度分布,プラズマ配位,密度揺動のスペクトルと強度の依存性について議論した.その結果,JT-60U周辺プラズマの場合,反射計を用いてcoherentモードのbicoherencyを評価するためには,coherentモードとrandomモードの振幅の比が1より大きいという条件が必要であることがわかった.また,反射層の曲率は大きい方が感度が良いこともわかった.本解析手法を実際のミリ波反射計のデータに適用し,Hモードプラズマのセパラトリックス近傍に強い非線形相互作用を持つ密度揺動が存在することが明らかになった.


310770
Studies of MHD behaviour in JT-60U
小関隆久 ; JT-60チーム
Plasma Physics and Controlled Fusion 45(5), p.645-655(2003) ; (JAERI-J 20283)

 先進トカマクプラズマは,高βによる大きなブートストラップ電流と矛盾しない凹状電流分布及び良い閉じ込め特性を有している.凹状電流分布の極端な場合において,プラズマ中心付近の電流が殆どない電流ホールが,JT-60で初めて観測された.電流ホールは,数秒間のブートストラップ電流の安定な維持により形成された.電流ホール領域では,密度,温度などの勾配がなく,大域的MHDモードも観測されていない.本論文では,電流ホールにおける,MHD平衡,安定性,高エネルギー粒子挙動などの物理機構について述べ,定常核融合炉への展望を議論する.


310404
Reduction of energetic particle loss by ferritic steel inserts in ITER
飛田健次 ; 中山武* ; Konovalov, S.* ; 佐藤正泰
Plasma Physics and Controlled Fusion 45(2), p.133-143(2003) ; (JAERI-J 19982)

 高い安全係数を持つ負磁気シアでは,トロイダルリップルによるα粒子損失の増大が問題になる.このような損失を抑制する方法としてITERではフェライト鋼装着によるリップル磁場の平滑化を考えており,この方法の評価は高エネルギー粒子に関する国際トカマク物理活動(ITPA)の重要課題であった.本稿は,ITPAのタスクとして実施したシミュレーション結果をまとめたもので,α粒子損失低減に対してフェライト鋼装着が極めて有効であるを示す.フェライト鋼の装着位置及び厚さを最適化すると,α粒子の閉じ込めに不利な高安全係数運転(qmin=3)ですら,損失パワー割合は1%程度に抑制されることを明らかにした.


310612
Combined non-inductive current drive in a high confinement reversed magnetic shear plasma at high normalized density in JT-60U
井手俊介 ; 藤田隆明 ; 鈴木隆博 ; 波多江仰紀 ; 内藤磨 ; 鎌田裕 ; 関正美
Plasma Physics and Controlled Fusion 44(11), p.L63-L69(2002) ; (JAERI-J 20147)

 グリーンワルド密度の82%の高密度領域でHモードスケーリングの1.4倍の閉じ込めを持った負磁気シア放電の完全非誘導電流駆動に,初めて成功した.完全非誘導電流駆動は,低域混成波と中性粒子ビームによる電流駆動を62%のブートストラップ割合を持つプラズマに行って実現した.異なる非誘導電流駆動を組み合わせることにより,高ブートストラップ負磁気シア放電における中心と周辺同時の電流分布を変えることに成功した.


310403
Particle control and SOL plasma flow in the W-shaped divertor of JT-60U tokamak
朝倉伸幸 ; 竹永秀信 ; 櫻井真治 ; 逆井章 ; 玉井広史 ; 清水勝宏 ; Porter, G. D.*
Plasma Physics and Controlled Fusion 44(10), p.2101-2119(2002) ; (JAERI-J 19981)

 JT-60Uでは,プライベート領域から排気を行うW型ダイバータを利用して,粒子制御実験を行っている.両側排気実験では,外側排気溝を塞いだ内側排気実験と比較し,粒子排気量が低下する傾向が見られた.この理由として,両側排気ダイバータではドーム下の共通排気溝をとおり,外側の排気溝からのリークが考えられる.非接触ダイバータでは,粒子排気量は内側排気実験と同程度に増加する.内外リサイクリングの非対称性が大きい場合,内外排気溝における圧力を均等にする運転あるいは,排気設備の内外分離が望まれる.マッハ・プローブ測定により,主プラズマ周辺部のプラズマの流れが明らかになった.プラズマ流の発生機構は,トーラス形状におけるイオン・ドリフトを考慮すると説明できる.新たに高磁場側(内側)境界層でマッハプローブにより,内側ダイバータ方向へのプラズマ流を測定した.低磁場側境界層から高磁場側への磁力線に沿うプラズマ流の存在を見いだし,ドリフト効果の可能性を検討中である.この効果の導入により,ダイバータプラズマの実験結果をより定量的に説明できることが期待され,ダイバータ設計の最適化に寄与できると考える.


310613
Formation and sustainment of ITBs under various heating schemes in JT-60U
井手俊介 ; 鈴木隆博 ; 坂本宜照 ; 竹永秀信 ; 小出芳彦 ; 藤田隆明 ; 福田武司 ; 鎌田裕 ; 白井浩 ; 滝塚知典
Plasma Physics and Controlled Fusion 44(5A), p.A137-A142(2002) ; (JAERI-J 20148)

 JT-60Uにおいて,閉込め改善プラズマへの電子加熱の影響を調べる実験を行った.JT-60Uも含めて,これまで多くの中・大型トカマクで見られた閉込め改善モードは,100keV程度のビーム加速電圧のNBI加熱を用いており,入射パワーは主にまずイオンに吸収される.これに対して,核融合炉心プラズマではα粒子による電子加熱が主体となり,このような状況での閉込め改善モードの振る舞いを調べることは重要である.実験では典型的な閉込め改善プラズマである負磁気シア放電を高βpプラズマをターゲットとし,ECHとビーム加速電圧〜350keVの負イオン源を用いたNBI(N-NBI)により電子加熱パワーを増大させた.いずれのプラズマにおいても,電子加熱パワーを増やすことにより中新領域での電子温度とイオン温度の比は1を越え,この領域においても良好な閉込め改善度(H89P〜2.4)を得ることが出来た.しかしながら高βpプラズマにおいて,電子加熱時にイオン温度の閉込めが減少するのが観測された.発表では,電子加熱時の熱輸送係数の空間的な変化や加熱パワー電子・イオン温度の比等との関連について報告する.


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