2003年度

Radiation Protection Dosimetry


320056
Conversion factors for a mobile survey method by car in the chernobyl area
坂本隆一 ; 斎藤公明
Radiation Protection Dosimetry 106(2), p.165-175(2003) ; (JAERI-J 20606)

 自動車による移動サーベイで得られた放射線レベルを道路周辺地上値に換算するための換算係数を計算シミュレーションによって定量的に評価した.計算では,137Cs核種で汚染された実環境のように,いくつかの道路幅と道路周辺環境が仮定された.計算された換算係数は,20%の精度で,測定されたものと一致することを示した.


320119
Analysis of dose-let distribution in the human body irradiated by high energy hadrons
佐藤達彦 ; 津田修一 ; 坂本幸夫 ; 山口恭弘 ; 仁井田浩二*
Radiation Protection Dosimetry 106(2), p.145-153(2003) ; (JAERI-J 20653)

 放射線防護の観点から,高エネルギーハドロン照射による人体内のエネルギー沈着の特徴をモンテカルロシミュレーションにより解析した.その結果,高エネルギー中性子及び陽子照射に対して,その沈着エネルギーの80%及び90%以上が低LET粒子により付与されていることが判明した.また,得られたデータは,人体に対する放射線医学的影響をより詳細に評価する際に非常に有用となる.


320055
Conversion coefficients from fluence to effective dose for heavy ions with energies up to 3 GeV/A
佐藤達彦 ; 津田修一 ; 坂本幸夫 ; 山口恭弘 ; 仁井田浩二*
Radiation Protection Dosimetry 106(2), p.137-144(2003) ; (JAERI-J 20605)

 重イオンに対する線量換算係数の評価は,放射線防護の目的から極めて重要である.そこで,最新の重イオン輸送計算コードPHITSを用いて,3GeV/A以下のエネルギーを持つ陽子,重陽子,3H,3He,α粒子,12C,20Ne,40Ar,40Ca及び56Feに対する実効線量換算係数を計算した.得られた結果より,重イオンの種類に依存しないフィッティング式を導出し,その精度を検討した.


311060
Development and assessment of new radioactive decay database used for dosimetry calculation
遠藤章 ; 山口恭弘 ; Eckerman, K. F.*
Radiation Protection Dosimetry 105(1-4), p.565-569(2003) ; (JAERI-J 20511)

 ICRP Publ.38に替わる線量計算用の新しい放射性核種崩壊データベースを開発するために,開発の手順及びそれに係る技術的課題について述べる.データベースの開発には,(1)評価済核構造データファイル (ENSDF) に対する整合性の評価,(2)データ編集に用いるEDISTRコードの改良,(3)他のデータベース等との比較による信頼性評価が必要である.これに対し,これまで原研が進めてきた線量計算用崩壊データベースDECDCの開発で得られた成果及び経験に基づき,データベース開発の進め方について,その方向と具体的方法について述べる.


311059
Evaluation of specific absorption fractions in voxel phantoms using Monte Carlo simulation
木名瀬栄 ; Zankl, M.* ; 桑原潤 ; 佐藤薫 ; 野口宏 ; 船曳淳* ; 斎藤公明
Radiation Protection Dosimetry 105(1-4), p.557-563(2003) ; (JAERI-J 20510)

 内部被ばく線量評価では,比吸収割合 (SAF) を正確に求める必要がある.SAFは,ある線源組織内で特定の種類の放射線として放出されたエネルギーのうち,ある標的組織の単位質量あたりに吸収される割合として定義され,これまでMIRD-5型ファントムを用いて評価されてきた.しかし,近年CTやMRIにより得られた人体断面画像を利用して構築されたボクセルファントムが開発され,SAFのより現実的な評価が可能となってきた.原研では,これまで日本人成人のボクセルファントムを男女それぞれ1体ずつ (Otoko,Onago) 構築し,ボクセルファントムに対する外部被ばく線量評価用EGS4ユーザーコード (UCPIXEL) を開発した.本研究では,UCPIXELコードを内部被ばく線量評価用コード (UCSAF) に拡張し,そのコードの妥当性検証を行った.また,SAFに及ぼすファントムの相違の影響を検討した.


311058
Application of a Ge semi-conductor detector to whole-body counter
木名瀬栄 ; 野口宏 ; 中村尚司*
Radiation Protection Dosimetry 105(1-4), p.467-472(2003) ; (JAERI-J 20509)

 近年,ゲルマニウム半導体検出器を用いた全身カウンタが構築されている.従来のNaI(Tl) シンチレーション検出器を用いた全身カウンタに較べ,高エネルギー分解能により体内混合核種の解析が容易になる.しかし,多様な人体全身に分布する核種に対し,小さな結晶のゲルマニウム半導体検出器を用いた全身カウンタでは測定視野が不十分になるため,検出器の個数や配置が重要になる.こうした状況を踏まえ,ゲルマニウム半導体検出器を用いた全身カウンタの最適設計を検討するため,ゲルマニウム半導体検出器の基礎的データであるピーク効率について計算シミュレーション及び実測を行い,計算によるピーク効率算出法の検証を行った.その結果,微小線源に関する光子エネルギーとピーク効率の関係 (ピーク効率曲線)ばかりでなく,ファントムのような体積線源に対するピーク効率についても,計算によって評価可能であることが明らかになった.したがって,ゲルマニウム半導体検出器を用いた全身カウンタを設計するうえで,本計算法の利用は非常に有効であるといえる.


310405
Analyses of absorbed dose to tooth enamel against external photon exposure
高橋史明 ; 山口恭弘 ; 岩崎みどり* ; 宮澤忠蔵* ; 浜田達二* ; 船曳淳* ; 斎藤公明
Radiation Protection Dosimetry 103(2), p.125-130(2003) ; (JAERI-J 19983)

 光子外部被ばくに対して歯エナメル質が受ける線量を,頭部物理ファントム内に置いた歯のサンプルを用いたESR線量計測法により調査した.この他に歯領域における線量をTLD検出器を用いて測定した.ボクセル型ファントムを物理ファントムのCT画像から作成した.このボクセル型ファントムを用いたモンテカルロ計算により,実験結果の解析を行った.これらの手法により得られたデータは,既に改良MIRD型ファントムを用いた計算により得られたエナメル質線量と比較,検討した.本研究により,MIRD型ファントムを用いた計算により得られたエナメル質線量から臓器線量への換算係数は,ESR線量計測によるレトロスペクティブな個人線量推定に適用可能であることが明らかとなった.その一方で,100keV以下の光子入射に対しては,頭部の大きさ及び構造がエナメル質線量に影響を与える可能性があることが示された.


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