2003年度

Japanese Journal of Applied Physics, Part 2


310727
A First-order matrix approach to the analysis of electron beam emittance growth caused by coherent synchrotron radiation
羽島良一
Japanese Journal of Applied Physics, Part 2 42(8A), p.L974-L976(2003) ; (JAERI-J 20240)

 コヒーレント・シンクロトロン放射による電子ビームエミッタンスの増大は,XFEL,ERLといった次世代放射光源の開発において重要な研究課題である.本稿では,1次変換行列を用いたエミッタンス計算手法を提案し,また,粒子追跡シミュレーションの結果と比較することで,その有効性を確認した.本手法を用いることで,エミッタンス補償を含んだビーム輸送系の設計が簡便かつ迅速に行える.


310726
The Electrical characteristics of metal-oxide-semiconductor field effect transistors fabricated on cubic silicon carbide
大島武 ; Lee, K.* ; 石田夕起* ; 児島一聡* ; 田中保宣* ; 高橋徹夫* ; 吉川正人 ; 奥村元* ; 荒井和雄* ; 神谷富裕
Japanese Journal of Applied Physics, Part 2 42(6B), p.L625-L627(2003) ; (JAERI-J 20239)

 炭化ケイ素(SiC)半導体は,大電力・高周波素子への応用が期待されているが,結晶成長や素子作製技術が確立しておらず,実用化への課題となっている.特に,金属−酸化膜−半導体(MOS)電界効果トランジスタ(FET)のチャンネル移動度の向上は実用化に不可欠となっている.これまで,結晶作製技術の問題より六方晶SiCが主な研究対象であったが,近年,立方晶SiC(3C-SiC)の厚膜化が可能となり,その厚膜を基板とすることでホモエピタキシャル成長を行うことが可能となった.本研究では,化学気相法により1650℃でホモエピタキシャル成長させた立方晶SiC上にMOSFETを作製した.MOSFETのソース,ドレイン領域は800℃でのイオン注入及び1650℃で3分間のAr熱処理することで作製し,ゲート酸化膜は1100℃での水素燃焼酸化により形成した.電気特性よりチャンネル移動度を見積もったところ260 cm2/Vsという非常に優れた値が得られた.また,酸化膜耐電圧を計測したところ絶縁破壊開始電界が8.5MV/cmというほぼ理想値を得た.


310527
Singular value decomposition analysis of multichannel electron cyclotron emission signals of tokamak plasma
諫山明彦 ; 岩間尚文* ; 細田陽介* ; 佐武慎介* ; 伊世井宣明 ; 石田真一 ; 佐藤正泰
Japanese Journal of Applied Physics, Part 2 42(3), p.L329-L331(2003) ; (JAERI-J 20081)

 一般に多チャンネルの計測装置のデータセットは行列で表現でき,そのデータに行列演算を施すことにより新しい信号処理手法が確立できることが期待できる.今回,20チャンネル回折格子型分光装置により測定した電子温度分布データに特異値分解を適用し,特異値・特異行列の特徴を調べた.その結果,電子温度の平衡成分は特異値が最も大きい特異行列でほぼ表現できることがわかった.さらに,空間的に局在した不安定性がプラズマ中に存在するデータの場合は,特定の特異行列に不安定性を表現する成分が現れ,不安定性の分離が可能であることがわかった.また,特異値の小さい特異行列はノイズ成分を構成していると考えられるが,実際,特異値の大きい項のみ取り出すことによりS/N比を改善することができた.このことは特異値分解により,データセットのノイズ除去とともにデータ圧縮もできることを示唆している.


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