2003年度

Radiochimica Acta


310407
Effects of basicity and FeO concentration on the retention of 137Cs and 60Co in slag made from non-metallic radioactive wastes
中島幹雄 ; 中塩信行 ; 亀尾裕 ; 福井寿樹* ; 磯部元康* ; 大竹敦志* ; 涌井拓治* ; 平林孝圀*
Radiochimica Acta 91(1), p.45-51(2003) ; (JAERI-J 19985)

 非移行型プラズマトーチを用いて,137Csと60Coを含む模擬非金属雑固体廃棄物を溶融し,溶融固化体中の137Cs及び60Co残存率に及ぼす塩基度とFeO濃度の効果を調べた.Al2O3,CaO,FeO,SiO2を主成分とする溶融固化体中の60Co残存率は,溶融固化体の化学組成に依存せずほぼ一定であった.一方137Cs残存率は溶融固化体の塩基度の増加に従って減少したが,FeO濃度には依存しないことがわかった.また,メスバウアースペクトル測定により,溶融固化体中のFe2+イオンはSiO2の三次元網目構造中で網目修飾イオンとして存在することが確かめられた.その結果,SiO2ガラスの構造モデルに基づく考察から,同じ網目修飾イオンであるCa2+とFe2+が,非架橋酸素と結合してつくる網目間構造の違いが137Cs残存率に影響を及ぼしているものと推論した.


310406
Instrumental development for spectroscopic speciation of f-elements in hydrothermal solutions; Luminescence properties of lanthanide(III) ions
木村貴海 ; 永石隆二 ; 有阪真* ; 尾崎卓郎 ; 吉田善行
Radiochimica Acta 90(9-11), p.715-719(2002) ; (JAERI-J 19984)

 水熱溶液(高温高圧水溶液)は種々の地球環境において見いだすことができるが,水熱条件下でのf元素の実験的研究はきわめて少ない.水熱溶液中でf元素の分光学的状態分析を行うための光学セルを調製した.この光学セルは,常温常圧から723K及び40MPaまでの温度,圧力をそれぞれ制御できるため,発光及び吸収分光法と組み合わせて水熱条件下でのf元素の酸化還元,加水分解,錯形成などの分光学的研究が可能である.本装置を水熱溶液中のEu(III)に適用し,発光特性(発光スペクトル,発光寿命)の温度・圧力依存性を測定した.発光特性に圧力依存性は見いだされなかったが,約500Kを境に温度依存性が大きく変化した.(1)励起Eu(III)から配位水和水へのエネルギー移動,(2)Eu(III)の加水分解,(3)Eu(III)/Eu(II)平衡などの温度依存性からこの変化を考察した.


310771
Studies on hydrolysis and radiolysis of N,N,N,'N'-tetraoctyl-3-oxapentane-1,5-diamide
須郷由美 ; 佐々木祐二 ; 館盛勝一
Radiochimica Acta 90(3), p.161-165(2002) ; (JAERI-J 20284)

 高レベル廃液から高収率でアクチノイドを回収するのに最も有用なジアミド系抽出剤であるN,N,N,'N'-テトラオクチル-3-オキサペンタン-1,5-ジアミド(TODGA)の耐酸性及び耐放射線性も調べた.室温での耐酸性は高く,加水分解は認められなかった.60Co-γ線照射実験から,TODGAはアミド結合,エーテル酸素近傍の結合が放射線に対して比較的弱く,単体での分解G値は8.5でマロンアミドやモノアミドのそれと比べてやや大きな値となった.ドデカン溶液系では,放射線分解速度がドデカン分率に応じて増加することから,ドデカンによる増感効果が認められた.ベンゼンやモノアミドなどの添加剤を加えドデカン分率を下げることで,TODGAの耐放射線性が向上できることがわかった.また,共存する硝酸はTODGAの耐放射線性をわずかに高める効果をもつことがわかった.


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