2003年度

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, A


320200
Evaluation of energy responses for neutron dose-equivalent meters made in Japan
三枝純 ; 吉澤道夫 ; 谷村嘉彦 ; 吉田真 ; 山野俊也* ; 中岡弘*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 516(1), p.193-202(2004) ; (JAERI-J 20723)

 国産レムカウンタ3機種のエネルギーレスポンスを,熱中性子,15.2MeVまでの単色中性子,252Cf等のRI中性子線源について,モンテカルロ計算と実測により評価した.レスポンスの方向依存性及び線量当量レスポンスについても評価を行った.計算では,レムカウンタを構成する比例計数管,減速材,吸収材を詳細に模擬することにより,実測によるレスポンスとよく一致する結果が得られた.また,比例計数計数管内の3He充填気圧とエネルギーレスポンスとの関係について考察を行った.広いエネルギー範囲について得られたレスポンスの計算結果を用い,さまざまな中性子作業場においてこれらのレムカウンタを使用した際の,指示値と真の線量当量との差異についても検討を加えた.


320199
High-counting-rate and high-position-resolution neutron imaging detectors ysing short-liftime phosphors with crossed-fibre readout
片桐政樹 ; 坂佐井馨 ; 松林政仁 ; 高橋浩之* ; 中澤正治*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 513(1-2), p.374-378(2003) ; (JAERI-J 20722)

 短半減期蛍光体とクロスファイバー読み出し法を用いた高計数率・高位置分解能中性子イメージング検出器を開発した.蛍光体としてはY2SiO5,有機蛍光体などを用い中性子コンバータとしては7Li10B4O7を用いる.冷中性子ラジオグラフィ施設を用いた中性子照射実験の結果,位置分解能0.6mmを維持したまま3Mcpsの高計数率中性子イメージングが可能であることを確認した.


320039
Development of a fast neutron radiography converter using wavelength-shifting fibers
松林政仁 ; 日引俊* ; 三島嘉一郎* ; 吉井康司* ; 岡本孝司*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 510(3), p.325-333(2003) ; (JAERI-J 20589)

 シンチレータと高水素含有樹脂からなる高速中性子ラジオグラフィ用蛍光コンバータが開発され,電子撮像に応用されてきた.高速中性子とコンバータとの反応割合は,コンバータを厚くすることによって増加されるが,蛍光コンバータ自身が不透明であることから内部の発光はコンバータ表面に到達するまでに減衰を受ける.高速中性子ラジオグラフィ用の蛍光コンバータにおいて輝度を改善するために,コンバータ内部の発光を波長変換ファイバーを用いて観察側端面に伝達する新しい考えを取り入れた蛍光コンバータを考案した.東京大学の高速中性子源炉弥生で実施した実験により,波長変換ファイバーを用いた蛍光コンバータが従来型のポリプロピレン樹脂を用いた蛍光コンバータより高輝度であることが確認された.


320038
Electron beam dynamics through a return-arc and a deceleration path of the JAERI Energy-Recovery Linac
羽島良一 ; 峰原英介
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 507(1-2), p.141-145(2003) ; (JAERI-J 20588)

 原研FELでは,10kW FEL出力を目指したエネルギー回収型リニアック(ERL)の開発を行なっている.このERLでは,FEL発振に使われた電子ビームが,トリプル・ベンド型の回収軌道を通って主加速器に戻り,2MeVまで減速される.FEL発振の結果としてエネルギー分散が大きくなった電子ビームを電流損失なく減速するためには,回収軌道の注意深い設計が必要である.本稿では,FELシミュレーションコードと電子ビーム輸送コードを組み合わせて,回収軌道における電子ビームのダイナミクスを解析した結果を報告する.また,2MeVビームを効率良く捕獲するためのビームダンプの設計についても述べる.


320037
First demonstration of energy-recovery operation in the JAERI superconducting linac for a high-power free-electron laser
羽島良一 ; 静間俊行 ; 沢村勝 ; 永井良治 ; 西森信行 ; 菊澤信宏 ; 峰原英介
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 507(1-2), p.115-119(2003) ; (JAERI-J 20587)

 原研自由電子レーザーでは,高出力FELを目指したエネルギー回収型リニアック(ERL)の開発を行なっている.ERLの製作と据付作業を昨年末までに完了し,その後ビーム調整を進めてきたところ,2002年2月に最初のエネルギー回収動作を確認するに至った.原研ERLの現在のパラメータは,入射エネルギー2.5MeV,加速後エネルギー17MeV,平均電流 5mA,バンチ繰り返し10MHz などである.今後は,10kW FELを目指した装置開発を行ない,平均電流を40mAまで増大させる計画である.


320106
Formation of an FEL field with uniform and constant phase due to the slippage effect
西森信行 ; 羽島良一 ; 永井良治 ; 峰原英介
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 507(1-2), p.79-83(2003) ; (JAERI-J 20640)

 レサジー効果により発振が不可能と考えられて来た,オシレーター型FELの光共振器長0(dL=0)における発振がわれわれのグループの実験により観測された.われわれの数値シミュレーション計算では,dL=0で発振することを再現できているが,その物理的なメカニズムは明らかになっていない.本研究では,この物理的なメカニズムの解明のため,FELの光場とバンチしていない共鳴エネルギー電子との相互作用により,FELの光場が増幅されることを示し,それによりdL=0発振が形成されることを数値計算と半解析的な手法を用いて示す.レサジー効果は充分なラウンドトリップを経た後に消えてしまう.それは,光場の縦方向の位置にかかわらずゲインが等しくなるためである.


310749
Helicity switching of circularly polarized undulator radiation by local orbit bumps
原徹* ; 白澤克年* ; 竹内政雄* ; 清家隆光* ; 斎藤祐児 ; 室隆桂之* ; 北村英男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 498(1-3), p.496-502(2003) ; (JAERI-J 20262)

 円偏光アンジュレーター光の偏光反転は特に円2色性の実験に非常に有効である.SPring-8のBL25SUでは,2つのヘリカルアンジュレータからの光を選択することによる偏光反転システムを開発した.電子ビームにバンプ軌道を作ることによって,左右円偏光を交互にビームラインに供給する.この手法による磁気円2色性測定時間は,従来の磁場反転反転型測定の約1/3に短縮できた.


310396
Optimization of neutron imaging plate
芳賀祐子* ; 練石恵子* ; 高橋建一* ; 新村信雄*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 487(3), p.504-510(2002) ; (JAERI-J 19974)

 中性子イメージングプレートの中性子検出機構をその素過程から検討すると,カラーセンターを創生する割合が中性子イメージングプレートの中性子検出効率を向上させる基本パラメーターになっていることが判明した.そこで,中性子イメージングプレートの厚みと輝尽性蛍光物質量を変数にとり,カラーセンター創生率を実測した.あと,中性子イメージングプレート中の中性子コンバーター(Gd)から中性子吸収率を計算し,最終的な中性子検出効率を求めた.これを最適化することで,中性子コンバーター量50%,厚み200μmが,最も検出効率の高い中性子イメージングプレートであることが結論付けられた.


310548
Highly efficient and high-power industrial FELs driven by a compact, stand-alone and zero-boil-off superconducting rf Linac
峰原英介
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 483(1-2), p.8-13(2002) ; (JAERI-J 20102)

 原研FELグループは,波長可変,高効率,高平均出力,高ピーク出力,極短パルス自由電子レーザーを21世紀のスーパーツール,工業用自由電子レーザーとして実現するために,エネルギー回収配位を持つ小型自立式無蒸発型超伝導リニアックによって駆動される自由電子レーザー概略設計し,開発した.ここでは,工業用自由電子レーザーに対する市場からの要求,8年に渡る原研小型自立式無蒸発型冷凍装置の運転経験とその開発概念から得られる答え,新しい高効率,高出力,極短パルス発振モードの発見,エネルギー回収配置に関する議論が含まれる.


310395
Transport channels of X-ray beamlines at SPring-8
後藤俊治* ; 大橋治彦* ; 竹下邦和* ; 矢橋牧名* ; 山片正明* ; 浅野芳裕 ; 石川哲也*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 467-468(Part1), p.813-815(2001) ; (JAERI-J 19973)

 SPring-8で建設されているX線ビームラインの輸送チャンネルについて論じた.これらは標準機器や新しく開発された機器よりなっている.ビームラインは高分解能非弾性散乱ビームラインのような約10mの特種なアンジュレータービームラインや,約百mの中央ビームライン,及び1000mにおよぶ長さを持つ長尺ビームラインについての輸送チャンネルの遮蔽機器,光学機器等について詳細に議論した.


310394
Standard X-ray mirror systems for SPring-8 beamlines
宇留賀朋哉* ; 谷田肇* ; 米田安宏 ; 竹下邦一* ; 後藤俊治* ; 石川哲也*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 467-468(Part1), p.782-784(2001) ; (JAERI-J 19972)

 SPring-8は多くの光学素子の標準化をはかっているが,偏向電磁石ビームラインの全反射ミラーもそのひとつである.ミラーの立ち上げビームラインとなったBL01B1における性能チェックの結果,設計どおりの並行性のミラーとなっていた.このミラーは後に,原研ビームライン,Bl14B1にもインストールされることになる.


310393
Construction and commissioning of a 215-m-long beamline at SPring-8
後藤俊治* ; 竹下邦和* ; 鈴木芳生* ; 大橋治彦* ; 浅野芳裕 ; 木村洋昭* ; 松下智裕* ; 八木直人* ; 一色康之* ; 山崎裕史* ; 米田安宏 ; 梅谷啓二* ; 石川哲也*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 467-468(Part1), p.682-685(2001) ; (JAERI-J 19971)

 イメージング技術開発や,X線光学素子開発,物性研究のためのトモグラフィーや医学イメージング,トポグラフィー研究等を目的とした,最初の中央ビームラインをSPring-8で構築した.この結果,大視野でコヒーレントな光ビームを得ることに成功した.またこのビームラインを用いて,300mmのシリコンクリスタルのone-shotトポグラフのような,予備実験を成功裡に終わることができた.これらについて論じた.


310392
Construction and commissioning of a 215-m-long beamline at SPring-8
後藤俊治* ; 竹下邦和* ; 鈴木芳生* ; 大橋治彦* ; 浅野芳裕 ; 木村洋昭* ; 松下智裕* ; 八木直人* ; 一色麻衣子* ; 山崎裕史* ; 米田安宏 ; 梅谷啓二* ; 石川哲也*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 467-468(Part1), p.682-685(2001) ; (JAERI-J 19970)

 大型放射光施設SPring-8には,発光点から実験ステーションまでの距離が215メートルある中尺ビームラインがある.そのうちの,偏向電磁石ビームラインであるBL20B2の建設及びコミッショニングをおこなった.


310391
SPring-8 standard X-ray monochromator; Alignment of rotated-inclined geometry
山崎裕史* ; 矢橋牧名* ; 玉作賢治* ; 米田安宏 ; 後藤俊治* ; 望月哲郎* ; 石川哲也*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 467-468(Part1), p.643-646(2001) ; (JAERI-J 19969)

 SPring-8標準分光器には,アンジュレータビームラインでは熱負荷を軽減するために,また偏向電磁石ビームラインでは広エネルギーバンドに対応するために,分光結晶はともにインクラインド配置で設置されている.この標準分光器のスペックとパフォーマンスについて述べられている.


310390
Demagnetization of undulator magnets irradiated high energy electrons
備前輝彦* ; 田中隆次* ; 浅野芳裕 ; Kim, D. E.* ; Bak, J. S.* ; Lee, H. S.* ; 北村英男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 467-468(Part1), p.185-189(2001) ; (JAERI-J 19968)

 2GeVの電子を照射したときのアンジュレーター磁石の磁場強度変化を測定した.測定は,(1)磁石配列,(2)磁石の形状,(3)磁力の向き,(4)標的物質,(5)磁石組成,(6)製作者の相異,の各項目について行った.照射はSPring-8の真空防止型アンジュレーターを模擬した形状で実施した.それらの結果について報告した.


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