2003年度

Radiation Physics and Chemistry


320218
Positronium formation in low temperature polymers
平出哲也
Radiation Physics and Chemistry 68(3-4), p.375-379(2003) ; (JAERI-J 20741)

 分子性固体や高分子中では低温で陽電子消滅寿命測定を行うと捕捉電子や負イオンによってポジトロニウムの形成が増加する.この手法を用いることで捕捉電子や負イオンの挙動を研究することが可能である.この方法の利点はあらゆる捕捉電子負イオンに適用できることである.被照射ポリメチルメタアクリレート(PMMA)中で240K付近で見られる発光はCHラジカルが捕捉した電子が熱運動で開放され,再結合に伴って発行するものであることを明らかにした.


310561
Recovery of cadmium from waste of a scallop processing with amidoxime adsorbent synthesized by graft-polymerization
白石朋文* ; 玉田正男 ; 斎藤恭一* ; 須郷高信
Radiation Physics and Chemistry 66(1), p.43-47(2003) ; (JAERI-J 20115)

 放射線グラフト重合により合成した繊維状アミドキシム捕集材を用いて,ホタテ廃棄物からのカドミウム除去について検討した.捕集材は40μm繊維経の不織布に200kGyの電子線を照射ののち,アクリロニトリルとメタクリル酸(80:20mol%)の混合液を接触させ,さらに化学反応を経て合成した.ホタテのうろには,Zn,Cdなどの重金属が含まれ,その濃度はそれぞれ13.7,4.62ppmである.ホタテのうろの前処理として粉砕を行い,実験にはその上澄みを使用した.バッチ吸着実験において,カドミウムの吸着にはpH6が最適であり,濃縮係数は1000に達した.アミドキシム捕集材ではCdのほかにZnの吸着除去にも有効であった.カラム実験では15μmのカドミウム廃液から96.1%を除去可能なことを確認した.


310860
Electron-beam decomposition of vaporized VOCs in air
廣田耕一 ; 箱田照幸 ; 新井英彦 ; 橋本昭司
Radiation Physics and Chemistry 65(4-5), p.415-421(2002) ; (JAERI-J 20353)

 空気雰囲気において,脂肪族系及び芳香族系揮発性有機化合物(VOC)に電子ビームを照射し,その分解挙動を調べた.脂肪族系では,クロロエテンがClラジカルによる連鎖反応を起こす一方,クロロメタンは熱電子によって分解することがわかった.また,主な生成物は一酸化炭素と二酸化炭素であった.芳香族系では,キシレンが最も分解しやすく,次いでクロロベンゼン,ベンゼンの順になった.これには,OHラジカルとの速度定数の大小関係のほか,分解によって生成する粒子状物質が関与していることがわかった.また,ガス状の分解生成物はカルボン酸やエステルなどの酸化物であることがわかった.


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