2003年度

日本機械学会論文集,B


310789
軸方向一様発熱稠密バンドルの限界出力
呉田昌俊 ; 秋本肇
日本機械学会論文集,B 69(682), p.1469-1476(2003) ; (JAERI-J 20302)

 低減速スペクトル炉の熱的成立性を評価する目的で,軸方向の発熱が一様な稠密三角格子バンドル試験体を用いて限界出力実験を行った.本報では,流動パラメータが限界出力へ及ぼす影響を明らかとし,限界クオリティを計算する無次元相関式を本実験データとBAPLデータを用いて導出した.用いた試験体は低減速スペクトル炉の燃料棒7本分の領域を模擬した形状であり,低減速スペクトル炉の定格運転条件を広く包含する実験条件で約400点の限界出力データを系統的に蓄積した.導出した無次元相関式の計算精度は,371点のデータに対して±4.6%である.本相関式の適用範囲は,棒間間隔が1〜2.3mm,質量速度が100〜2500kg/(m2s),圧力が2〜8.5MPa,周方向ピーキング係数が1〜1.5,発熱棒数が7〜20本である三角格子配列のバンドル流路である.


310689
潜熱蓄熱円筒カプセルの融解特性に及ぼす実効熱伝導率の影響に関する研究
椎名保顕 ; 稲垣照美*
日本機械学会論文集,B 69(681), p.1233-1241(2003) ; (JAERI-J 20203)

 潜熱蓄熱の蓄熱媒体を多孔体金属に含浸させた複合蓄熱体について,実効熱伝導率が融解特性に及ぼす影響を解析的に調べ以下の結論を得た.解析で想定した蓄熱媒体はOctadecane,水,Li2CO3,NaCl,多孔体金属は銅,アルミニウム,炭素鋼である.(1)複合蓄熱体の実効熱伝導率を向上させることにより融解時間を減少させることができることを示した.蓄熱媒体の熱伝導率が低いほど,また,伝熱流体の熱伝達率が高いほど融解時間の減少率は大きくなる.(2)Stが小さい場合に,融解時間を表す近似解析結果を求め,数値解析結果とよく一致することを示した.(3)複合蓄熱体を用いるとフィンの場合より数倍から十倍程度相変化時間を短縮できる可能性がある.(4)非一様熱伝達率を用いた場合と,一様熱伝達率を用いた場合の融解時間の差はたかだか10%程度であり,一様熱伝達率を用いても大きな誤差は生じない.


[ page top ]
JAEA > JAEA図書館 > JOPSS > 学会誌等掲載論文[バックナンバー] >  累積情報(2003年度) > 当ページ
Copyright(C), Japan Atomic Energy Agency (JAEA)