2003年度

Radioisotopes


320237
ガス処理用300keV電子ビーム照射場における吸収線量率分布
箱田照幸 ; 須永博美 ; 瀧澤春喜 ; 廣田耕一 ; 小嶋拓治
Radioisotopes 53(2), p.59-69(2004) ; (JAERI-J 20760)

 汚染排ガス処理への応用拡大が検討される300keV以下の低エネルギー電子ビーム(EB)は,汚染排ガス中で散乱し,その結果ガス中において不均一な吸収線量率分布を与える.そこで,高効率な排ガス処理システムの構築のためには,線量計測が不可欠である.本研究では,空気を満たした照射容器内で2種のポリマーフィルム型線量計による深度線量率の計測,アルミニウム製全吸収型カロリメータによる深度エネルギーフルエンス率の計測を行うとともに,半経験的電子輸送コード(EDMULTコード)による深度線量率分布の計算結果と比較しながら,300keVのEB照射場の線量計測に関する研究を行った.その結果,空気中におけるビームの広がりを考慮することにより,CTA線量計及びGafchromic線量計を用いて実測した深度線量率がEDMULTコードによる計算結果と分布の傾向がよく一致することがわかった.また試作したカロリメータによるエネルギーフルエンス率は,フィルム型線量計から得られた値に比べて8〜11%小さかった.この差は,実験誤差を考えると非常に小さな値である.以上のことから,低エネルギーEB照射場において,本研究で開発したカロリメータによりあらかじめポリマーフィルム線量計を校正しておくことにより,これらの線量計による線量率計測が可能となることが明らかとなった.


310870
日本原子力研究所東海研究所における環境放射線のリアルタイム監視システム
橘晴夫 ; 関田勉 ; 山口武憲
Radioisotopes 52(8), p.383-388(2003) ; (JAERI-J 20363)

 国を初めとする関係地方公共団体や原子力事業所では,平成11年9月に発生したJCO臨界事故の教訓を踏まえた原子力防災対策の充実強化のため,さまざまな対応が図られてきた.本報告では,原研東海において実施してきた環境放射線モニタリングシステムの機能強化のための装置更新やシステム拡張について紹介する.


310869
肺中241Amに対する肺モニタの計数効率
木名瀬栄 ; 大井義弘 ; 関口真人
Radioisotopes 52(8), p.378-382(2003) ; (JAERI-J 20362)

 NaI(Tl)/CsI(Tl)ホスウィッチ検出器,低エネルギー用Ge半導体検出器を用いたそれぞれの肺モニタについて,JAERIファントム肺中241Amの肺モニタ計数効率,肝臓中241Amの肺モニタ計数効率への影響を実測評価し,肺モニタとしてのこれらの検出器の相違の特徴について調べた.その結果,肺中241Amに対する低エネルギー用Ge半導体検出器の計測は,単一の光電吸収が全吸収ピークに対し主に寄与すること,肝臓中241Amからの影響が小さいことを踏まえると,NaI(Tl)/CsI(Tl)ホスウィッチ検出器よりも信頼性の高い評価が可能であることがわかった.


310697
Development of skeletal substitute materials
木名瀬栄 ; 木村雅哉* ; 野口宏
Radioisotopes 52(6), p.277-284(2003) ; (JAERI-J 20211)

 体外計測装置校正用ファントムの骨格等価材開発において,ベーシックデータ法に基づく,主材に対する添加材の最適量評価式を開発した.また,エポキシ樹脂を主材とした骨格等価材を開発した.開発したエポキシ樹脂材は,93mNbのKX線16.6keV及び241Amのγ線59.5keVを用いて透過率を評価した.その結果,実測値は理論値とよく一致し,添加剤最適量評価式の妥当性が検証された.また,本研究で開発したエポキシ樹脂材はICRP Publ.23の骨格等価材として適切であることがわかった.


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