2003年度

日本機械学会論文集,A


311069
熱化学水素製造プロセスにおけるHIx循環試験技術に関する研究; HIx循環系高温耐食性圧力センサの開発
石山新太郎
日本機械学会論文集,A 69(686), p.102-107(2003) ; (JAERI-J 20520)

 ダイヤフラム部をタンタル/SUS316でアーク溶接した高感度隔膜式圧力発信器を試作し,HI循環系を模擬したHI循環試験装置で20,000時間使用した後,高サイクル疲労試験を行った結果,下記結論を得た.(1)アーク溶接によりTa/SUS316製ダイヤフラム接合体を試作し,ダイヤフラム振動節部に下記組成の接合合金組織を生成した.Ta:Ni:Cr:Fe:Mo=83:2:2:11:2(wt%).この組成の合金は,機械的特性ならびに耐腐食性の極めてすぐれた合金組成であることが明らかとなった.(2)上記組成のダイヤフラムを用いた隔膜式圧力センサーは,500万回以上の圧力繰り返しに耐える長寿命型センサーであり,その際の計測最大誤差は0.44%F.S./℃以下の極めて高精度のものである.(3)HIx高温溶液による長時間循環試験に20,000時間使用した後の同圧力センサーの寿命ならびに計測精度に劣化傾向は認められなかった.以上の結果から,本研究で試作したTa/SUS316製圧力センサーは500万回の繰り返しに耐える長寿命型・高耐食性センサーとして実用に耐えるものであることが結論された.


310567
コンパクト熱交換器用超細密オフセットフィン多段ろう接構造体の機械的強度特性
石山新太郎 ; 武藤康
日本機械学会論文集,A 69(679), p.682-688(2003) ; (JAERI-J 20121)

 600MWtHTGR-GTシステム用の再生熱交換器伝熱コア部を模擬した超細密三層プレートフィンろう接合試験体を試作し,この試験体の室温から873Kまでの高温における機械的特性を把握するために大気中における高温強度試験及び高温疲労試験を実施し,下記結論を得た.(1)各試験温度におけるろう接試験体の高温強度は,SUS304母材とほぼ同等の値となった.しかしながら,破断歪みは母材の1/4以下と激減することが明らかとなった.(2)高温疲労試験においては,各試験温度における疲労寿命はSUS304母材に比べて短寿命となった.(3)高温強度及び疲労試験における試験体の破断箇所はSUS304製プレートフィン側壁で生じる.(4)この破壊箇所のミクロ組織を観察した結果,高温強度試験で破壊した場合,破壊箇所にくびれが生じるのに対して,疲労破壊した場合このくびれは生ぜず,破断面にストライエーションが観察された.(5)これらの材料劣化の原因は主に,超細密フィン加工時の強加工による影響であるものと考えられる.(6)ろう接試験体の機械的特性を向上させるため,ろう接時にフィン側両面をろう材で固めることにより,高温強度ならびに疲労寿命を改善することができた.


310482
延性き裂進展解析法を導入したPFMコード開発
Li, Y.* ; 加藤大輔* ; 柴田勝之 ; 鬼沢邦雄
日本機械学会論文集,A 69(678), p.239-245(2003) ; (JAERI-J 20048)

 確率論的破壊力学(PFM)コードPASCALでは,破損確率の精度及び信頼性向上を図るため,延性き裂進展による破壊抵抗の増大を考慮できる機能を導入している.すなわち,従来この種のコードで使用される線形破壊力学基準に加え,R6法カテゴリ1基準及び延性き裂進展を考慮するためR6法カテゴリ3基準を導入した.さらに,照射材の標準的な材料抵抗曲線も導入している.本論文では,R6法及び材料抵抗曲線の導入方法を述べるとともに延性き裂解析機能を用いた種々の解析により,圧力容器の破損確率に及ぼす材料の破壊抵抗曲線の影響,半楕円初期き裂の影響,入射時間刻みの影響などを検討した.例題解析の結果,延性き裂の進展を考慮した場合,圧力容器破損確率は大幅に低下し,破損確率の精度及び信頼性向上を図るためには,延性き裂の進展を考慮することが極めて重要であることがわかった.


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