2003年度

放射光


310865
DNA及びそのサイト選択的励起による損傷の分光学的研究
藤井健太郎*
放射光 16(3), p.151-158(2003) ; (JAERI-J 20358)

 本研究では高輝度光源からの単色軟X線を用いて,まず,DNA構成塩基の窒素及び酸素のNEXAFSスペクトルの測定を行った.それによると,塩基種の違いによる電子状態の違いによってDNA中で,塩基を選択的に励起する,「塩基選択的励起」の可能性を見いだすことができた.また,NEXAFSスペクトルの入射光偏光角度依存性より,adenine, guanine, uracil薄膜は分子が配向構造をもつことが明らかになった.さらに,軟X線によるDNA損傷のメカニズムについて探るために,光照射によって生じたイオンを検出するための,装置を立ち上げ,いくつかのDNA構成分子について,酸素K殻励起領域での脱離イオン観測を行い,直接励起によって生じるDNA損傷のメカニズムについての有力な知見を得ることができた.


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